インスタント(雑記)
朝目が覚める。布団から起き上がって歯を磨き、顔も洗い、朝食の準備をする。
インスタントのカフェラテに、インスタントの袋麺。栄養バランスや組み合わせもさることながら、今日はインスタント食品しか口にしていないぞ、と気づく。何かインスタント以外のものを買ってなかったろうかと、思い返す。そうしながら、一つの考えが頭の中を巡っていた。
もしこの世界の全てがインスタントだったらどうなるだろう。
急にそんなことを考え出したのは、朝食のインスタントたちのせいだ。
太陽が、月が、あるいはそこから放たれている光線がインスタントだったら。歩道橋も、点滅する歩行者信号の緑色も、横断歩道の白線も。
空を飛ぶカモメや、夕暮れの街並みとカレーの匂い。夏の夜空の花火も。
まあ、花火はある種インスタント食品と似た性質を持っているような気もするけれど。
インスタントとは、すぐにでき、手軽であること、であるらしい。
もしこの世界がすべてインスタントなら、そんなお手軽な世界で生きている僕もお手軽ということになるのだろうか。
面倒くさいことを考えているな、と思いながら、インスタントラーメンをすすり、その湯気をぽっ、と吐き出す。
その湯気が朝日に照らされて、仰々しいくらいに瑞々しく輝いている。