幻冬舎文庫「復活力」を読んで

幻冬舎文庫「復活力」サンドウィッチマン著

少年時代からコンビ結成、同棲生活、最大のピンチ、M-1優勝、最後にこれからのことを赤裸々に語って下さっている。

伊達さん「仙台商業高校でも、僕は野球部に入ろうと思っていた。なんだか、僕、野球帽のマークとかユニフォームとかに弱いみたい。」
「絶対に入部するつもりだったんだけど……、仮入部のこと。
こんなつらい練習を毎日やらされるなんて、冗談じゃない!って思ったら、急に入部するのが嫌になった。
人数も少なくて、だらだらした雰囲気をぷんぷん出てたのが、ラグビー部だったんだ。
そこで僕は、富澤と初めて出会う。」
「卒業生はだいたい地元に就職している。仙台に拠点を置いている有名企業の社長は、ほぼ仙台商業の卒業生だ。それは僕らOBの誇りでもあるんだ。」

富澤さん「小さいときは転校が多かったし、まずその場の空気を読んで、自分の立ち位置とか行動とかを探るようにしている。」
「空気の流れとか、人の特性を見極めて、ここぞというときに、一番いい方法で自分の個性を出してゆく。だけどそのスタンスは、サンドウィッチマンを始めてからの仕事の場でも、変わらない。」「これが「ネタ」すなわち「自分」を人に見てもらうときの、僕の不変のスタイルなんだ。」

似た者同士の様で、やっぱり違う者同士の2人の高校生時代はモテたい気持ちが強く(特に富澤さんは)、さっぱりモテなかったそう。
カッコつけの富澤さんとヤンキーや不良とつるむ(ケンカには加わらない)
ただ、伊達さんは割と大雑把で、楽観的な性格。ネタ中にもアドリブを入れて、富澤さんのボケをかき回すのだそう。
富澤さんは冷静で丹念に準備をする性格で、落ち込みやすい。伊達さんのアドリブツッコミにも乗っかっている。
コンビとしての相性は良く、上手く噛み合わさった歯車の様に笑いを繰り返している。

そして、現在のスタイルの「サンドイッチマン」として確立するまでに紆余曲折あり、一時期トリオを結成していたことも知った。
しかし、すぐにコンビに戻っている。富澤さん曰く、伊達さんとの絡みが上手くいかずテンポが合わなかったらしい。

やっぱりサンドウィッチマンと言えば、M-1敗者復活戦からの優勝というシンデレラストーリーだと思う。
僕も当時、決勝戦をテレビで観ていてネタに大笑いした。
お二人のテンポの良さと掛け合いが好きだ。
伊達さんのちょっと口の悪いツッコミが、笑いを更に誘う。
本にも出てくるが、「ピザのデリバリー」は何回見ても笑ってしまう。
優勝された後、テレビで見ない日は1日もない。
東北の震災後、復興支援に立ち上がったのも彼らが始めだし、CMやバラエティのMCでも活躍されている。

伊達さんにも富澤さんにも不遇の時代があり、その中でがむしゃらに走ってきたのも売れたい、頑張るという「気持ち」があったからだと言う。
敗者復活というタイトルから復活力にした理由は分からない。
僕なりに考えたのは、お二人が敗けてはいないと思ったから。
逆境や上手くいかないことにめげずに乗り越えてきた生きる術をもっているし、強い志があるから。何より同郷で、友人でもあり、笑い芸人という仕事を信じているお二人で支え合っての今があると思う。

#推薦図書
#小説の感想
#幻冬舎

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?