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年始の業務開始前に行う”キャリア棚卸し”の簡単3ステップ

こんにちは。株式会社シンシア・ハートで代表取締役をしている堀内猛志(takenoko1220)です。
前回のnoteでは、私の経験から「30代でやっていた良かったこと、やってはいけないこと」について振り返りました。

このnoteを書いている今日は2024年1月2日。元旦は休んだけど2日からは24年のキャリアのことを真剣に考えようと思っている人も多いのではないでしょうか。

そんな人のために、簡単にできるキャリアの棚卸し方法をまとめたいと思います。今日のポイントは以下の通りです。

挑戦のベクトルを決める要素分解

『専門力(貯めている得意技)』を棚卸しする

まずは自分の武器であるスキルを整理します。スキルの整理が難しいのは、スキルの定義と基準がないことだと思います。

スキルの定義:具体的に何をスキルと呼ぶか
  ☛スキルとスキルの境界線を分けづらいため難しい
スキルの基準:どの基準を超えればスキルとして認められるか
  ☛ノウハウ、tips、テクニックではなく明確なスキルの基準がない

ちなみに、アメリカでは明確にスキルの定義や基準が決められています。以下のサイトで見ると、集中力とは何か、その基準は、などが明確にわかるようになっています。

ジョブ型雇用うんぬんの話よりも、スキルを定義し、基準を設け、人的資本の中の「スキル」を強化することで日本全体の労働力を底上げする、これをそうやるか?という議論の方が僕は大事だと思っています。

逆に言うと、スキルの基準が世界と違うために、日本の労働市場が海外からの攻撃から守られているとも言えます。各社の募集ポジションのスキルが不明確なため、文化、風土、言語にストレスのかからない日本人が採用されていますが、スキルが明確になれば海外の優秀人材が多く採用され、日本の労働市場を侵食するはずです。魅力的な日本企業に限りますが。

日本市場がどうなるか、という議論はさておき、自身のスキルを明確に把握することは非常に大事です。ゆえに、定期的にスキルの棚卸しをしましょう。以下の3つが専門力と言えるかどうかのスキルチェックリストです。

①1万時間以上使って磨いたスキルか
②息を吸うくらい簡単に使えるスキルか
③自分の身銭を切り、私的な時間を投資してスキルを磨いているか

①1万時間磨き続ければスキルは専門力に昇華する

「1万時間の法則」とは、
アメリカの著述家であるマルコム・グラッドウェルが、著書『天才! 成功する人々の法則』の中で提唱した法則で、骨子をまとめれば次のようになります。

・大きな成功を収めた音楽家やスポーツ選手はみんな1万時間という気の遠くなるような時間をトレーニングに費やしている
・1万時間よりも短い時間で世界レベルに達した人はいないし、1万時間をトレーニングに費やして世界レベルになれなかった人もいない

この法則には常に疑念が付きまといます。確かに修業期間が1万時間いらないスキルも多いですし、デジタル技術の発展とともに1万時間かけずとも熟達するスキルもあります。

一方で、抽象度の高い専門力は間違いなく1万時間以上必要だと思います。マネジメント力、企画力、マーケティング力、営業力、などです。例えば、マネジメント力ってかなり広いスキルですよね。何をマネジメントするのか、どのような問題(複雑性)をマネジメントするのか、どのような方法を用いてマネジメントするのか、特に最近はデジタルツールを使いこなせるかも重要です。

マネジメントの対象の分解
 └ビジョン・マネジメント
 └戦略・マネジメント
 └プロジェクト・マネジメント
 └ヒューマン・マネジメント

それぞれのスキルの専門家として名乗っている人は数多くいますが、よくよく確認すると、かなり領域が限られている人が多いです。マーケが得意という人も、ブランディングだけだったり、toCだけだったり、SNSマーケだけだったり、かなり専門領域が限られているために、マーケが得意と言うには大風呂敷を広げすぎ、そんな人が結構います。デジマが得意、SNSマーケが得意、プロモーションが得意、など、領域を絞って名乗った方が、顧客にとってわかりやすいし仕事もとれると思います。

逆に、自分に専門的なスキルがない、という人も抽象度を上げると専門力は必ずあると思います。総合職としていろんなことをしている人ほど自身の専門力を明文化することを難しく感じていますが、1万時間以上そのスキルに向き合っているなら、間違いなく専門力と言える力は持っていると思います。

ただし、スキル体得のための修行時間が長ければいいというわけではありません。ダラダラとそのスキルを活用していても、対象物の課題のレベルを上げ続けないと、スキルの汎用性や専門性は磨かれません。つまり、同じ対象物、同じ課題、同じ量に対して同じ方法を実施していても、スキルは磨かれず一定でストップするということです。

20代後半以降は以下を確認してください。当てはまらない人は要注意です。

縦横無尽に専門力が磨かれる環境(課題のレベルが上がり続ける)にいるか
1万時間(5年)で対象の専門力を極めるためのマイルストーンを作っているか
それ以上伸びしろがないのに同じスキルを1万時間以上こすっていないか

例えば40歳であれば最低でも4~5個の専門力がないと、環境か意欲かポテンシャルかキャリアリテラシーか、何かが足りない、または間違えていると言わざるを得ないです。※5年で1個の専門スキルが作られる計算です。

最近はインスタントにリスキリングして、ちょっとした知識とテクニックを売りに副業しようとする人が増えています。周りを見て焦るのはわかりますが、ビジネスの上流で使えるような抽象的な専門力は間違いなく1万時間以上の修行が必要です。目移りせずに、決めた専門力に向き合うことから逃げずに磨き続けてください。

②息を吸うくらい無意識レベルで専門力を使えるか

学歴が高い人ほど自分の強みを伸ばすことよりも、弱点を埋める方に努力しようとしてしまいます。それは、学生時代にテストの点が100点までしかなかったことが起因しています。5教科の総合点で戦う場合、98点の強化を伸ばして100点をとるよりも、70点の教科を伸ばして90点にする方が現実的でしょう。よって、テストが得意な人は、自然に自分の弱点を伸ばす思考になっている人が多いのです。

弱点を伸ばすことを否定しませんが、社会においては得意領域で戦った方が圧倒的に楽です。得意とは「息をするくらい簡単にできること」です。息を吸うくらい簡単にできることはストレスがかかりません。他の人よりも楽に、短い時間でできるでしょう。これってすごく生産性が高いことですよね。

学歴が高く、まじめな人ほど、自分の弱点を埋めようとしたり、人よりもできない領域を悔しく思い、レベルを上げる努力をします。これがまずいのは、「埋めたいスキル」を「やりたいこと」に勘違いしてしまうことです。本当はその専門力を伸ばしてもマーケットでは勝てないのに、普段のフォーカスがその専門力に当たっているために、「自分がやりたいのはこれだ」と勘違いしてしまうのです。

あなたの目の前にある専門力は、息を吸うくらい簡単にできますか?それとも、気合入れないと発揮することが難しいですか?「成果は出せるけど、その発揮のために多くのパワーがかかる」というスキルは専門力として磨き続けるのは止めた方がいいでしょう。いくら頑張ってもあなたより簡単にできる人には叶いません。「好きこそものの上手なれ」なのです。

③身銭を切り、私的な時間を投資して専門力を磨いているか

息を吸うくらい簡単にできる専門力があったとして、そのスキルをさらに伸ばすために、身銭を切って専門書を買ったり、有料セミナーに参加したり、スクールに通ったりしていますか?専門力で戦おうとするのであれば、その努力が必要です。

専門力は誰よりも強いという必要はありません。そんな高いレベルで考えたら、誰も自分に専門力があるとは言えません。しかし、専門力を使って価値を発揮し、報酬を得ようとするのであれば、その報酬に見合うだけの基準まで専門力を磨く必要があります。

あなたの専門力が素人の中で高いレベルなのか、それともプロの中で高いレベルなのか、それを意識している人ほど、自分の専門力に妥協せずに、さらに高いレベルに磨くために身銭を切り、私的時間を投資しています。会社で十分学んでいるという人は、会社という環境、自分が所属するドメイン、特定の課題に対しては力を発揮するでしょうが、それ以外の状況になると途端にポンコツになります。その程度の専門力ではプロとは言えません。

あなたが自分の専門力に誇りを持ち、その専門力で自分のキャリアを切り拓こうと考えているのであれば、身銭を切り、私的時間を投資して、専門力を磨き続けましょう。

『価値観(何を大事にしているか)』を棚卸しする

専門力を持ち合わせていても、それをどこに向かって発揮するのか、という志向とセットでないと、価値発揮してもあなた自身が満足しないでしょう。極端な話、あなたの専門力が暗殺だったとしても、人殺しをすることに喜びを感じないのであれば、その専門力は活かされないのです。

フランクリン・プランナーによる価値観の定義は次のとおりです。

判断基準
理想
最優先事項

価値観とは、何かをするときの寄りどころであり、何よりも先に行うと決めたもののことです。価値観に沿って専門力を活用することで、自分の生き方に迷いがなくなり、軸の通ったキャリアを選べるようになります。

キャリアにおける価値観(=志向性)は心理学者のE.シュプランガーの6つの価値観が使いやすいです。他にも価値観の分解フレームはいくらでもありますが、今回はシュプランガーで説明します。

E.シュプランガーの6つの価値観

E.シュプランガーの6つの価値観については、以下のサイトが非常にわかりやすいです。

専門力を発揮する場面を考えてください。誰に対して発揮すると喜びを感じますか?何を得られると喜びを感じますが?どんな言葉をもらうと喜びを感じますか?金銭報酬にしろ、非金銭報酬にしろ、あなたが専門力を発揮した時に得られる報酬があなたの欲しいモノになっているのであれば、あなたの専門力を発揮している環境は、あなたの価値観に沿っていると言えるでしょう。

『兆し(気づいていない自分)』を棚卸しする

専門力がはっきりしていて、あなたの価値観に沿った環境にいるのであれば、今の状況を継続しても問題はないでしょう。しかし、それを許さないのが人間の「慣れ」と「飽き」です。少しでも変化と挑戦がないと、人はつまらなく感じるようになるのです。

「挑む」という字は「兆し」に「手を加える」と書きます。つまり、チャンスを逃さず掴むということが、あなたの挑戦になるのです。

この1年間にあった兆しを棚卸し、チャンスを逃さないようにしましょう。あなたの持つ専門力と価値観に兆しを掛け合わせることで、挑戦のタネになるでしょう。

棚卸し方は以下の通りです。

①経験:この1年で起きた経験を書き出す
    ☛いつ、だれと、何を、と具体的であればあるほど良い
②意見:経験に対する自分の意見(考え/学び/思ったこと)を書き出す
    ☛経験、感情、価値観と切り分け意見を抽出できるかがポイント
③感情:経験を通じてどのような気持ちになったかを書き出す
    ☛感情がポジティブかネガティブかを分類する。ネガも重要。
④価値観:経験から見えてくる、価値観の再確認や変化を書き出す
    ☛判断に用いた基準や尺度、ものの見方など。

感情を言葉で表現するのが苦手な人は以下のブルチックの感情の輪から選ぶと良いでしょう。

ブルチックの感情の輪

この輪は、円の中心になるほど強い感情を表しています。例えば、憎悪と嫌悪、心配と不安など、感情の細かい差を抽象度の高い言葉で丸めずに、適切な感情の機微を言い表す言葉を選ぶ訓練をすることは、自分を知るうえですごく大切です。鬱になる人は自分の感情を自分の言葉で表現することが苦手です。感情を言語化できるということは、自分のマインドをニュートラルに戻す力をくれます。是非、普段から実践してみてください。

僕に当てはめると2023年1月2日現在は以下のような感じです。

堀内の挑戦のベクトル

ワクワクしかないですね。すぐに動き出します。というか、年末からずっと構想を絵に描いています。臨場感が上がり続けているのでw

まとめ

自分自身の専門力と価値観を理解し、言語化し、また、それらの掛け合わせで自分の本業ができていると言える人は幸せ者です。特に大きな迷いなく業務にあたれていると思います。一方で、今は多様性の時代、そしてVUCAの時代です。自分を自分の軸だけを用いて座標に置くことが非常に難しくなっています。周りを見渡すと幸せの定義が複数あり、様々な挑戦をしている友人を見つけて比べてしまい、マーケットが高速に動くので、自分の強みを強いと判断することも、自分の価値観はこれだと決断することも難しいということですね。つまり、自分がいる座標が絶えず動いてしまうのです。

だからこそ棚卸が必要です。年に一回でも「This is me!」と言える状態を作りましょう。そして、次の一年をどこに向かうか、遠くのゴールを描けない人は兆しを使って斜めにジャンプしてみてください。今は挑戦をする人に寛容な時代です。挑戦する人ほど承認されます。挑戦と承認が同時並行的に起こることで自尊心が強化されます。自尊心が強化されることで、もっと挑戦したくなります。するとあなたの中のエフィカシー(「できる」と思える力)が強化されていくのです。

兆しを逃さないことは挑戦をするうえで重要

是非、24年のスタートダッシュを切るために役立ててもらえればと思います。

noteを読んでもっと詳しく知りたいと思った人は下記よりご連絡ください。

それでは今日も素敵な一日を!

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