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人が動くキャッチコピーの書き方。

この記事は、2017-11-13に執筆されたものです

こんにちは。UXデザイングループ マネージャーのアタラシです。UIライティングを考える連載第四回です。今回は、コピーライターであるぼくが、「人が動くキャッチコピーの書き方」について、実例も混ぜながら書いてみます。

コピーライターって何?

そもそもあなたは、コピーライターがどんな職業かご存知でしょうか?

・そんな職業、知らん。
・コピーライターとライターは、何が違うの・・・?「コピー」の部分が意味わからん。
・「コピペ」を多用するライターのこと・・・?
・糸井重里みたいな?ゲームとか、釣りとか、手帳とか、そういう何か・・・?
・うーん、とにかく気の利いた言葉を書く仕事だったはず・・・?
・知ってる知ってる、キャッチコピーとかネーミングを書く仕事でしょ?

最も近いのは、一番下の答えですかね。僕の肌感では、キャッチコピーを書く仕事、というイメージを持っている人が多いように思います(ちなみに、コピーの中でも、人の目や心を惹きつけるための役割に特化したコピーが「キャッチコピー」と呼ばれる)。コピーライターの仕事は、コピーを書く仕事。その認識は間違ってはいないですが、実は「書く」スキル自体は、コピーライターが持つスキルのうちの30%くらいでしかありません(コピーライターによる)。じゃあ、ほかの70%は何か?

コピーライターのスキルの70%を占めるものとは?

コピーライターの仕事のほとんどは「何を伝えるべきか考える」です。仕事の始まりから終わるまでを、ざっくり4段階に分けるとこんな感じ。

1. そもそも本当の課題は何か
2. そもそも本当のターゲットは誰か
3. そもそも何を伝えればいいのか
4. じゃあどう言えばいいのか

1〜3が「何を伝えるべきか考える」フェーズ。4がいわゆる「書く」フェーズで、これだけがフィーチャーされがちです。

コピーって何?

これは「言いたいことが伝わる文言」のことです。これね、マジで難しいんですよ。いまだに上手にできない。ぼくのコピーの師匠から口酸っぱく言われ続けていたことがあります。「お前のコピーは全然ダメだ。伝わってない。伝えているだけだ」と・・・。「伝える」と「伝わる」??そこには、どんな違いが?

「伝わる」コピーとは何か

それは、ひと言で言えば、「人が動く」ということです。人が動かないコピーは、存在価値ゼロ。すべての伝達作業のゴールは「相手が、実際に動いてくれること」ですよね?これを絶対に忘れてはいけません。伝えているだけで、伝わっていない言葉の代表例は、よく親に言われた「勉強しなさい!」とかですかね・・・w この手の、ただ「伝える」だけの言葉を何度繰り出したところで、相手が行動することはほとんどありません。

どうやったら「人が動く」言葉が書けるのか

ここまで書いてきた通り、「人が動く言葉」とは、「自発的行動を誘発する言葉」ということです。要はモチベートするってことですね。そのために意識すべきなのは、そのコピーの中に、「受け手の便益(ベネフィット)」が含まれているどうかです。動きたくなる理由や価値観を言語化して、受け手に提示する。『北風と太陽』で言えば、太陽のやり方。先ほどの「勉強しなさい!」は、ただの北風。

実際の書き方は、コピーライターによってそれぞれだと思いますが、基本的には、

1. まず受け手の便益を考えまくる
2. 便益の中から芯を食ってそうなものを選ぶ
3. その便益が伝わる表現を考えまくる

という感じです。いくつも書きながら、「この言葉で本当に人は動くのか?」と常に自分を疑いながら、ひとつの答えに、にじり寄っていく感じですね。確信なんて持てないけど、それでもなんとか自分なりの答えを出す。でも、WEBサービスに従事している方は、もしかしたらこんなことを思うかもしれません。「そんなにごちゃごちゃ考えなくても、A/Bテストすりゃ、そのうち一番いいコピーに辿りつけるもんね」

最強のA/Bテストとは

試せばわかる。それは間違いない。紙では難しいですが、WEBでなら、いくらでも試せます。絶対にA/Bテストしたほうがいい。でも、そこに落とし穴があると思っています。というのも「その試すコピー達の精度、ちゃんと高いですか?」って思うからです。精度が低い言葉で100パターン試しても、精度が低い中でのNo.1が明らかになるだけ。本当に人が動くコピーを絞り込むには、やはり、精度の高いコピーを複数用意するしかない。逆に言えば「コピーライター×A/Bテスト」をサービスづくりに組み込めると、文言に関しては、もう最強だなと思います。

実際に具体例をいくつか書いてみますね。

たとえば「街頭での募金」。街頭で募金を集めている人がいて、その人の掲げるボードには、こんなことが書かれているとします。

ハリケーンの被災者のために募金をお願いします。

どうでしょうか。これは言いたいことを「伝える」言葉です。一定の募金も集まるでしょう。でも、まだまだ「伝えているだけ」のコピー。おそらく「募金意欲の高い人」しか動かせないでしょう。でも、それでいいんでしたっけ??募金活動の目的は「募金を集めること」ではなく「少しでも多くの募金を集めること」にあるはず。単に「伝える」だけでは、効果は最大化できないのです。

コピーライターが書くとこうなる。

なお、今から出す具体例は、あくまでプロトタイプです。実際にコピーとして世の中へアウトプットするときは、ここからさらに磨きまくってシャープな言葉にします。(さすがにブログ用にそこまでやる元気ない)

【お題】街頭で少しでも多くの人に募金してもらうためのコピー


<例1> 
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100円の価値を大きくしてみました。平均年収が1/10の国へ送られる募金なら、こういう言い方もできたりしますね。

<例2> 
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100円の価値を大きくしてみました。上記と違うのは「子どものために」という感じを付与したこと。ちなみに、とある国では、100円が10人分の給食費用に相当するらしいです。

<例3> 
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あえて本音を言ってみました。冒頭に「正直に言います。」という言葉を置くか置かないかで、だいぶ印象も違ってきますね。

<例4>
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互助的、保険的な意味合いを持たせてみました。募金する側にもメリットがあると、より多くの人が動くだろうな、と。でもちょっと長すぎるし、熱意ありすぎる感じが、ちょっと人を遠ざけてしまいそうかも。

<例5> 
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親子連れが多い街頭での募金活動なら、こういうアプローチもありそうです。ちょっと上から目線なので、まだまだ洗練させなきゃかな・・・。

<例6> 
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無理矢理に女子を狙ってみました。こんなに明るく言われたら、あんまり深刻じゃなさそうだし、逆に募金総額は減るかもな・・・。


どうでしょうか。正直うまく書けたとは思わないですが、単なる「募金お願いします。」というメッセージだけしかないよりは、これらのコピーがあったほうが、人が動くような気がします。コピーライターは、こんな感じで、効果を最大化するために、何を伝えるかを考え、伝わる表現で、コピーをアウトプットします。ちなみに、上記のコピーを書くのにかけた時間は1時間くらい。実際に仕事をするときは、8時間くらいは欲しいところです。

まとめ

コピーライターとは?

「伝わるコピー」で人を動かす、言葉の技術職。(コピーライターって、デザイナーやエンジニアと同じく、技術職なんですよ)

伝わるコピーとは?

「人が動く」のために、受け手の便益を考えて、新たな価値観を言語化して提示したもの。

ちなみに、コピーはコスパ最強。

まず、時間的コストが低い。デザインよりも数倍早くアウトプットできます。個人的には、2〜5倍くらいのイメージがありますね。そして、外注コストが低い。キャッチコピーの制作費は、デザインに比べるとけっこう安いです(あえて具体的には書かない)。

今回の募金のお例でいくと、募金箱のデザイン、被災地の様子を伝える看板のデザインなど、いろんなデザインが必要になります。でも、もし、めっちゃ人を動かせるキャッチコピーが存在するとしたら?時間的、金銭的コストをかけてデザインされた何かを用意しなくとも、大きな画用紙に、そのコピーを手書きで書いて、掲げるだけで、一定の効果が出せちゃうかもしれません。

お知らせ

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