イノベーション会計の使い方
とりあえず2本目の記事です。既に継続の意志が弱まってきている・・・。
"イノベーション会計"と書くと、ヤバイ会計処理のことを想起するかもしれませんが、リーンスタートアップで有名なエリック・リースが提唱したCorporate InnovationにおけるKPI管理の一つの考え方のことです。議論としては結構古いのですが、あまり日本では話題にならないのでご紹介を。
去年の12月にInnov8rs Tokyoというフランス発のグローバルカンファレンスを01Boosterプロデュースにてひっそりと開催しました。
そこでご登壇頂いたDan Toma氏がこのテーマを結構掘り下げてます。
大前提となるのは、
"新規事業をいきなり財務KPIで評価するのはヤバイ"
という今や当たり前?の考え方です。
社内新規事業あるあるですが、
「利益は出るのか?1000億円の事業になるのか?事業計画書はできているのか?」
等の質問が聞かれることが(まだ)多いかもしれません。
これらの質問はProduct Market Fitフェーズ(顧客の課題が特定され、プロダクトが顧客に刺さっていて、勝ち筋が見え始めてるフェーズ)まで基本NGです。
ではそこまでどのように評価すればいいのか?ということで出来たのがイノベーション会計の考え方です。
1. 3つのKPI
イノベーション会計では、
報告用KPI , ガバナンスKPI, グローバルKPI
という3つのレイヤーがあります。ざっくり言えば
報告用KPI = 新規事業立ち上げてる人のKPI
ガバナンスKPI = 新規事業を複数モニタリングしてるチーム(新規事業部門等)のKPI
グローバルKPI = 意思決定レイヤー(新規事業担当役員/投資委員系)のKPI
という感じです。
これらのレイヤー別で、2つの観点からKPIを決めていきます。行動に紐づいた"活動測定指標"、行動指標だけだとVanity Matix (事業の表層を舐めるだけであまり意味がない数値)的になってしまうので、より売上などのコンバージョンそのものに近い"結果測定指標"を設定します。
2. 報告用KPI
例えば、これから事業アイデアを考え、数ヶ月-半年あたりで事業を立ち上げようとしている方であれば下記のようになります。
3. ガバナンスKPI
他方で、新規事業部門としては、当然Ideationフェーズだけを対象にしているのではなく、新規事業ポートフォリオを組んでいるはずなので、KPI設定はファネルを前提としたものになります。
4. グローバルKPI
最後に役員レベルのKPIですが、重視するポイントに企業毎のカラーがあるので一概には言えませんが、下記のイメージです。
これらの指標をベースにKPIをセットしていき、Corporate Innovationの各種ツールを活用していくのが世界では標準となりつつあるようですね。
日本はまだまだCorporate InnovationにおけるKPI設定がなかったり、場合によっては過酷なP/L責任を負わされていたりすることがしばしばあるようです。新規事業部門を作ったもののどうすればいいのか、とりあえずオープンイノベーション始めてしまったもののどのように社内で成功を定義するのか、等を考える際に、思考の手助けになれば!
他方で、以下の著作で指摘があるように、そもそもこのようなKPI設定そのものが事実上無理〜という議論もあります。(イノベーションは予測できないので、事前にKPI設定をしたとしてもその達成が怪しい/評価できない)
このフレームワークを組織論にどう落とし込むか、という論点が確かに言及されていないんですよね。
この辺の議論はまたどこかで拾えれば・・・。
ちなみに、Dan氏のInnov8rs Tokyoのワークショップでは、新規事業の成功が確率論であること/ステージゲート式によるリスクコントロールが重要であることをピンボールで示すというユニークな手法を取りました。(出席者がひたすら約1時間ピンボールゲームをやり続けるというシュールな空間でした笑)
ピンボールゲームはこちら!
更に詳しくイノベーション会計について知りたい方はこちらの本がおすすめです。
有難うございました🙏
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