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たゆたう三十代

三十代を取り巻くお気持ちを、まずは家賃の話で喩えてみよう。概ね、次に語る二通りの反応に別れた。

「それだけ稼いでいるなら、もっといい家に住むべきなんですよ。モチベーションが上がって、もっと相応しいよう頑張れるでしょう」

最近、周囲からこう言われることが増えた。こう言ってくる人の大半は通勤圏内に実家があり、その気になれば実家から通えた人たちが多い。独身時代に趣味のように一人暮らしをやって、数ヶ月でやめて実家に戻る。多少無理をしてもバックアップがあった人たち。

「月々の支出は余裕をもった方がいい。スポットでの大出費はいいけど、固定費は万一の時に生死を分ける。最後に頼れるのは手元の現金だぞ」

こういう人たちは過去に痛い目を見た人、元々堅実な人、経験値はそれぞれだけれど、ほぼ例外なく「上京組」だ。(エリアに関わらず、他府県から来て、望む望まずに関わらず一人暮らしを経験した人を指す)。金融の知見もあるしローンも使うけれど、いつでも一括返済できる程度の貯蓄もしている。

これらの両者の価値観の違いは、どうやっても埋められない気がする。身をもって体感したことしか人間信じられない。

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家の話に喩えたのは、比較的誰でも通るわかりやすい事例だから。これがライフステージの話になると、またややこしいことが増える。

昇格・転職・結婚・出産・転勤・Uターン・・・30代も半ばになると、「なぜ」「どうして」という言葉を重ねてぶつけられることが頻繁にある。

個々のそれらについて、書いたり答えたりするつもりは微塵もない。理由はいくつもある。柔らかいもの、現実的なもの、それでもそれらを言葉にするのは危うい気がしている。言葉にしてしまうと、それなりに大きな意思になるし、いらない騒乱を生む。

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あったらいい。でも、なくてもいい。今のところはどちらの人生もある。ただし、いずれも片方の未来には時間の限りがあり、後悔しないためにもやることはやっておきたい。だから機会があるのなら、まずチャレンジはすることにしている。それで結果がダメなら、それはそれ。

強い執着を持たず、揺蕩うように。そういう緩い生き方があってもいいのではないでしょうか。


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水と月
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