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日産サクラ 軽で挑む普及EV

軽には興味がありませんか?

そんなことを言われてしまった。いえいえ、興味ありますよ。でも乗れる機会がなかった。そんなわけで軽自動車の電気自動車、日産サクラについて書いてみる。

見た目の感想「小さな上級車」

グリルをヘッドライトより下げると低価格車、上にすると高価格車というデザインテーゼがある。サクラは平行するようにしており、普通の車と少し違った印象を受ける。電気自動車らしくグリルに穴はないのが特徴的。パッと見ると軽?と少し不思議。ホイールもあえてフラットなカバーで、ネジ穴もなく近年の日産らしい「電気で走る今までにない乗り物」感は出ていた。

内装もしっかりファブリックで包まれており、デイズやルークスのような触れてみるとプラスチック…ということはない。もちろん価格帯が違うからだけど、こういうところを見ていると満足感はある。

乗ってみた感想「重厚感」と「普通さ」

走り出すとしっかりとした感覚がある。軽にはない「重いものが走り出す」重量級セダンのような感覚。これはバッテリーなどで車重がやや重いこととボディ補強の恩恵だろう(同型デイズが800〜900Kgに対して、サクラは1tを超える)。パッと乗ると軽とは思えない感覚がある。

内装も最近の日産らしくファブリックで包まれたシックさがとても良い。今まで軽自動車を毛嫌いした層に対して、ダウンサイズを感じさせないまま、取り扱いの良いプレミアムコンパクトとして響くように感じる。2百万円程度という手の届く車の中で、最も品質が良いものを探せばサクラは有力な候補になると思う。

但しインフォテイメント周りは「軽自動車」のそれであり、普通だ。最先端EVの未来感はあまり感じられない。コストパフォーマンスや環境性に敏感な層には受け入れられる一方で、テスラやアリアなどを求める一定水準の収入を持つパワーカップルやYoutuberという層は興味を示さない気がした。

PRの取り組み

マーケティングもブルーボトルコーヒーと組むなど、少し毛色の違う取り組みが見受けられる。アリアなどが高価格帯に位置する一方、サクラは低価格でコスパや親しみやすさを全面に押し出している印象。

矢沢永吉や木村拓哉などの「アウトロー」的なPRで嫌悪感も覚悟のダーティかつ攻撃的なイメージを押し出していた日産からすると、松たか子や長濱ねるといった「新しい世代」「世間一般」のいずれからも「好感」もって迎えられるキャスティングも好印象に思う。(ロングヒットしているオーラも、CMキャストは中谷美紀ですね)

変わらない充電プランZESP3

実は電力プランは三菱の方が安い。日産のZESP3は日産以外も契約できるオープンプランだが、三菱は三菱の特定車両ユーザーしか契約できない。そのためだが充電料金が日産と10倍近く開きがある。「走り潰す」ユーザーであれば三菱を選ぶのもありだろう。(但し車両リセールを考慮すると…だが)

あと旧型リーフから乗り継いでいる日産EVのロイヤルカスタマーに対しては、充電し放題プランとか、もっと配慮があってもいいのだと思う。不祥事続きでリセールもよくなかったリーフEVを乗り続けてくれた日産の財産に対して、ZESP2からの突然の値上げはあまりにも冷たい仕打ちの気がする。買った後のサービスにもうすこし注力してくれれば、日産車を心からお勧めできるのだけど。個人的には「欲しい」という人以外に、強く勧めるのを躊躇うのはこういう日産の企業姿勢だ。

どんな人が買うのだろう

単純に2百万円を切ると、20代後半くらいの方でも購入価格帯に入ってくる。通勤で使って、支給されるガソリン代を車両代に当てれば実質無料で乗ることもできるだろう。リーフと違って注目度もあり、乗っていると話しかけてもらえて好感を抱かれる。そういった「乗っていて、誰にでも好かれる」ところがサクラの魅力だと思う。(今はスポーツカーとか乗ってると肩身が狭いんだ。自動車関連会社に勤めていても。)

一方でハイテク感や進化していくワクワク感は、少し薄い。インフォテイメント周りを鍛えて、日産EVシリーズで統一感のある体験ができれば、もっと楽しくなる気がする。この辺りはハードウェアよりはるかに進化が早いのだけど、逆に言えばアプリ制作をサードパーティに解放するとかそういう発想ができないと陳腐化が早くて危険な気がする。(この分野はTeslaが圧倒的に強い)

この先日産がどういう方向に進んでいくのか、ちょっとインフォ周りは将来像が見えない。今はよい製品なのだけど、トヨタ含めて国産全般に言える将来ロードマップのような姿がないのがちょっと不安。

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水と月
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