「ダメ出し」って何?【舞台用語を覚えよう⑦】
こんにちは。
北村毅(きたむらたけし)です。
舞台用語をほぼ主観(?)で説明していく
【舞台用語を覚えよう】シリーズ
今日のテーマは「ダメ出し」です。
「ダメ出し」というのは、
舞台やテレビの世界で主に演出家などが役者やスタッフに対し、修正点や検討すべき点、演出上の要望などを伝えることを意味する言葉です。
この「ダメ出し」
より良い作品を創るため、そして演出意図をメンバー全体で共有するためにも非常に重要な作業です。
バラエティ番組などでタレントが使い始めたことがきっかけで、
今では日常でも「ダメ出し」という言葉が頻繁に使われていますね。
「ダメを出す」というような使われ方をしますが、
そもそも「ダメ」という言葉がどういう意味なのかを知らない人も多いと思います。
「ダメ=駄目」は囲碁の世界からきている言葉です。
囲碁は、黒い石と白い石を交互に打ち、いかに広い陣地を囲うかで競います。
「駄目」というのは、黒の陣地と白の陣地の間にできた隙間。
そこに石を置いてもどちらの陣地も増えないし減らない。
そんな「意味のない目」「無駄な目」のことを「駄目」といいます。
「無駄」などのように「価値の低いもの」を表す「駄」と
碁盤の升目を表す「目」
ルールをよく知らずに駄目に石を打ってしまい、
経験者から「そこはダメだよー」と言われてしまう。
「打っても何の得もない無駄な手」ということから転じて
「効果がない」「役に立たない」などの意味で言われていたのですが、
なんとなく言葉のイメージとして「禁止色」が強くなっていってしまったのでしょう。
今では、親が子供を叱る時も「ダメーっ!!」ですもんね。笑
なので「ダメ出し」という言葉にはどうしても否定的なイメージが付きまといますが、
本来は「否定」をするための言葉ではありません。
この日本語のマイナスイメージを嫌って、「ダメ出し」のことを「note=ノート」という演出家もいます。
noteは動詞だと「気づく」という意味がありますね。
パフォーマンスを見て、気づいたことを「同じ目線」で伝えるというニュアンスです。
「ダメ出し」と聞くとトップダウンだけのような印象を受けてしまいますもんね…。
もちろん「ダメ出し」も、そもそもが否定的な言葉ではないので別に問題はないのですが…。
受け取り手がマイナスに捉えてしまうと「ダメ出し」の効果が半減してしまう気がしてしまうので、
僕もnoteという表現をするようにしています。
俳優仲間からダメをもらうこともあるし、お客様からダメをいただくこともあるでしょう。
否定ではなく、より向上するための「ダメ出し」
いろんな角度からの「気づき」を共有し、お互いに切磋琢磨していける「ダメ出し環境」をつくっていきたいですね。