深海(雑記)
夜の暗さが深海に潜っているみたいに感じる。
自分がいる部屋の空間すべてが例えば小型の潜水艇で、夜が自らの夢と繋がっているとしたら、この部屋はどこまでも深い夜の底に潜っていくことができる。
空想も、幻想も、なんでもありな場所に向かって進路をとる。
呼吸の速度や、ノートパソコンの操作音、湯気の上がるノンカフェインのコーヒー。
それら一つひとつの解像度が高くなっていく中で、時々外の景色を眺めたりする。
星が静かに輝いている。それぞれが魚のように自由に空を泳ぎ、夜風に乗ってどこか遠くに向かう。
僕が掴み損ねた言葉やイメージといったものの魚影は、どこか別の潜水艇にいる誰かのもとに辿り着く。
そこで魚影は確かな文字となり、輪郭線を持ってこの世界に放流される。
その数も分からないものたちがひとつの大きな生態系のようになっていく。