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エンジニアからデザイナーになり変化した4つの考え方


こんにちはクラウドワークスでUI/UXデザイナーとして働いている岡田です。
私はもともとエンジニアだったのですが、色々と思うことがありデザイナーに転身しました。
 
デザイナーになりもうそろそろで10年くらい経とうとしておりますが、
エンジニアからデザイナーになって色々と考え方が変わったと感じたことや、
エンジニア時代にデザインの勉強をしていてなかなか受けいられなかった考え方などがあったので自分のキャリアを振り返る意味でも、変化を共有したいと思いこの記事を書くに至りました。
 
本日の内容はあくまで自分の考えがどう変わったかを紹介したいと思い、加えてあまり取り上げられないトピックのようなので、ゆるっと読んでいただければと思います。

なぜエンジニアからデザイナーになったのか?

もともと自分は理系の大学を出て化学工業の会社に就職し、ソフトウェアエンジニアとして働いておりました。
ただ、初めの頃は物作りに携わりとてもやりがいを感じていたのですが、ある時に「なんか違うな?」と感じ、自分のやりたかったことがプロダクトの中身を作るエンジニアとしての仕事ではなくプロダクトと人をつなぐ仕事をしたかったと気づき、デザイナーに転身することを決意。
 
平日は仕事を行い、休日は東京のデザイン学校に通う生活を行いデザインの基本について学んだあと、自分の人生に色々思うことがあり海外に渡航し、そこでの様々な出会や機会に恵まれて、運よくデザイナーデビューを果たすことができました。
 
今考えればちょっと無計画な海外渡航だったんですが、当時の目的が「休暇、語学学習、就職」だったのでどれか一つでも達成できれば良いか、くらいしか思っていなかったのでそれも海外渡航を後押ししてくれたのかもしれません。
 


デザイナー時代とエンジニア時代の考え方の違い

ここから、自分がエンジニアからデザイナーになって変化した「考え方」や物事の「捉え方」について述べてゆきたいと思います。
 


1.定義から作るのか、定義に基づいて仕事をするのか

エンジニアからデザイナーに転身した時に、一番初めに感じた違和感がエンジニアのロジックは一貫しているのにデザイナーのロジックは状況によって揺れ動いていることです。(誤解の無いように書きますが、デザイナーがロジカルでは無いということではなく、デザイナーという職業の性質上起こるという意味です)
 
この揺れ動く原因は、エンジニアの仕事はあらかじめ物事が定義されているのに対し、デザイナーの仕事は物事を定義することから始まるからです。
例をあげましょう、ソフトウェア開発をする時、プログラム言語が定義されており、それに基づいてロジックを作ります。車の開発も、材料工学、機械工学などのあらかじめ自然科学に定義されている事柄を使ってロジックを組み立てています。
つまり、すでに定義されていることの中から実現可能なロジックを探し出して構築するのがエンジニアの考え方と思います。それゆえに、ロジックが一貫しており、全ての物事が線でつながっております。
 
一方でデザイナーの場合、定義が状況により常に揺れ動くことがあります。例えば、現在はシンプルなデザインが好まれますが、かつては華麗な装飾を施すことが美徳とされる時代があったり、その他、赤に対するイメージが国ごとに違っているなど、その時々の時代や場所、宗教、政治などによって常に定義が揺れ動きます。定義が揺れ動くたびに、デザイナーはデザインに新たな意味づけをしなければならないので、デザインするということは、その時々に合わせて定義をし直す必要が出てきます。
 
定義が状況によって変わってくるのでロジックも揺れ動くことになります。ロジックとしては一貫しているんだけれども、その起点となる点が案件ごとに定義され、定義された点から一貫した線が発生するイメージです。
 
※ちょっと補足
ここまでの話で、「いやいやエンジニアだって要件定義とかするでしょ?」とか「コンピュータ言語の定義だってエンジニアが考えたんじゃない?」と思うかもしれませんが、今回お伝えしようとしている内容は職業上の考え方の違いよりも、デザインや開発作業をするときの思考にフォーカスをおいて述べるつもりです。例えば、あらかじめワイヤーが出来ていて、どこにどのような写真を置き、使用するフォントも決まっているならば、それはデザインしているとは言えないと考えます。単にオペレーション作業だからです。
 
一方でRubyを開発したまつもとゆきひろ氏は自身の責任において言語を定義したということで、「デザインした」と言えると考えます。


2. 普遍と特殊

先ほどの定義の話にも被るのですが、自分がエンジニアで働いていた時は周りを含めて普遍的な決まりや方式を考える傾向が多かったと思います。例えば、プログラム言語にきちんとした決まりがあります。それにより、世界中の人が同じ方法でソフトウェア開発を行うことができ、国境を意識しなくとも同じ能力で同じものを作り出すことが可能です。その他、データ測定のための決まりを考える時も、社内だけで通用するものではなく、誰か測定しても同じ結果が出るような普遍的な測定方法を考えます。
 
一方でデザイナーの定義はデザイナー自身で作られるため、あるデザインでは成り立っていた法則が他のデザインでは成り立たないことが生じます。もちろん、左寄せが良いとか、黄金比に従ってデザインするとバランスが良いという一定の手法がありますが、その手法を選択してオブジェクトを配置するのもデザイナーの判断によって行われるため、同じ手順を踏めば同じデザインが出来上がるということはありません。なぜなら、各々のデザインの世界観はデザイナー自身が決定するため、誰にでも通用する普遍的な決まりや方式を決めることはできず、個々のデザインに特殊性を持ちます。
 
それゆえに、世の中のデザインは各々に個性を持ち、ある製品のロゴをそのまま他の製品のロゴに転用することができないなどの現象が起こります。同じ案件であってもデザイナーごとに個性が出るのも今言ったことに起因します。
 


3. 具体化と抽象化

例えば、家庭用の折りたたみテーブルを開発することを考えてみましょう。
エンジニアの時は、どういった素材を使うか、耐久性、作り方や生産方法、折り畳みの機構をどうすべきか考えておりました。
目に見える事象に対して、どうやってそれを形作るのか、実現可能なのかを考えます。
 
一方でデザイナーの場合、「どういった折り畳みテーブルが家族の団欒を助けるのだろうか?」とか「家族の暖かさってどう言う形が良いんだろうか」など、抽象的な事柄をいかに製品にあてはめてゆくのか考えます。
 
エンジニアの時は課題解決の時に「モノ」を使うもしくは「性能」をあげることに注力しておりましたが、デザイナーになり「雰囲気」や「気持ち」など抽象的な事象をどう取り扱っていくかに注力するようになりました。
 


4. 解答のある仕事、解答がない仕事

賛否両論があるかもしれませんが、前職の時の考え方と比較して感じたこととして、エンジニアの仕事は基本的に解答があると思います。例えば、製品の欠陥が生じたとしても、原因をきちんと追求すれば解決策を見いだすことができます。なので、基本会話をしていても原因と解決策を理路整然と述べることで終わりますが、デザイナーの場合時として解答のない事柄に取り組むことが多いと感じます。得体の知れない掴みにくいものが時間の経過とともに目に見える解答になったり、そうかと思うとまたまた掴みどころのないものに変化したり。
 
例えば、会社のロゴなどで有名なAppleなども当初はニュートンがリンゴを見つめているロゴから、虹色の今の形に近いロゴへ、そして白に変化するなど。会社の方針や方向性に合わせて頻繁に変化することがあります。会社の方針や方向性が変わるということは、いつになっても最初で最後のロゴをデザインするのが不可能であることを意味します。仮に会社の方針や方向性が変わらなかったとしても、社会の生活の変化がデザインに影響を与えることもあります。
 
かつてはロゴを紙に使用するだけだったので装飾が凝ったロゴでも問題なかったですが、モバイルアプリなどモバイル端末上でもロゴを主張する必要性が出てきた時は、アプリの規定に沿ったロゴへの再考を求められるなどです。
 
その他、会社のブランディングを考える時など、ブランディングは会社の「個性」を作り上げる行為なので、最適解はあっても絶対解がないことがあります。
 
デザイナー駆け出しの頃は、売り上げや、来店数という「数値」を求めるわけでもなく、「ユーザーにどう思ってもらえるか」というはっきりとした解答がない考え方がはじめは本当に気持ち悪くていつも悶々とすることが多かったです。
 
振り返ってみて 
ここまで色々と書きましたが、私もエンジニアからデザイナーになってみて、はじめのうちは考え方や捉え方に違いを感じ結構苦労しました。特に、最後に話した課題に対する解答が時として得られないケースが多く、今まで答えがはっきりしていた分野にいた自分にとって辛い時もありました。
 
しかし、この経験がプロダクト開発においてデザイナーとエンジニアが認識の相違なくプロジェクトを進められるように役に立ったことが多々ありました。今回の記事がプロダクト開発に携わる全ての方の参考になれば幸いです。
 
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