第18号『ローダウンを勧めない理由 〜ラリーカーが教えてくれた、本当の「速さ」とは〜』
2012年10月23日配信(発行部数 231部)
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さて、今回は第18号
『ローダウンを勧めない理由 〜ラリーカーが教えてくれた、本当の「速さ」とは〜』
です。
どういう理由か僕にはまったく理解できないのですが、一般道を走る車のサスペンションを変更するとなるとどうしてほとんどの場合、車高を下げるのでしょう?
格好のよい車高の低いサーキット専用車両の影響でしょうか?
車高が低いほうが重心が低くなって安定性が増す印象があるのでしょうか?
車高を下げると本来のサスペンションストロークは少なくなり、また動作の起点が異なりますから、設計から大きく逸れた動きをすることになります。
ただ車高を下げただけではロールセンターが上昇しますから、ロールは思いとは逆に増加します。
その対策にと、サスペンションアームの取付位置まで変更して、あくまでも車高を下げることに固執する製品もありますよね。
車高を下げて、ストロークが少なくなった分、サスペンションの底付きがしやすくなりますから、極端に硬いコイルスプリングやスタビライザーでガチガチにしてごまかします。
様々なシチュエーションでタイヤと路面の接地を適切にするために機能を果たしていたサスペンションが、前述のように間違った手法で機能しづらくなると、その負担はタイヤと路面の接地部に集中します。
そんな不適切な接地状態でもグリップを確保できるハイグリップタイヤが必要になり、不必要に幅の広いタイヤを履かせる結果になるのでしょう。
また、メーカーラインナップやオプションで、「車高○○センチダウン」なんて笑ってしまうものもありますが、こういうものは車高が低い状態を喜ぶユーザー向けの商品で、決してカーブを速く走るためのものでないということを知っておかなくてはいけません。
さらに、無限にセッティングの存在する車高調整式サスペンションというのがあります。
中にはきっちりした製品もありますが、ほとんどのものは、その調整幅に最適がない上、法外な価格設定で、購入者にとってはどんなに間違ったものでも、
「間違ってない!」
と思わないと居られない奇妙な現象までもたらします。
世の中に蔓延する舌を噛みそうなガチガチの乗り心地は、速くカーブを駆け抜ける代償だと信じて止まないユーザーご本人は良いとして、そのご家族はどうでしょう?
「僕は車高調の乗り心地は知っている。走りのためなら家族には我慢してもらう。」というのでしょうか?
ところで読者の皆さんは、きっちりセッティングされたサスペンションのラリー車に乗ったことはありますか?
舗装路、未舗装路でもちろん設定は変更するのですが、どの路面を走破するときも概して乗り心地がとってもいいのです。
乗り心地がよくないと長時間の競技に、ドライバー、ナビゲータとも体力、精神力が持たないという事情もあるでしょうが、様々な路面状況で高効率にタイヤを接地させると車体の姿勢変化が少なく乗り心地がよくなるのです。
サーキットは平坦で摩擦係数の大きな特別な路面ですから、一般道とは全く違うフィールドだということをもっと真剣に考えないといけません。
速く走るためのサスペンションセッティングがタイヤも含めて一般道とは大きく違うのです。
車高を下げてサーキットを走るレース車両のように格好よくしたいなら、一般道での「走り」のことには一切触れてはいけないのです。
サスペンションを変更する前に、一体何が不足で、何が不満なのかを考えることが大切です。
見た目が不満なら、単純に車高を上げたり下げたりすればいいです。
気分によって変更したいなら車高調整式は最適です。
腕が不満なら、クルマはそのままで練習すればいいのです。
車をいくら変更しても腕は上がらず、上がったような気になるだけですから。
次号は、僕の推奨するサスペンションの変更の仕方をお伝えしようと思います。
《第18号「ローダウンを勧めない理由 〜ラリーカーが教えてくれた、本当の『速さ』とは〜」おわり》
それでは、次号をお楽しみに。最後までお読み頂きありがとうございました。
◆たけしくんコメント◆
サスペンションや乗り心地のことは、たくさんお伝えしたいことがあって、この後もドラテクのことも含めて複数に渡っていろいろ配信しているのですが、
とにかく、
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