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こんにちは。堀内猛志です。
今回は、福島で行ったワークショップについて紹介します。

前回の高知編は以下よりご確認ください。

なぜ実施したのか?

プレワークショップの実施目的は高知編に掲載しました。

①夏期にビジネススクール生向けに実施する短期ワークショップのポイントを整理し、イメージを固めること
MIGIUDEはMBAホルダー特化型のサービスです。とはいえ、MBAホルダーがビジネススクール卒業後すぐに経営者の戦略パートナーとなるイメージを持ち、実施できるかというと、全員がそうではないと思います。そこで大事なのが、実際にやってみて「できる!」という感覚を持ってもらうこと。そのために、ビジネススクール生の授業が休みとなる夏期休暇期間を利用したワークショップを実施しようと思っています。短期間での実施、且つ、チームで参加できるというスキームによって参加ハードルを下げるとともに、授業ではあまりない「実際の企業に対してビジネススクールで学んだことを活用した戦略構築」というワークショップに仕立てようと思っています。また、実際に行うなら地方へのショートトリップの方が、イベントとして楽しいだろうと考えました。
②ご協力いただける企業様との関係を作るとともに、MBAホルダーのケイパビリティについて信頼を持ってもらうこと
①の目的を達成する前提として、ご協力いただけるような企業様がいないことにはスタートができません。まずは実際に自分自身がご協力いただけそうな企業様を理解し、また、当該企業様にMBAホルダーのことを知ってもらい、実施したいと思ってもらえることが何よりも重要だと思いました。そこで、国内でも課題先進県とされている高知を選び、友人のつてを頼りに今回のプレワークショップが実現しました。

プレワークショップ高知編より

今回の福島は前回の高知とは違い、東日本大震災によって引き起こされた原発事故による風評被害の問題、また、国からの補助金や助成金によって複雑化する問題、これらを踏まえて自分たちは何ができるかを考えるという論点がありました。

社会課題、地域課題に取り組むことを方針としているMIGIUDEにとって、福島が抱える問題を理解することは非常に重要だと考えて実施しました。

何を実施したのか?

今回のプレワークショップにご協力いただいたのは、福島にある葛尾村を活性化することを目的とする「葛力創造舎」様です。

葛力創造舎(かつりょくそうぞうしゃ)は、通常なら持続不可能と思われるような数百人単位の過疎の集落でも、人々が幸せに暮らしていける経済の仕組みを考え、そのための人材育成を支援する団体です。

葛力創造舎の「葛」は、福島県双葉郡葛尾村の葛です。原発事故により全村避難となった葛尾村。震災前も1,500人しかいなかった村の人口は、避難指示解除後100人まで減り、将来も300人程度と見込まれています。いずれ消滅すると思われてしまう規模でしょう。

しかし私たちは、300人の村でも人々が幸せに暮らしていける方法を模索すべきだと考えます。そのためには、地域の資源を使って事業を起こし、収益をあげて地域に再投資する仕組みをつくること。そして、その循環を可能にする人材を育成することが必要です。

葛力創造舎はそれらを使命とし、葛尾村をはじめ、極端な過疎に悩む福島県双葉郡の原発事故被災地を中心に活動しています。

葛力創造舎HPより

今回のMBAホルダー側は下記の5人で参加しました。

葛力創造舎ziccaより

■すえおか兄さん:22年WBS卒/大手広告代理店D社
■こじけんさん:23年WBS卒/大手広告代理店H社
■まほさん:23年WBS卒/大手通信企業K社
■いぐちさん:23年WBS卒/会計事務所経営
■堀内:23年WBS卒/株式会社シンシア・ハート株式会社SEEFY代表

今回は問題が複雑なため、事前のインプットで仮説立てすることでバイアスがかかるかもしれないので現地の声をちゃんと聴いてから考えることにしました。

どのように行ったのか?

ここからはトリップのタイムライン通りに紹介させていただきます。前回同様、空気感を伝えたいので日記風に展開していきます。

7時半に新宿ロータリーを出発。

高知に行った3人は自動車で福島を目指しました。他の2人は新幹線移動です。

前日の大雨が嘘のような青空です。

ならはパーキングエリアの様子

福島に入ってから高速道路で自動車をほとんど見なくなりました。転々と一軒家がありますがほとんど空き家、そして写真のような放射線量を示す電光掲示板が所々にあります。

11時30分に葛尾村に到着。

葛力創造舎ziccaの正面入り口
葛力創造舎代表理事の下枝さん
ziccaからの景色

毎月2回、我々のような県外からの人材を受け入れているとのことで、宿泊する部屋や台所があります。どぶろくを作る申請もされているとのこと。ステキな場所です!

まずはフィールドワークをしようと考えていたところ、なんと当日は葛尾村100周年記念のお祭りがあり、葛尾村にある企業が全て集まっているとのこと!

葛尾村制100周年感謝祭 あぜりあ市
協賛企業とありますが、葛尾村にある全法人とのこと

ランチをし、お土産を買い、村民の方の空気感を味わうことができました。こういう現地現物の空気感を感じるのがフィールドワークの醍醐味ですね。

さて、ziccaに戻ってディスカッションのスタートです。

まほさんは絵が上手

下枝さんから葛力創造舎の取組みや、葛尾村の状況や課題についてインプットをいただきました。

■震災前の人口(1500人)に対して補助金が出ているので、現在の居住人口(200人)では十分すぎる金額であり、現状維持で生きることができてしまう。
■家屋を潰すことに補助金が出たために、村外に避難した人のほとんどが自分の家を潰してしまい、避難した人が戻る場所がないだけではなく、空き家がなくなったので、新しい住民を受け入れる住居が不足している。
■葛尾村にある法人に対して出る補助金を使い、登記上の業態は残したまま村外にて他業態の事業を開始する人もいて、葛尾村にある事業が廃れるし、新しい事業が生まれない。

復興するためにあるはずの補助金が問題を複雑化している現状を知りました。また、人口の80%が高齢者であり、その人たち一人一人にインタビューをしたところ、彼らは現状維持を望み、人口を増やすことやそれによって村の雰囲気が変わることは望んでいないという世代間格差の存在も知りました。都会に疲れ、田舎で暮らすことを望んでくる新住人もいなくないそうですが、やはり、既存村民とのコミュニケーションは簡単ではないとのことでした。

経済産業省の復興推進室の早川さんと小池さんが立ち寄って議論に加わってくれました。

ディスカッションをしている途中で色んな人が訪れてきました。
ziccaの戸は開けっ放しなので近所の人から通りすがりの人まで気楽に入ってきます。自分が子どもの頃の田舎の風景を思い出しました。

1週間前に香川から引っ越してきた親子も参加してくれました

公的な目線、住民の目線、など様々な観点を一気に知れたのは非常に良い機会でした。高知と違い、定めたゴールに向かって一直線に議論することは叶わないと判断し、フィールドワークでしかできないインプットに努めることにしました。議論はオンラインでもできますが、情報収集は現場で直接当事者からヒアリングしないと理解できないことが多いです。机上やネットでは絶対にわからない情報を得ることができて非常に有意義でした。

地域ごとに根深い課題があることは重々承知していましたが、葛尾村のそれはさらに深い課題があり、このnoteだけで到底書ききれない重さと深さがあります。葛力創造舎さんと協力しながら持続的な協力ができるようなスキームを作っていきたいと思います。

帰る前の集合写真

実は私は次の日に外せない予定があったために一人で岐路につきました。キャンプファイヤーをしたかったので後ろ髪を引かれる思いでしたが、たった1日でも濃密なインプットと出会いがあったので満足です。


新幹線の出発時間までの間、郡山駅で福島の名物料理を堪能しました。

福島県名物の馬刺しと特別純米の安積野
鯉のカルパッチョ

日本酒がグラス1杯390円~という驚きの安さだったので飲み比べを堪能できました。


葛尾村だけではなく、福島へのショートトリップには助成金が出ます。何とか関係人口を増やしたいという痛烈な想いを感じます。協力したい、まずは自分も知るところから始めたいという方は、以下のサイトからお申し込みください。


今回の旅でも数々の方からのご協力をいただきました。この場を借りた御礼を申し上げます。ありがとうございました!

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