自粛の夏に、自転車を買った話
31歳になった夏、彼は自分がすでに人生の折り返し点を曲がってしまったことを確認した。いや、これは正確に言うならば、31歳の夏にして人生の折り返し点を曲がろうと決心した、ということになるだろう。
給与が落ちた。ガソリン代をケチり始めた。駐車場代もきつくなり、仕方なく長年乗った愛車を手放した。Covid-19に関連して旅行を控えた。在宅勤務で加速する運動不足、そしてストレス。ダウンサイジングされた生活のなかで、ふとした衝動が湧いた。「遠くへ行ってみたい」
僕が自転車を買おうと思ったのはそういった経緯で、自転車を買った。イタリアはGIOS社のクロスバイクMistralだ。
写真は穴守稲荷付近にて。
このネイビーブルーは2020年の限定色だ。深い青色が好きな僕にとって、どうしてもこの色が欲しかった。しかし輸入自転車は毎年秋のモデルチェンジ・シーズンに向けて在庫を絞っていくので、モデル末期となる夏時期、欲しいサイズ・カラーを確保するのは至難の業だそうだ。
おまけに自転車という製品はインターネット販売が恐ろしく未熟だ。日本で一番売れているGIANT社はネット販売を許可しておらず、個人商店での対面販売が主。在庫管理もいい加減で、電話で問い合わせても生返事なのが店頭在庫にあったりする。この色欲しさに首都圏の自転車屋を巡って(池袋・渋谷・新宿・横浜・川崎…)ようやく見つけた。これだけインターネット販売が普及した世の中で、在庫確認すら電話か来店が原則。ここまでネット販売が未発達な製品は久しぶりだった。
ちなみに定番色は、GIOSブルーという独特の青(スバルのSTIブルーに近い)と黒・白・銀の3色。2020年の限定色はサクラ・ネイビー・グリーン。限定色は年によって変わるので来年も同じ色があるとは限らない。
だったら、一番好きな色に乗りたいよね。
城南島海浜公園への道。思いついたまま適当に走り出してしまう。
自転車のよいところは、罪悪感と無縁なところだ。走れば走るほど自分の健康に良い。燃料代は一切かからない。駐輪場も1日止めて100円、短時間だと無料。排気ガスも騒音もない。
自転車に乗るのは学生時代以来だ。当たり前のように最初の数日は筋肉痛になった。最初は10km、近所を数日…そうして筋肉痛も収まってきたある日、羽田空港までの往復20km、城南島までの往復60km…と距離を伸ばしていった。
なお慢性的な筋肉痛は冷やす(湿布)よりも、温める方がよい。私は下記のあずきパッドを愛用しています…笑。
あと、近所でも1駅くらいなら15分弱で走れてしまうので、少し遠いスーパーも購入範囲になった。たまに違う場所へ行くと気分転換になってよい。日が落ちて気温が下がってきたら、多摩川沿いをのんびりと走ってみたりする。いい生活だなぁと思う。
そんな感じで、自転車生活が始まりました。