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30代後半に差し掛かったところで急に自分の人生の進め方に悩みだしたんですけど?~今までの自分とこれからの自分の狭間で悩むミドルエイジクライシスに差し掛かった35歳(マコト)の悩み①~

こんにちは。株式会社シンシア・ハートで代表取締役をしている堀内猛志(takenoko1220)です。

30代半ばに差し掛かったところで急に不安になる人が増えます。それはミドルエイジクライシスと呼ばれている不安定な状態を指しますが、今回のお悩みのモデルはまさにそういう方です。

お悩み相談内容のサマリは以下の通りです。

35歳男性(マコト)のキャリア

「最近になって特に自分のことがよくわからないんですよね」

マコトは35歳の誕生日を迎えて40代以降のキャリアについて考えることが増えたらしい。30代前半では所属企業の役員になり、その企業で昇格することや、チームメンバーとビジョンに向かって邁進することに何の疑いもなかったのだが。。

マコトは元来、目立ちたがり屋で自信家の性格だった。学生時代は勉強やスポーツもできる方で、周りから「すごい」と一目置かれるのが好きな人間だった。

ゆえに大学選びもブランドを気にして関東の有名私大をいくつか受け、明治大学を選んだ。高校までは甲子園を目指した球児だったが大学ではもっと別のことがしたいと思い企業のインターンシップに勤しんだ。

「他の人とは違う自分でいたい」うまく言語化はできないがぼんやりとそう思っていたマコトは就活で外資系の生命保険会社を選んだ。別に生保に興味があったわけではない。ただ、「一番」「営業力がつく」「稼ぐ」という自分の大事にするキーワードから考えると外資系の生命保険会社が一番であると就活をしていた感じたから選んだのだ。

「外資系で働いている」
「年収は1000万円を超えている」
人には大きな声では言えないが、マコトはこれでマウントをとりたかった。

入社後、最初は成果がなかなか出ずに苦しんだが、途中で辞めることはかっこ悪いというプライドでマコトは踏ん張った。辛くて辞めるというのは言えない分、親が病気になったら辞めるって言ってもカッコ悪くないかな。。そんな思いがよぎったこともあるがそれは内緒だ。
2年目の秋ごろから成果が出始め、3年目には社内の表彰もポツポツ受けるくらいの成果が出てきて仕事が徐々に楽しくなってきた。

報酬も成果に応じて高くなり26歳のマコトは同じ年代の平均報酬の3倍は稼ぐようになっていた。お金もあるし話もうまいマコトは合コンでもそれなりにモテてきてトントン拍子に結婚も決まった。

「俺は同世代の中ではイケている」自信に満ち溢れた状態で20代後半を迎えたマコトは今後のキャリアについて考えるようになっていた。元来目立ちたがり屋のマコトは生保でこれ以上稼ぎ続けても「すごい」「かっこいい」は前ほど得られないなと思ってきていた。人間の大敵「慣れ」である。

そういえば就活でスタートアップの社長をかっこいいと思ったな。。これまでのキャリアを振り返ったマコトは、頭の中で就活時に考えていた「独立」「海外進出」などのキーワードを思い出していた。一方で、今すぐ独立するには経験も能力も足りないと考え、また、来年には子どもが産まれるというタイミングだったこともあり海外移住もないなと思えた。

そんな折にあるスタートアップからスカウトメールが届いた。普段はスルーしていたが、少し気になったので一度話を聞いてみたところ、マコトの今の想いにドンピシャの話をしてくれた。

「今のステージで入ればあなたなら役員にすぐになれる」
「IPOを目指しているのでSOが手に入る」
「海外進出を目指しているのでゆくゆくはその責任者を担って欲しい」

役員、IPO、SO、海外進出、マコトにとってキラキラしたキーワードに溢れている誘いで、すぐに転職を決めた。マコトの妻は少しいぶかしげであったがマコトの勢いに負けて承諾した。突っ走る自信家なのはマコトの良いところだと妻は理解していた。

転職先のスタートアップは50人くらいの規模で、webマーケティングのプロダクトを開発と販売をしている会社だった。マコトはフィールドセールスのリーダーとして入社した。toCからtoBへの変更など最初は戸惑うこともあったが、人の懐に入り高額の商品を決断してもらう術は前職で身に着けていたので、すぐに成果がついてきた。

入社半年でフィールドセールスのマネージャーとなり、その一年後にはインサイドセールスの責任者も兼務し、数年後にはビジネスサイドの全責任を担う執行役員にまで昇格した。役員になっても報酬は生保の方が高かった。しかし、チームメンバーと一緒に自社プロダクトの拡散に従事する日々は金銭以上の報酬を感じられたし、何よりも友人や知人に役員と名乗れることが誇りだった。

順風満帆に見えたマコトのキャリアが陰り出したのは33歳の誕生日を迎えたころだ。IPOができなかったこともあり開発のキーマン数名が退職し、自社のプロダクトよりも安価で機能性が高い競合のプロダクトに負けるようになってきた。その頃、マコトは国内事業の責任者を後任に譲り、念願の海外進出に向けて市場調査をしていたのだが、足元の事業が落ち込み始めたので、再度国内事業セールスの再建に奔走することになった。

それから1年、ようやく足元の業績が落ち着いてきたが、経営方針で海外よりも国内事業で既存プロダクトの機能を拡張することに注力することが経営会議で決まった。経営の一角を担うマコトは経営判断には頭では理解する一方で、心ではモヤモヤを抱えることになる。これがトリガーになりマコトの迷走が始まる。

プライベートでは子どもが生まれ、家族との生活を考えて鎌倉に引っ越した。鎌倉は町おこしが進んでいるので、様々な人に出会うことができた。そこで感じたのは皆が誇りを持って働いていることだった。やりたいことが明確で、今の仕事に情熱を持っているー。そんな人と触れ合ううちに自分を省みるようになった。

✓ガムシャラに仕事に取り組んでいたおかげで今のポジションや役割に不満はない
✓一方で、今の仕事が本当にやりたいことかと問われると違う
✓海外に出て世界で戦う人材になりたいと思っていたが本当にそれが正解なのだろうか
✓鎌倉に住むようになってから自分に大切なのは家族や地域貢献なのではないかと思うようになっている
✓未来のための修行と捉えた20代と違い40代以降はその力を使って本当にやりたいことに時間を使うべきなのではないか
✓家族が大事で家族のために時間を使いたいと思うが、自分の同期で独立した人材やスタータアップの役員になって活躍している人材を見ると悔しく思う自分がいる
✓しかし、また新しい環境でイチからキャリアを作るくらいコミットできるのかと自分に問うと20代の頃のようにガムシャラにできる自信はない

色んな葛藤に迷うマコトにスカウトが届いた。何社かの話を聞き、最終的に2社に絞った。

候補①:自分の現在の趣向に沿ったワーケーション事業を展開する30名規模のスタートアップの役員候補ポジション。働き方が自由で家族との時間をちゃんととれそう。

候補②:海外事業展開を目指すAISaaS系事業を展開する200名規模のダイレクトセールス部門の責任者候補。マーケットが大きく伸び盛りの社内には優秀な社員が多い。

①に行けばまさに好きなこと、興味のあることを仕事で実現できるし、働き方も今の自分にはぴったりである。しかし、マーケット規模は小さく、将来性が本当にあるのかが不明確である。ただし、社長や社内メンバーの雰囲気は自分にすごく合っていると感じる。

②に行けばずっとやりたかった海外事業に挑戦できる可能性が高い。シリアルアントレプレナーの社長と優秀なメンバーと大きなマーケットでビジネスを展開するのは非常にやりがいがある。社長が掲げる大きなビジョンにも共感する。しかし、それだけ優秀な人材の中で自分が成果を出せるのか不安があるし、働き方もかなりハードそうだ。

どちらを選ぶのが正解か。
マコトは答えが出せずに時間が経つ中で、自分自身のことがさらにわからなくなっていた。

マコトのキャリアのポイント

はたから見るとそれほど悩むことなのか?と思ってしまうマコトの状況。しかし、本人は自分自身のことだからこそわからないし答えが出せないという事態に陥っています。

しかし、これはマコトに限ったことではないはずです。他人から見たら悩むほどのことではないこと、シンプルに見えることも、自分にとっては複雑で、答えが出せずに悩むということは誰しも経験があると思います。

特にマコトのような30代半ばに差し掛かった人は一度はこの道を通ります。それが「ミドルエイジクライシス」です。ミドルエイジクライシスとは、人生の中盤に差し掛かり、仕事もプライベートもある程度の経験を積んで、今一度、自分自身を振り返る時期を迎え、今までの自分とこれからの自分の狭間で、「このままでいいのか」と不安や葛藤を抱え、不安定な状態になることを指します。

やるべきこと V.S.  やりたいこと
やりがい   V.S.  自分らしさ
自分のため  V.S.  家族のため
自己承認   V.S.  他己承認

この辺りの葛藤に苦しみます。次回は解説編として「ミドルエイジクライシス」とその対処法について書きたいと思います。

マコトと同じような悩みがある、具体的にキャリアコーチを受けたい、自身のキャリアデザインをして欲しい、転職相談をして欲しい、という人は以下のフォームよりご連絡ください。


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