イート・ア・ピーチ/オールマン・ブラザーズ・バンドの見開きジャケット
Eat a Peach / The Allman Brothers Band (‘72)
言わずと知れたデュアン・オールマンの遺作にして、サザンロックだけでなく、音楽史上においての名盤「イート・ア・ピーチ」であるが、今回はその見開きジャケットのイラストについて考えてみる。
表ジャケットは巨大な桃を積んだトラック、裏ジャケットは同様に巨大なスイカを積んだ貨車となっている。そして見開きジャケットには桃源郷のようなイラストが描かれており、よく見ると奇妙な連中とキノコがモチーフになっているのがわかる。
見開きジャケットのイラストはピーチトラックのリアゲートに書かれている、ワンダー・グラフィックのデヴィッド・パウエルが中心となって描かれ、モチーフのキノコの由来はドラッグから引用された。
この奇妙なイラストであるが、オランダのルネサンス期の画家、ヒエロニムス・ボスやピーテル・ブリューゲルの影響を受けているとされている。かなり前になるが、「バベル」の展覧会があり、同時開催でボスやその一派の作品も展示されていた。彼らの描画や版画には、この見開きジャケットのようなモチーフが描かれている。
ちなみにディープ・パープルの「ディープ・パープル 3」のジャケットもボスの描画となっている。
今回は音楽ではなく、ジャケットのアートワークについて書かせていただいた。
本作は音の面でもデュアンがいる or いないといった時期が同居する不思議な一枚であるが、見開きジャケットの世界も不思議な作品である。