note、はじめの一歩。
自己紹介
はじめまして、阿久津剛史と言います。
某メーカーで勤務する傍ら、「Start Python Club」というコミュニティの代表をしています。はじめてnoteに投稿します。
よろしくお願いします。
なぜnoteを始めるのか?
5年前、プログラミングの初心者でありながら、オープンソースソフトウェア(OSS)のPythonのコミュニティを立ち上げて、毎月勉強会を継続して、6000人以上のメンバーが集まる場を作ることができた。その活動を通じて、いろいろな経験や気づきを得たので、以前からnoteを書いて、アウトプットしたいと思っていた。しかし筆不精で、なかなか始めることができなかった。
ところが最近になって、安宅和人氏の『シン・ニホン』を読んで、いよいよ書かなくては、大変な後悔をするだろうと思い至り、重い腰を上げた次第。少々長くなるが、ここではその思いを述べてみたい。
「現代の知の巨人」安宅和人
Yahoo! Japanのチーフストラテジストオフィサー(CSO)で慶應義塾大学教授の安宅和人氏をご存じだろうか?2010年に発刊した『イシューからはじめよ』という著書が有名で、私を含め、多くのビジネスマンに愛読されるベストセラーになっている。
安宅氏は企業幹部と大学教授の重職をこなしながら、さらにデータサイエンティスト協会やi-Construction推進コンソーシアムなど、多方面で活躍されている。生物学、脳科学の科学者としてのバックグラウンドを持ちながら、経営戦略やマーケティング、データサイエンスの領域で活動しており、私は勝手に「現代の知の巨人」と呼んでいる。
あるイベントで安宅氏の講演を一度、拝聴したことはあるものの、直接お話ししたことはなく、面識はない。つまり「雲の上の存在」なのだ。しかしデータサイエンス界隈で共通の知人が多いことと、ツイッターやブログ、YouTubeなどを通じて安宅氏の考え方に共感する点が多いことから、勝手に親しみを込めて、「安宅さん」と呼んでいる。
慶應では福澤諭吉以外の先生は「先生」付けをせず、「さん」付けにする習慣があるらしいので、それを踏襲したい。
『シン・二ホン』がやってきた
『イシューからはじめよ』は4年前に購入したが、何度も読み、たくさんの付箋と書き込みをつけ、使い込んでいる。ただガムシャラに価値(バリュー)のない仕事に取り組むのではなく、課題(イシュー)の質を高め、バリューの高い仕事をすることの大切さを説いた良書だ。
付箋と書き込みで使い込まれた『イシューからはじめよ』
2月下旬、会社帰りに行きつけの丸善本店にふらっと寄った。すると、なんと安宅さんの新刊『シン・二ホン』が山積みになっていた。9年ぶりの書き下ろしだ。安宅ファンなら、買わない理由はない。中身も読まずに「ジャケ買い」だ。そして買ったその日から、むさぼるように読み始めた。
丸善本店玄関に堂々と積み上げられた『シン・ニホン』
この本の副題は「AI×データ時代における日本の再生と人材育成」となっている。戦後、高度経済成長を成し遂げ、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ともてはやさたものの、1990年代のバブル崩壊以降、グローバル化する世界経済の中で停滞する日本。その状況を憂えた安宅さんは、2016年のTEDxTokyoにおいて、「シン・ニホン」というタイトルで、日本を再生する処方箋を提言した。
それから3年の歳月をかけて、じっくり多くのデータ分析と考察を加えて、安宅さんの知を結晶化させてできた本が、この『シン・ニホン』である。
『シン・ニホン』のメッセージ
本書は、地方経済の衰退や人口減少、デジタル化の遅れといった日本固有の課題に加え、地球温暖化や食糧危機といったグローバルな課題についても触れている。AIやビッグデータの技術革新が進む一方、環境保護や経済格差などの問題が山積する21世紀の社会において、課題の考察や批判だけに終わらず、建設的に解決策を提示している本書に学ぶことは多い。
400ページを超える大著には、多くの図・写真・グラフが含まれている(図:141点、資料:22件、注釈:412件)。とくにグラフについては、地道なデータの収集と分析、可視化の努力の跡が見られ、安宅さんの熱い思いが行間から読み取れる渾身の書となっている。
安宅さんは本書の最後を、座右の銘とする湯川秀樹の言葉を引用しながら、次のように締めくくっている。
「一日生きることは、一歩進むことでありたい」 湯川秀樹
さあ行動だ。
日本の再生に向けて、モチベーションを掻き立てられる「さわやかな」メッセージだ。この本を読み終えた当初、素直に自分の課題に向き合い、がんばろうと思った。
『シン・ニホン』を通じた安宅さんからの宿題
一方、3月に入り、中国から発したコロナウィルス感染症は世界中に広がり、猛威を振るい出した。『シン・ニホン』が上梓した時点では、想定されていない事態が生じ、日本でも急速に社会的な不安が生じ始めていた。
3月11日に行われた、落合陽一氏との対談において、安宅さんは『シン・ニホン』の内容を紹介した上で、コロナウィルスの問題が解消した「afterコロナ」のことを考えるよりも、コロナウィルスとともにある社会、つまり「withコロナ」の社会になることを認識し、今何をなすべきかを熱く語った。そして、最後にこう述べる。
Go Wild!
しかけて、しかけて、そしてしかける
対談で生まれた「withコロナ」という言葉は、テレビ、新聞でも使われるようになり、あっという間に市民権を得ることになった。また、その後も安宅さんは自身のブログや各種のインタビューを通じ、情報発信を続けている。言葉だけに終わらせないで、自ら行動を起こし、ワイルドに「しかけて」いるのだ。クールではないか!
翻って、安宅さんのメッセージを拾い集めて、もう一度『シン・ニホン』の最後の一文、「さあ行動だ」という言葉を読み返すと、最初と異なる印象を抱いた。それは単なる勇気づけの言葉ではなく、「自ら考えて、自ら行動せよ」とシンプルでありながら、とても重い宿題が与えられたと、思えるのだ。である。
これは困った。
"Oh, My GOD!" である。
「行動せよ」と言われても、何をどうするのか??
以前、政策研究大学院大学の黒川清先生にも、
NATO(No Action, Talk Only)はダメだ。
と教えていただいたことがある。それも含めると、
No Action, No Life!(自らの行動なくしては、自らの人生はない)
といったところだろうか。
シンプルだけど、重い。
noteは私の解答用紙
問. 『シン・ニホン』の著者の「さあ行動だ」というメッセージに対して、あなたの行動とその結果について記述せよ。
こんな問題があったとしたら、それは大学受験でも、なかなか出てこない難問ではないだろうか。まともに答えようとすると、とても難しい。ごまかして適当に答えるか、無視してスルーするか?
しかし『シン・ニホン』を超訳した私は、安宅さんから大切なレポート課題をもらったと解釈したい。
100点満点の正しい答えは書けないだろう。誤字も脱字もあり、論理もめちゃくちゃで、破天荒な解答になるかもしれない。後で見返したら、赤ペンだらけで、恥ずかしいレポートになるかもしれない。
しかし、それでも泥臭く、「今ここ」に生きる自分の考えと行動をnoteに記すことで、自分が生きた証の一部としたい。
さあ行動だ。
このnoteについて
ここではPythonのコミュニティ活動のほか、ライフワークとしている読書のことなどについて、自由気ままに書いていきます。面白そうだな、と思ったら、ご自由にフォローしてください。