いわきFC: 敗因分析、AIに訊いてみた
J2初戦の対藤枝MYFC戦、なぜ負けたのか。
NHKの中継で解説を担当した福西さんは、前半の戦い方について、「藤枝が両サイドの選手に高い位置を取らせ、そこを拠点にしてある程度自由に攻撃を組み立てている。これの対処にいわきが手間取ってセカンドボールを回収されて、守りに追われる展開になっている」という趣旨の解説をしていた。確かに、藤枝は3バックで両サイドハーフを高い位置に配置、そこに逆サイドからロングボールでサイドチェンジをして、好機を作り出していた。前半30分過ぎまでは、一進一退の展開だったが、35分に久保選手(24)のセンタリングを渡邊選手(9)がニアで合わせゴールに流し込んだ。相手に先制されることに慣れていない我がチームは、ショックをうまく処理できずに37分に横山選手(10)、45分に渡邊選手(9)に立て続けにゴールを奪われ、まさかの0-3でハーフタイムを迎えることになった。
いわきは、後半頭から3選手を入れ替えた。左サイドバックに江川選手(35)に入れ、石田選手(2)を左から右サイドバックに移し、嵯峨選手(8)を右サイドハーフに上げ、左サイドハーフに永井選手(20)、FWに有田選手(11)に代えて近藤選手(9)を入れた。この変更と、おそらくハーフタイムでの激励が効いて、後半早々2点を返し、さらに攻勢を強めたが、最後は守りを固めた藤枝に逃げ切られてしまった。
敗戦の要因は、いろいろ挙げることができるだろう。筆者は、「強度(intensity)」の的を絞って考えて見た。いわきのサッカーは、強固なフィジカルに支えられた強度の高いプレスで相手を押し込んで圧倒するのが特徴だが、藤枝戦の前半のように「圧倒される」のは、あまり見たことがない。昨年は、2失点が3試合あったが、3点以上はなかった。JFL時代にホンダFCに5点取られて以来の大量失点であった。
そこで、なんで強度が足りなかったのかを考えた。その際、今大変はやっているAI(人工知能)に訊いてみた。話題沸騰中のChatGTPに「サッカーにとって強度はどのように大切か」との質問を投げた。すると、丁寧な回答があり、要約すると、「強度はチームパフォーマンスに大きな影響がある」と言う。さらに、「Be Tough(昨年のスローガン)」と「Be Relentless(今年のスローガン)」は、選手を高強度に導く上で、どちらが有効なメッセージであるかと問うた。両方とも有効なメッセージであるとの回答だったが、細かく言うと次のようになる。「Be Tough:タフであれ」とは、立ち直る力、精神力と体力、困難や逆境を乗り越える力の重要性を強調するメッセージ、「Be Relentless(容赦なく)」は、忍耐力、決意、そして決してあきらめない姿勢の重要性を強調するメッセージであり、状況に応じて両者を使い分け、選手に「集中力、モチベーション、決意を維持できるように導く」ことが大切との返事だった。
AIの回答内容は、当然そうだろうなというものではあったが、要約が上手なので、考えをまとめるのに役立つ。いわきの先発サイドハーフ二人は、大卒ルーキーと大学3年生(特別指定選手)であった(前半だけの出場)。彼らは、「容赦ない」の段階にはなく、「タフであれ」がふさわしかったのではないか。余裕がないように見えた。同じく前半だけの出場だった有田選手(昨年のJ3得点王)も「容赦ない」プレーをするには、コンディションが整っていなかったようだ(多分、怪我の影響)。ただし、試合翌日の仙台大との練習マッチには先発出場し、うまいシュートをゴール右隅に流し込んでいた。水戸戦までには、調子を上げてくるだろう。それにしても、FWが足りない。内部情報がないので、想像するしかないが、有馬、吉澤選手は、コンディションが上がっていないのだろうか。やはり、鈴木、古川選手の穴埋めができていないのである。仙台大との練習試合には、有馬、吉澤選手は登場しなかったが、山口(14)、杉山(7)選手などは出場していた。山口選手は、ゴールチャンスが多かったが決めきれていなかった。
「強度」に話を戻すと、いわきのプレスは、前半、強度が足りなかった。インターセプト的なボールダッシュが少なかった。後半は、嵯峨、永井選手をはじめとして、寄せの速さが回復し、鋭い読みとスピードを活かして、先にボールを処理しながら押し込む展開に持ち込めた。反撃の2点も、密集から、殺到して、押し込む得点だった。だからこそ、ミドルを積極的に狙う岩渕選手の復帰が待たれる。日高選手の穴埋めもまだまだである。「呼び返せ」との声もあるが、穴埋め候補の市場手である石田選手は、先制を許すクロスを上げさせた(寄せが不十分)半面、クロスバーに当たる思い切りのシュートもあった。飄々とした印象がある若武者(20歳)なので、がむしゃらにやってほしい。
敗戦の要因は、ひとえに強度不足と筆者は考える。失点3点、ガツンとやられて目が覚めたところを、見せてほしい。サポーターとしても、Be Toughからやり直し、切り替えていかなければならない。どんどん強い相手がやって来るのだから。