「ト書き」って何?【舞台用語を覚えよう⑥】
【舞台用語を覚えよう】シリーズ
今日のテーマは「ト書き」です。
「ト書き」というのは、戯曲(台本)の中で、「台詞(セリフ)以外の文章」を差す演劇用語です。
本読みのときなどに「ごめん北村くん、ト書き読んでもらっていい?」とか言われるアレです。
「ト書き」は登場人物の動作や行動、出入り、時代や場所・背景の指定や、舞台装置・照明効果の説明などが書かれた文章で、
実際の舞台本番でこの文章が音声として読み上げられることはありません。
一般的には、台詞より段落を下げて書かれていたり、(かっこ)で括られていたりします。
写真のテキストはマルク・カモレッティの「ボーイング・ボーイング」の一説。
グレーで囲われている箇所が「ト書き」に当たります。
英語ではstage direction(舞台指示)がほぼ同義に当たりますね。
この「ト書き」という言葉は、歌舞伎の台本で役者への指示を
<…ト両人歩み寄り…>のように、<ト>からはじめて書かれていたことに由来するそうです。
日本の演劇用語のほとんどは歌舞伎からきているので、お芝居を勉強する人は歌舞伎などの古典芸能も勉強してみてくださいね。
ここからは完全な私見なのですが、僕は基本的に
「ト書き」には真実、
「台詞」にはウソが書かれていると思っています。
「ト書き」には、基本的に感情が含まれていません。
「行動」という真実しか書かれていません。
ただし、人間が何か言葉を発する(台詞を言う)時には、なんらかの「忖度」が含まれています。
もちろん全部が全部ではありませんが…。
空気を読んで、その場に応じた言葉を「選んで」発言するものです。
本当は嫌いだけど、自分が置かれている状況を良くしたいがために「好き」と言ったりするんです。
誰にでも全てを本心で話している人はなかなかいません。
状況を良くしたいが為に、自分でも気づかないような小さな嘘をつくのが人間です。
ちなみに僕は昔から「八方美人」「忖度の鏡」と散々な言われ方をしています。
そうです。僕が権力の犬です。笑
兄さん(先輩)の言うことは絶対です。笑
お芝居などでは、なんとか状況を良くしようと「良かれ」と思ってやったことが
全て裏目に出てしまうのがコメディですね。
観ている人からすると喜劇ですが、当の本人からすれば悲劇なんです。
台詞に書かれていることが全て真実であるとは思ってはいけません。
場合によっては、本当の感情とは真逆のことを言っていたりします。
しかし、「ト書き」に書かれている情報は「感情抜きの行動」なので嘘になりようがありません。
<…ト両人歩み寄る…>
と書いてあって、歩み寄らない台本なんて見たことがない。笑
もし歩み寄らなければ、そもそも書く必要がないんです。
では何故二人は歩み寄ったのか?
その行動(ト書き)の理由を考えることに、その人物の感情を…心理を読み解くヒントがあります。
とまぁ、完全なる私見をざっくり浅ーく書き殴ってみましたが、クレームその他がある人は酒でも飲みながらお話しましょう。笑
八方美人なのですぐに否を認めます。
表向きはね。笑