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ソーダライトソーダ(ショートショート)

 今よりずっと昔、古代の夜空が何らかの原因で地層に挟まれ、圧縮されることで出来た鉱石がある。一説によると、古代人が夜空の一部を溶かして、それを鋳物づくりの材料にしていたという話もある。それを示す遺跡もあるそうだ。ただし、この原因に関しては諸説あるので、どれが絶対的な正解か、ということはわからない。
 その鉱石は不思議とソーダのような爽やかな香りがする。砕いて、水中に入れるとしゅわしゅわと泡が立つ。
 これを三センチ角ぐらいの大きさにしてコップに入れ、水を注ぐと、美味しいソーダができる。氷の代わりに、水を冷やす効果もあるのだという。
 また、顔料の材料にもなり、細かく砕くほどに色鮮やかになる。

 ちなみに、初めてこの鉱石を含む地層を発見した人は、「目の前に突然夜がやってきたかのようだった」と言葉を残している。
 彼は、教科書の偉人の写真が集められたページの中で、何とも言えない表情をしながら右側の方をずっと凝視している。今日もどこかの学校で、生徒のうちの何人かは、「なんで偉人の写真ってカメラに目を合わせない人ばかりなんだろう」と思っているだろう。右側を凝視しているその人は、地質学者で哲学者でもあるのだとか。

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