マシンガン・エチケット/ザ・ダムド (‘79)
Machine Gun Etiquette / The Damned (‘79)
サザンロック、ロカビリー、ブルースロックなど、ルーツ系の音楽をメインに紹介させていただいているが、実は’70年代の初期パンクは、リアルタイムで経験したこともあり、自身を形成する音楽の重要なファクターの一つである。
イギリスの3大パンクバンドといえば、セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、そしてこのザ・ダムドである。セックス・ピストルズはその話題性で有名になった感があり、ザ・クラッシュは政治的なメッセージをフロントに押し出し、反体制側のイメージが強く出ていた。そんな中で、音楽的に突出していたのがザ・ダムドだった。
一般的にはファーストアルバム「地獄に堕ちた野郎ども」が高評価であるが、個人的には3作目の本作が初期ダムドとして完成されていると考える。
理由としては、ファーストアルバムでは、キャプテン・センシブルがベース、ブライアン・ジェームスがギターという構成に対して、本作はキャプテン・センシブルがギターに転向し、新たにアルジー・ワードがベースとして加入している。この変更がかなり大きな結果になり、曲調や演奏の幅がグッと広がったと考える。
このアルバムからは、後のベスト盤に収録される曲が多く含まれている。B面3曲目の「ルッキング・アット・ユー」はMC5のカバーであり、また最後の「スマッシュ・イット・アップ」はオフスプリングがカバーし、映画「バットマン・フォーエバー」のサントラにもなった。
次作「ブラック・アルバム」から、ボーカルのデイヴ・バニアンの個性が出始め、メンバーチェンジの経緯もあり、アルバムを重ねるごとに、より耽美なイメージのアルバムがリリースされるようになっていった。
‘70年代初期パンクも「沼」で、個人的に大好きなのは、スティッフ・リトル・フィンガーズである。彼らはアイルランドのベルファストから登場したバンドで、紛争地域が故のメッセージ色の強いバンドだった。
その後、パンクの要素がロカビリーと融合することで、’80年代後半からサイコビリーが発生する要因の一つになった。
A面1曲目の「ラヴ・ソング」をどうぞ。