【京葉線ダイヤ改正騒乱に思う】
少し前の話です。
2024年春のダイヤ改正概要が発表された12月から1月にかけて、大きくマスコミやSNSも巻き込んで、京葉線のダイヤ改正について批判の声が巻き起こりました。
その内容に関して、もう既に既出の記事は腐るほどあるので、簡単に解説すると、
「通勤快速の廃止」
「通勤時間帯の快速は普通列車に置き換え」
「一部減便」
というところです。
特にインパクトが強かったのは、通勤快速の廃止。
蘇我~東京間を、途中停車駅を新木場・八丁堀のみに絞り、蘇我以遠の内房・外房各線からの遠距離通勤者の利便性を図っていた列車が廃止されることに対しての声が大きかったです。
流石にJR東日本もやりすぎだと思ったのか??
一部の快速列車を復活させる(朝二本のみだが)という妥協案を提示し、まあ事態は多少の鎮静化になっている模様だ。
まあ個人的には、そもそもダイヤ改正は1年近く前から綿密につくられているもの。それを変えるというのはかなりのことでもあり、もしかしたら事前に猛反発があったときのために、妥協案としてのダイヤは考えてあったのかもしれない…とも思えるが、真偽のほどは定かではない。
どうしてこんな騒乱になるようなダイヤ改正になったのだろうか?
鉄道会社(JR)の施策により、そもそも通勤快速の役割が、現在ではかなり、低下してきているように思えるのが一因にも思える。
一時期は、首都圏を中心に少なくとも放射状に延びる線区では、殆どの路線で通勤快速が設定されていた。
それが、ここ数年で減少傾向となり、コロナ渦もあって消滅した線区もある。
現在、JRで通勤快速が設定されている線区は以下の通り。
・京葉線(2024年春ダイヤ改正で廃止予定)
・埼京線
・中央快速線
因みに、以前は走っていたものの廃止された線区は以下の通り。
・東北本線(宇都宮線)
・高崎線
・東海道本線
・常磐線
これを見ると、首都圏のJRでは全体的に縮小傾向にあることがわかる。
快速列車というのは、いわゆるサービスの側面もありますが、鉄道会社にとっても、ダイヤ設定によっては効率的に輸送力を調整ができたり、運用効率が上がったりという副次的な効果がある。
快速の設定による速達化ができた場合に考えられるコスト削減としては、
・最高速度を向上しない場合は、加減速の減少による動力費の削減
・乗務員の拘束時間の減少によるコスト削減
・必要編成数が場合によっては削減が出来る
その反面、停車駅の選定によっては無駄が発生したり、旅客案内も煩雑になったり。また、停車駅が違う列車が混在することは、現場にもそれなりの負荷はかかる。
停車駅通過(又はその逆)の発生要因になる一面も。
恐らく通勤快速を廃止していくJR東日本の論理としては、
・快速を運転すると、通過駅との便益の差が出る
・朝ラッシュ時はそもそも列車間隔が狭いので、通過運転によって退避が生じるなど、デメリットが多い
・普通列車のみ停車駅での利便性向上
というところか。
現状残っている通勤快速運転線区の状況を見ると、
中央線⇒京王線との競合関係もあり、通勤快速の設定が有効
埼京線⇒大宮以遠の遠距離からの通勤客の利便性。東武・西武との競合関係もあり。
という面から設定されていると思われる。京葉線は残念ながら、競合関係にあるライバルは存在せず、そういった面でも強気な合理化策に転じやすい路線だったのかもしれない。
それにしても、もう少しマシなダイヤにならなかったものかと思う。
大義名分は混雑の平準化とはいえ、通勤快速のスジをほぼ受け継いで特急を設定(しかも通勤快速より遅い!)というところを見ると、長距離客の特急誘導という裏の目的が見え隠れする…というより、意図が見え見えだ。
普通列車の運転間隔もバラバラで、2~3分毎に列車が来ることもあれば、特急の関係もあるだろうが7~8分空いたり…
便利になったダイヤとは言い難いだろう。
通勤ライナー的な列車の設定は確かに世間の流れでもあり、一定の需要があるのは否定しないものの、大多数が乗車する一般列車の利便性を落としてまで設定するのはどうなのかと思う。
最後に、僕個人的に考えてみた京葉線ダイヤのザックリとした改良案だ。
朝夕ラッシュ時の通勤快速を復活。ただし、停車駅は蘇我~海浜幕張・新木場・八丁堀とする。
外房&内房線から直通する列車は全て通勤快速とする他、一部は蘇我始発も設定。
普通列車は基本的に、通勤快速と接続する海浜幕張始発及び、新習志野~東京の運転とする。
運転サイクルは12分。
その間に各列車を一本ずつ運転するのだ。
そうすると1時間に15本の運転となり、現状の運転本数とそんなに変わらない。
通勤の大きな流れは東京と一部新木場経由で臨海部に流れていると考えられ、徹底的に遠近分離をすることが出来ると考えられる。
新習志野始発を設定したのは、海浜幕張駅だけで普通列車の始発を賄うのは折り返し容量として不安があるのと、同駅に車庫があり、始発(終着)列車の設定が容易であること。
海浜幕張~新習志野間にある、幕張豊砂駅の乗降客数のデータが見当たらないが、新駅であり、立地としては通勤客がそれほど多くない駅であることからだ。
こうすることにより、各列車の役割を明確化。普通列車停車駅の利便性も確保しつつ、遠方からの速達性も確保できる。
そして、漫然と蘇我~東京の普通列車を運転している現状よりも、列車の総運行距離や動力費も削減できるのではないかと思われる。