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ムーンライトの思い出(その2)

【ムーンライト東京】
ムーンライト一族の中でも比較的新しく設定され、そして一瞬で消えていった希少価値の高い列車。2003年に初めて設定されて、2005年までの僅か三年間、その後に設定された、ゲレンデ蔵王(大船~山形)という、同系統の列車を含めても、2006年まで。
非常に短命だっただけでなく、運転日も限られていた。
恐らく、旅行会社の企画切符でかなり抑えられていたのだろうか?この列車の切符を取るのもかなりの苦労だった。
もちろん、この時も駅員さんから覚えられた。

これに乗りたかったのも、希少価値の高い583系で運転されていたから。
座席状態ではあるものの、一度、国鉄時代は昼夜問わず走り回っていた車両の乗り心地を味わってみたかった。
もうひとつ面白かったのが、この列車の運行経路だ。
東京から仙台へと向かうわけだが、途中大宮までに約1時間30分も掛かっている。各駅停車の京浜東北線であっても1時間も掛からない距離、いくらなんでも時間を掛けすぎだ。
というのもこの列車、東京ディズニーランドのアクセス列車として考えられており、東京を発車すると京葉線でわざわざ舞浜へ。そのまま武蔵野線を経由して東京の郊外を大回りして、大宮へと向かったのだ。
臨時列車ということ、また各線区内に追い抜き設備もないことから、普通列車の後ろをノンビリと追いかけて、夜の街を眺めながらゆっくりと走っていた。

この車両はもともとは寝台と座席を切り替えができる特殊な構造。
この時は快速ということもあってか、座席での運用ではあったが、少し寝台気分を味わうこともできた。
最初のうちはしっかりとボックス席に4人座っていた。急行型とは異なり、座席の幅や間隔には余裕があるとはいえ、やはり固定式のボックスシートで定員しっかりと乗っていると、寝るには辛いところ。
しかし、明け方の福島だったか?である程度人がおりてからは快適だった。
僕のボックスはもう一人のおじさんだけになり、示し合わせて下段だけではあるが、座席を寝台仕様に。座面を引き出すだけで、簡単に切り替えることができるのだ。
明るくなってきたみちのくの車窓を眺めたりうたたねしたりしながら、583系の重厚かつ快調な走りを楽しむことができた。
結局、僕が583系に乗車する機会はこれが唯一。いろいろな意味で、なかなか貴重な体験となった。

【ムーンライト山陽】
関西発の夜行列車は、客車列車で運転されたのが特徴だ。
特に、ムーンライト山陽や九州は、シュプール号で使われた改良型の客車が使われたこともあり、とても快適に移動することができた。
ムーンライト山陽は、京都から下関までの運転。
主に広島や山陽地方各都市までの利用を想定した列車だったのか、下関到着は比較的遅い時間だった。(確か9時~10時頃)まあ下関に行くのであれば、ムーンライト九州のほうが便利だからというのもあるだろう。

この列車に乗ったのは、トラブルの産物だった。
中学の卒業時の春休み、九州への1人旅を計画。関西をぶらぶらした後、ムーンライト九州で九州入りする予定だった。
しかし、奈良駅から列車に乗ろうとしたとき、なんと財布がないことに気付く。その直前に乗ったバスか?と、問い合わせたりしているうちに、結局ムーンライト九州に乗ることはできなかった。

一応予備の財布に分けて旅資金を持っていたので、なんとか旅の続行は可能かと判断。もう一度18きっぷを買いなおし、ムーンライト山陽の指定席もゲット。多少、到着が遅くはなるが、まあどうにかなるさと乗り込んだのだった。

あ、ちなみに財布は、カバンの奥底から3日目ぐらいに発見されたというオチだった。

こういったわけで、偶然にも乗ることになったムーンライト山陽。
特に後半、ガラガラに空いてきた車内は非常に快適。
リクライニングの角度もめっちゃ倒れるし、後ろからは去り行く景色を眺めることもできる。
ヒマそうな?車掌さんが話しかけてくれて、そんな体験もよかった。
ある意味、この列車に乗れてラッキーだなと思った。

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