上達を加速させる「魔法の言葉」
もう10年近く前ですが、とあるミュージカルで共演した先輩俳優のお話。
ハリウッドなどでも活躍されていて、僕が「日本人の俳優で誰が一番好きか?」と聞かれたら必ずこの人の名前を出すほど憧れている先輩なのですが、
彼はよく稽古場で「やってみます」という言葉をつかっていました。
演出家や振付家からの無茶振りともいえるオーダー(要求)に対して、彼は自分ができるできないに関係なく「やってみます」と答え、その場でやってみせる。
考えるより先にまず行動してみる。
すると本人はもちろん、稽古場の誰も想像していなかったシーンの新しい解釈が見つかったりするんです。
7割ぐらいが失敗で稽古場に笑いが起きるのですが。笑
自分の拘りを一瞬で捨てて、とにかく全力で挑戦をしてみる姿勢はとてもカッコよく、稽古場ではいつも彼を追いかけていた記憶があります。
その先輩に影響された僕も、それからは極力「やってみます」と答えて、とにかくトライをするようにしました。
もちろんそれで失敗したり、全く答えを見つけられなかったこともありますが、それまでより格段に視野が広がり、技術の向上スピードも上がりました。
「自分にブレーキをかけていたのは自分自身だったんだな」と今さらながら思います。
できるできないではない。やってみる。
いろんな生徒さんを見てきて最近特に感じているのですが、
どうやら上達の早い人はココが共通しているような気がします。
説明を聞きながら一緒に実践してみる人や、説明を受けてすぐに動き出せる人は上達が早いです。
逆に、考えすぎてしまって「理解できないと動き出せない人」は技術を習得するのに時間がかかります。
実は、僕は圧倒的に後者です。
もちろん、考えること自体は悪いことではありません。
しっかり理解して、それを身体に落とし込むためにじっくり練習することも必要です。
でもそれは家でやればいい。
いや分かりますよ。
本当にどうしたらいいか分からなくて固まってしまうんですよね。
自分もそうだったので、その感覚は痛いほどよく分かります。
ただね、考えたところでどうにもならないコトがあるのも事実です。
なにか指示を受けた時に「えー」とか「いやー」とか言わないで、分からなくてもいいからとにかくやってみる。
できなくてもいいんです。
自分一人の価値観に縛られず、新しい発想を受け入れる。
振付を受ける時にお手本をずっと見ている人がいますが、振付に関しては先生と一緒に動いた方が絶対にいいです。
見て覚えられるならYouTubeでも見ていればいいんですから。
よく分からなくても、その場で一緒に動くことで分かることがいっぱいあります。
お芝居などでも、自分の先入観を捨ててとりあえずやってみるというのはとても重要です。
間違っているかもしれない。
でも、間違ってみないとそれが間違っているのかも分からない。
間違っていることが分かれば、次はそれをやらなければいい。
正解を最短距離で出そうとすることが、実は一番遠回りなのかもしれません。
「急がば回れ」とはよく言ったものです。
ついつい考えすぎて動けなくなってしまう人は、怖がらずに「瞬発力のある言動」を心がけてみると、また見える景色が変わって来るかもしれませんね。
ただ、これには1点だけ注意点があって、
「全力でやる」
ということをしないと意味がありません。
分からないけど、全力でやる。笑
きっと正解なんてないんです。
ただ、間違いはあるので、それを把握するためにも失敗例を出しまくるって感じですかね。笑
上達を加速させ、新しい価値観を生み出す魔法の言葉
「やってみます」
ぜひ試してみてください!!
…つい先日「魔法なんてない」って言ったばかりなのにね…。笑
そもそもの論点が違うから別にいっか。笑
ちなみに映画「スターウォーズ」に出てくるジェダイ最強の騎士、マスター・ヨーダはこう言っています。
“No. Try not. Do. Or do not. There is no try.”
「やってみる」ではダメ。「やる」か「やらない」か。
さすがマスター。肝に銘じます。