第20号『元業界人が語る本当の話 〜なぜ欧州の高級車メーカーは自社でエンジンオイルを作らないのか〜』
2013年1月14日配信(発行部数 252部)
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さて、今回は第20号
『元業界人が語る本当の話 〜なぜ欧州の高級車メーカーは自社でエンジンオイルを作らないのか〜』
です。
自動車に使用されている部品については消耗品も含め、僕は基本的に純正を使用していますが、エンジンオイルについては少し見解が異なります。
僕は前職で潤滑油関係の仕事をしていた時期がありまして、そのころは発電所のタービン油の評価をしていました。
オイルの性状を測定するために、とある財団法人の実験室の設備をお借りしていたときのことです。
隣接する建屋で国内有名自動車メーカーの純正オイルの評価をエンジンベンチテストしているというので、興味もあって少し見学させていただきましたところ…
そこには目を疑う光景が…
なんと、当時20年以上も前に開発されたエンジンがベンチに掛けられていたのです。
そのエンジンでオイルの何を評価していたのか、それは僕の知るところではありませんが、
そんなクラシックエンジンで何がわかるの???
というのが正直な感想でした。
もちろんすべての純正エンジンオイルの開発過程をそんなクラシックエンジンで行っているわけではないでしょうが、一部でもそのような不自然な光景を見ただけに、純正オイルへの信頼が揺らいだのは事実でした。
ところで、
「アプルーバル制度」はご存知でしょうか?
国内自動車メーカーは「純正オイル」と称して補修部品カタログなどにラインナップしています。
ところが海外では、市販のエンジンオイルを自動車メーカーが厳しい基準で認証する「アプルーバル制度」を採用していて、それを純正相当品としています。
高い技術力を誇る欧州メーカー各社でさえ、エンジンオイルに関しては自社開発しないのには理由がありそうです。
簡単には真似のできないノウハウの蓄積を自動車メーカーが認めているのかもしれません。
MOTULに代表される老舗メーカーのエンジンオイルには、SAE、 API、 化学合成油、鉱物油、VHVI など表面的な表示だけでは決まらないフィーリングや性能があることを実感します。
ブレンダーといわれる職人が、各種添加剤の選定やその配合をしているそうです。
同じ食材を使ってもプロの料理人の味が出せないのと似た感じと思っていただければいいんじゃないでしょうか。
100%化学合成油は一見良さそうに思いますが、
PAO、エステル問わずオイルシールへのダメージを軽減するために膨張剤や収縮剤を添加していて、その経時変化の懸念があります。
僕は感覚的に鉱物油を処理(改質)したVHVIがよいと思います。
VHVIは普通の鉱物油に比べて粘度指数向上剤の添加を減らせるのが特徴です。
欧州ではその性状の良さが認められ100%化学合成油の表記が許されています。
スラッジの原因物質が少なくなるのはとても安心感がありますね。
MOTULの代表的なVHVIベースのエンジンオイルは『H-tech』シリーズ。
業販専用品でペール缶(20L)もしくはドラム(200L)の供給しかありませんので一般入手は難しいですが、とてもコストパフォーマンスに優れたいいオイルだと思います。
《第20号「元業界人が語る本当の話 〜なぜ欧州の高級車メーカーは自社でエンジンオイルを作らないのか〜」おわり》
それでは、次号をお楽しみに。最後までお読み頂きありがとうございました。
◆たけしくんコメント◆
今僕がスタンダートエンジンオイルとして取り扱っているのは、
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