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サンドイッチ(雑記•ショートショート)

 八切りの食パンを買ってきます。
 サンドイッチを作りましょう。
 具材にレタス、きゅうり、ハムを用意して、マヨネーズを時折挟みながら重ねていきます。もう一枚のパンで具材を閉じる前に、マスタードやカラシを二、三粒ほどつけましょう。
 サンドイッチができたら、あとはコーヒーを淹れて、いただきます。
 サンドイッチには何を挟んで食べてもいいのです。
 その昔、お金を具材にして食べた女性が居たという逸話も残っているほど。

 太陽の光、月光、アクアマリンやムーンストーン、レンガに電卓のキーボード。
 ここでは、サンドイッチに様々なものを挟んでみます。

***

 プルタブ

 まずはプルタブをサンドイッチに挟みます。
 新鮮な缶から採れるプルタブはとても良質です。
 一般的にプルタブの漁場は、街中に並んでいる自動販売機のなかのどれかです。大抵は食べられないのですが、ときどき自販機の作動音が、
「ビー」というよく聞く音でなく、
「ざざぁ……」とか「とぽん」という、海などでよく聞く、波音のようなものが聞こえてくることがあります。
 その自販機が狙い目です。
 ここでは、魚缶が採れるのです。ピチピチしています。私は食べたことがありませんが、どうやら美味しいらしいです。
 そんな魚缶からどんなタブを採るか、どれだけ採るか、ある程度上限はあるものの、決めることができます。
 つまり、この漁場ではお金さえあれば入れ食いという訳です。
 これで、少なくともプルタブの釣果が出なくて、ご家庭に帰ってから「今日も釣れなかったの?」なんてどやされる必要もなくなる訳です。

 あとは、手に入れた缶から一つずつプルタブを取り外していき、集めます。
 これはバターと醤油で炒めるのがベターです。
 サンドイッチに挟む時は、新鮮なシャキシャキ野菜と一緒に挟んで食べましょう。プルタブの、軟骨のようなコリコリ感と、バター醤油の香りをぜひ楽しんでください。

 絨毯
 
 
まずは野生の絨毯の群生地に向かいます。おそらく、これが一番の難関で、様々な探検家が、様々な方法でそれを探していますが、なかなか発見に至っていません。
 地衣類や苔類の仲間ということは分かっているのですが、それ以上の情報はどこにも公開されていないのです。
 様々な植物誌や博物誌などの文献を探ってみても、どこにも見当たりません。
 ここはとりあえず、私の知っている食用絨毯を販売しているお店から購入していただくのが得策かと思います。
 私のおすすめは北欧風絨毯です。模様が北欧のあたたかなデザインになっているのが特徴です。
 ふわふわの食感に加え、見た目にも可愛らしいです。せっかくなので、その地域でよく作られる、オープンサンドにして食べてもいいかもしれません。ちなみに、北欧風絨毯は干し鱈のような味がします。
 もし絨毯サイズだと大きければ、ラグサイズのものを購入されるのがよいかと思われます。

 雨粒

 雨粒を挟んでみるのはいかがでしょう? 部屋のカーテンを開いて、窓に流れる雨粒を見てみましょう。車のフロントガラスに滴るものでも構いません。
 これらを、ガラス越しに引き抜きます。
 どうやってやればいいかわからない、ですか? 雨粒が滴った軌道が、ところどころ繋がっているのがわかると思います。これを迷路のように追っていくと、雨粒の滴るガラスのどこか一箇所が、それらの起点、つまり、始まりになっています。
 その部分を、ガラスの内側から慎重にペリペリと剥がしていきます。すると、窓ガラスにくっついていた雨粒が綺麗に収穫できます。
 ポイントとしては、あくまでも窓ガラスの内側から剥がす、というところです。外から剥がそうとしても、雨粒が崩れるだけで終わってしまうのでうまくいきません。
 さあ、後はパンに挟むだけです。みずみずしく、シャキシャキとした食感は、レタスやきゅうりの代わりとして使ってもいいかもしれませんね。
 雨の降る午後には、コーヒーでも飲みながら、雨粒のサンドイッチを楽しんでみてはいかがでしょう?

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