あがり症はどうしたら治る?
動画紹介(文字起こし全文掲載)
今日ご紹介する動画は、「あがり症はどうしたら治る?」です。
様々なお悩みに対し、「〇〇はどうしたら治るのでしょう?」というのが一番多い質問ですが、もしかすると皆さんはアプローチの仕方を大きく勘違いしているかもしれません。
あがり症の人が悩むことのメカニズムを正しく理解し、それによってアプローチの仕方を見つめ直してみると、今までの対処法とは180度違った対処法が見えてきます。
例えば、どんなことに取り組んでみたらいいのかの具体策も満載!
ぜひご覧ください。
(2019/12/4公開動画)
毎日あがり症の中に生きる
今日は、あがり症の方から一番多く受ける質問にお答えしていきたいと思います。
私自身、あがり症の方向けに、カウンセリングやセミナーをやっており、これまで約1000人以上は会ってきたかと思います。
また、Yahoo!知恵袋なども色々と見たりしているのですが、その中で一番多い質問が、「あがり症はどうやったら治るのですか?」という質問です。
このあがり症という部分をすこし変えてもいいのですが、例えば「社交不安障害はどうやったら治るのですか?」とか、「どもりは?赤面は?どうやったら治る?」という質問が一番多いです。
そこで、色々と話をしていくのですが、臨機応変に話をしています。
人によって、その人に応じて、カウンセリングなどで、あれやこれやと話をしていきます。
あがり症のメカニズム、仕組みから、どのようにすれば治るのか、どうしていけばいいのかなどを、色々と話すわけですね。
それで、例えば、一時間のカウンセリングだとして、そのような話に40分ほど費やしていると、あまり良くないんですよ。
あがり症の方は、あがり症を治したい。
だから、「こうやればいいんでしょうか?ああやればいいんでしょうか?」とあがることの話ばかりしているんです。
あがり症の方は、あがり症を治したいということで、とにかく相談者に、あがり症の悩みを話します。
別に、これ自体は悪くはないんですけど、ずっとそればかり話し続けることが良くない。
その方は365日24時間、起きているときのほとんどを、人前で話すとか人と話すとか、緊張や不安について自己対話している上に、誰かに話すときもあがり症の話をする。
毎日をあがり症の中に生きているんですね。
これが、上手くいくこともあるのかもしれません。
例えば、東大に入ろうとする、とします。
高校生の受験生が、「お父さん、お母さん、俺、東大に入るから。これから毎日勉強する。食事とかこうしてほしい、何時に起こしてほしい」とか言う。
学校に行って先生の話を聞いて、この先生の授業を受けても東大に入れそうにないからと思って、予備校に通おうとする。
予備校に行ったら行ったで、「この予備校だめだ、自分でやるしかない。赤本買えばいいのか?」と、あれやこれや考える。
こんなふうに東大のことばかり考えているのは、OKですよね。
何が言いたいのかと言うと、目標が、「あがり症を治すこと」と「東大に入ること」だとしたら、この目標設定の過ちがあがり症の方にはあります。
あがり症の方が、あがり症を治す、あがらないようになりたい、緊張や不安を減らす、こういった症状を治すことがテーマになったとき、結論として、あがり続けることになります。
感情を抑えようと油を注ぐ
それは、なぜか?
ここから、あがり症の仕組みをご説明します。
『喜怒哀楽』というものがありますが、怒り・悲しみ・喜び・楽しみ・恨み・つらみ・妬み・ムカムカ・絶望・失望・歓喜・幸せなど色んな感情があると思いますが、これは人として自然なことだと思うのですよね。
感情は、必要だから生じている。
感情は、人間本来の自然なものだと思うんです。
例えば、熊が目の前に来たときに、恐怖を感じます。
このとき、怖いという感情が起こらなかったらどうなるでしょう。
熊にやられて死んでしまうかもしれません。
2019年は、台風が非常に多かったです。
川が氾濫しました。
武蔵小杉駅なんて、浸水して大変なことになりました。
福島県、長野県も大変な状況でした。
この台風という経験を元に、来年また台風が来たとき、不安という感情がもし起こらなかったら、どうなるでしょう。
台風の前日に避難警報などを見ても、不安という感情が起こらなかったらどうなるのか。
それは、備えないんですね。
「なに?台風?」という感じで。
そして、台風が来て家が流されるかもしれないし、食料も用意していないかもしれない。
不安とは、人間に備えさせるために必然的に湧き起こる感情なのですね。
このように、人の感情とは、それがネガティブな感情であったとしても、必要だから生じているのですね。
ところが、あがり症の人は、緊張や不安を何とかしたい、この恐怖を抑えたいというわけなのですが、本来必然的に生じる感情に対して、それをコントロールしよう、なくそう、目を背けようとしたときに何が起こるかというと、一言で言えば、なくせないんです。
けれども、あがり症の人は、あがることが耐え難い。
あがり症の人は、待てない人が多いんです。
とにかく、今この緊張や不安を何とかしなきゃ、これをやらなきゃ次に進めないという感じで、この症状が課題になって、こだわり続けることが多いです。
緊張や不安を何とかしなきゃ、でも何ともならない・・・。
すると、感情というのは、炎上するんですよ。
あがらないように、あがらないようにと、そこに注目すればするほど、逆に緊張します。
例えば、雑踏とか集団の中で、10人とかであれこれ話をしている。
自分が休み時間中、本を読んでいるときに、「〇〇君(自分)って、変な人よね」とどこかでボソッと聞こえたとき、耳がダンボになって、その一点に意識が行ってしまうんですね。
それで、「なになに?」と思って、その話だけがやたらと聞こえてくる。
すごく聞こえてきます。
「〇〇君(自分)って、素敵よね」と聞こえても、そこに意識が行く。
つまり、意識をそこに向けると、小さな1にしか過ぎない音が、5にも10にもなって返ってくる。
例えば、私はよく“ささくれの話”を例えで出すのですが、爪のところの皮がめくれて痛いときがありますよね。
とにかく、指先が痛い。
ところが、日中に、遅刻しそうになって走っているときなどは、痛みは忘れています。
あるいは、仕事の準備をしているときなどは痛みを忘れる。
でも、「は~、ようやく落ち着いた」と思って、ふとした瞬間に、指先がズキンとする。痛む。
口内炎の例でも一緒ですよね。
忙しくしていると、口内炎のことを忘れていますが、ふと意識を向けることがあると、痛みが増します。
何か他のことをしていると忘れるんだけど、そこに意識を向けてしまうと痛みが増す。
夜に眠れないときも、「眠れない、眠れない。明日も早いから寝なきゃ・・・!あ~、チクタクチクタクと時計の音が聞こえる・・・」というように、普段は聞こえない時計の音が、やたらうるさくて気になってしまうことがあります。
五感というのは、そこに意識を注げば注ぐほど、研ぎ澄まされて、よりその感覚からの情報をキャッチしやすくなります。
あがり症の方は、緊張や不安、恐怖に対して、意識を120%、1000%くらい注ぎます。
意識を注ぐ目標が、先程の例のように「東大に合格する」というような、難しいかもしれないけれど、明確に努力すればするほど達成に近づくようなものだったらいいのですが、よりによって、人として必然的に感じる、緊張や不安、恐怖に対して目標としたときに、結果として炎上しまくるという、逆効果が起こります。
木が燃えているのを見て、この炎を消したいと水をかけまくるけど、何だか余計に燃え盛っている。
よく見るとかけていたのは水ではなくて油だった、というようなイメージです。
原因論へのあり方を変える
だから、あがり症は治りにくいんです。
だから、10年、20年、30年と悩む人が非常に多いんです。
私たちは、どうしても西洋医学の中に生きています。
西洋医学というのは、原因があれば、その原因に対処すれば結果が得られるという考え方。
頭が痛ければ、薬を飲めばすっきりする。
ありとあらゆる原因論の世界に生きているわけですが、よりによって緊張や不安、吃音や赤面などに対し、こういった原因へのアプローチを続ける限りは、原因にハマり続けるんですね。
だから、「どうやったら治るんですか?」という質問に対しての回答は、「原因論へのあり方を変えていく必要がある」というものになる。
その変えて行き方には色々な方法があるのですが、ポイントとしては、「あがり症の方は何を見ているのか、考えているのか?」ということになります。
さっき言いましたように、365日24時間、あがり症のことばかり考えているということなので、シンプルに言えば、「あがり症とは全く関係のないことを日常の中に膨らませていけばいい」んです。
あがり症があるから避けていたことを、やってみるのもいいかもしれない。
とにかく自分自身というものを失ってしまって、何が好きだったのか、楽しかったのか、心地良かったのかという感覚すら忘れてしまっているので、自分にとって何が心地いいのか、何をしたら自分が喜ぶんだろうということを探してみたりするといいです。
あるいは、人に感謝するということもいいかもしれないし、あがり症とは全く関係のないことでいいんです。
孤独からつながりへ
また、あがり症の方というのは、一人で悩んで孤立している方が多いんです。
誰にも言えない、中には家族にも言っていない人もしばしばいます。
これは、人間にとって、一番リスクのある状態なんですね。
人間にとっては孤立している状態が一番のリスクです。
あがり症も然りです。
あがり症を、誰にも言えずに孤立している状態で治そうとしても、治る人というのはまずいないでしょうね。
薬を飲んで治るものじゃないんですよ。
精神医学においては薬が一番の力なのですが、薬だけであがり症を治した医師は、おそらくいないと思います。
もし仮に薬で治ったように見えたとしても、副次的な、間接的な要素として、対人関係が良好になっているということが必ずあると思います。
この、対人関係、「他者は敵だ」という信念とか、他者が来ると身構えてしまう、緊張してしまうという、本能的な在り方を変えていく必要がある。
だからこそ、孤立という状態で他者を避けていた在り方、他者を敵視していた在り方を変えていく必要がある。
本人が勝手に思っている「他者に何かされるかもしれない」、「何か自分の価値が下がってしまうんじゃないか」という、根源的な本能的なこの感覚を変えていく必要がある。
“孤立から繋がりへ”ですね。
だから、「あがり症をどうやって治したらいいのでしょう?」という課題に対しては、例えば、職場の同僚に、明日から元気に挨拶をしてみる。
今までササッと帰っていた職場で「何か手伝うことありませんか?」と声を掛けてみる。
妻と最近全然話をしていないならば少し妻と話をしてみる。
誰にも言えなかったこの悩みを親友にだけ話してみる、などが有効でしょう。
他者との会話、他者との繋がり、他者が自分を分かってくれた、言えなかったあがり症という悩みを他の誰かに言えた、同じような誰かと繋がれたという感覚が得られることが大切です。
あるいは全く別のこと、例えば、運動してみる、感謝探しをするなどの、あがり症とは関係のないことを日々の中であれこれと行っていく。
そうすると、勝手にあがり症のウェイトが減っていきます。
ずっとあがり症を見続けて、そこに油を注ぎ続けて炎上していただけなので、油を注がないと勝手に消えていくんですよ。
これが、あがり症の改善なのです。
結論。
あがり症を治したいという方に言いたいことは、あがり症を治そうとして、症状と格闘しているうちは治りません。
そうではなくて、あがり症とは関係のないことを、日々の中で増やしていってください。
これが答えになります。
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