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何もない国
こんにちは。写真家の秋月です。今日はこのあとアメブロの方でインスタの使い方を書くことになっているのだけど、まずはnoteにまた旅の話を書こうと思う。
アイスランドは素晴らしい。いきなりでスミマセン。でもこれだけは言わせて欲しい。アイスランドは素晴らしい。こう言わずにはいられないのだアイスランド。愛しています。
ではいったいアイスランドの何が素晴らしいのか。いろいろな意見があるだろうけど、私はこの”ひとこと”に尽きると思っている。「何もないけど全てある」このひとことだ。カッコつけているように聞こえるだろうか。元来私はカッコつけたりはしない人間で、、、いや私の話はいい。
アイスランドに行ったことがある人なら「そうそう!それ分かる!友達なろ!」と私に擦り寄ってくるだろうけど、私はそんなに簡単に人に対して心を開く人間ではないので友達になるのは控えておこう。ただし、私の意見に同意してくれることには最大の賛辞を送りたい。「お前、よくやった」と。
アイスランドには何もない。いや正確に言えばレイキャビークという首都があり、町があり、空港もビルも商店ももちろんある。首都を離れてもまた町があり宿があり大自然という観光資源もある。たくさんのモノに溢れているのだが、つい何もないと言ってしまう、いや言わされてしまうのだアイスランド。
私の所感では、余計なものが何もない。といったところなんだけど、実はこれも少し違うような気がしてくる。アイスランドの”何もなさ”を正確に描写する語彙力を私は持っていないのかもしれない。
町から町へ向かう道路の両脇には溶岩質のゴツゴツした岩しかない。もしくは低木の森(のようなもの)や苔むした草原(のようなもの)があるだけだ。進めど進めど代わり映えしない景色。遠くには切り立った崖が見えるだけ。本当に何もない。ハワイ島の真ん中を突っ切るサドルロードを走っている時も同じような感覚に襲われたがアイスランドはそれ以上にひたすら何もない。
ただ、不思議なもので、この何もない国にはどこに行っても感動がある。
例えば、首都レイキャビーク。たいていの国の首都と言えばビルが乱立した都会で、人もたくさんおり、交通量も大変なものだと思う。しかしアイスランドの首都レイキャビークは日本の地方都市くらいの規模感で高層ビルというものをほとんど見た記憶がない。首都なのにだ。
もちろん首都だからアイスランドの中では一番人口が多いんだろう。だからマンションらしきものはたくさんあるのだが、いわゆる高層ビルが、、、あったっけ?レベルで思い出せない。「首都がなんか可愛い」私がレイキャビークに持ったイメージだ。
この、「首都なのにこの規模感なの?」に心をキュッと掴まれた。ああ、恋しいアイスランド。
他にもそこら中にある雄大な滝を孕む大自然。その中でもとりわけ私の心をきゅっきゅきゅっと掴んだものがある。それは、そう、みなさんご存知、オーロラだ。
でもこのオーロラ、私が日本で持っていたイメージと全くもって違った。これに関しては現地で笑いが出たように記憶している。こころの中で「うそやん!」と叫んでいた、いや声に出して叫ばずにはいられなかった。
オーロラ。みなさんはどんなイメージをお持ちだろうか?あくまでも私の場合はということで話を進めさせていただくが、まずオーロラを見るためには、アイスランドなど北欧の国(アラスカでも見れるね!)に行く必要がある。
そういう意味では私はアイスランドに行ったわけだから第一歩はイメージ通りだ。そう、北極に近い国に行くのだ、まずは。
問題はそこからだ。アイスランドに行く前の私はオーロラを見るためには「まず北欧の国に行って、現地のツアーか何かに申し込んで、モッフモフのダウンジャケットとかの防寒装備を整えて、バギーかなんかで冒険に出て、オーロラを見るために山の上(もしくは森の中)に何日も泊まり込む」ものだと思っていた。さらに、そこまでしてもオーロラを見れるかどうかは運次第。そう思っていた。いや、そうテレビで見ていたのだ。
イモトアヤコか誰か旅芸人が過酷なロケの末見れる。それがオーロラ。選ばれし戦士のみに齎(もたら)される宇宙からの祝福。それがオーロラであり、オーロラとはそうあるべきだったんだ!
申し訳ない。思い出し憤りをしてしまいました。
このオーロラに対する概念をことごとく覆したのがアイスランド。そして、その首都レイキャビークだ。
確かに現地にはオーロラツアーなるものがあり、アイスランドを訪れた旅人はこぞってそれに申し込んでいた。例に漏れず私も申し込んだ。
ツアーの内容を見ると、レイキャビークの街から大型バスでどこかよく分からない街の明かりが見えないところに連れて行かれ、ひたすらにオーロラを待つというものだった。おお、思っていたのとはちょっと違うけど、オーロラをわざわざ見に行く感が旅の雰囲気をさらに盛り上げるではないか。
しかし残念なことにそのツアーでオーロラは見れなかった。「ああ、なるほど、やはりオーロラは簡単には見れないのか、イモトレベルの過酷な旅の末享受できる奇跡のようなものなんだ。」
もともとハードルが高いと思っていた私はそこまでガッカリはしなかった。むしろ、やっぱり見れないよねといった感じだった。
そして帰ってきたレイキャビークの街。ツアー会社から宿の近くまでレンタカーで帰り、車を止め、スーパーに歩いて買い出しに行き、両手いっぱいに水やら食べ物やらを抱えて宿まで歩く道すがら、ひとりのおじさんが空を見上げていた。私も視線をおじさんとシンクロさせる。そこにはあってはいけないはずのオーロラ。。。
オーロラはアイスランドでは首都レイキャビークのど真ん中で普通に見れるモノでした。運が良かったから見れたのかわからないけど、その後も旅の途中でも何度もオーロラを見たと記憶しています。
このオーロラに対する概念をひっくり返してくれたところもアイスランドの愛すべき点である。と私は思う。残念ながらオーロラと出会うタイミングでカメラを持っていなかったので写真を撮ることは出来なかったが、生のオーロラを肉眼で見れたことは本当に嬉しかった。
前回の投稿で「今まで行った国(街)でどこが良かったですか?」の質問にチベットが必ず入ると書いたけど、アイスランドは「良かった上にまた行きたい国」という意味ではチベットより思い入れがあるようにも思う。
また行きたいアイスランド。何もないが感動しっぱなしの旅になること間違いなし。
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