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イラストレーターがアップリケのメーカーになるまでのこと ④
こんにちは。
イラストレーターのトヨクラです。
前回、はじめて買取で商品を扱ってもらえるお店ができたところまでを書きました。
しかし、その後はなかなか商品を扱ってもらえるお店も増えず、在庫を多くかかえた状態が続きました。
この在庫を抱えるというのは大きなリスクで、できるだけ小ロットで製造したいのですが、それだと原価が上がってしまい利益率も悪いというのが一人メーカーの悩みです。
小ロットで販売して様子を見てから商品が動きそうなら大きくロットを増やすというやり方もありだと思います。
(Tシャツやiphoeケースなどはデザインだけアップしておいて、売れてからオンデマンドで印刷して届けるというサービスもあるので、そこは在庫リスクなく始めれるかもしれません)
僕の場合、在庫を抱えてどうしようか考えている中、スガイワールドさんが展示会というものに出しておられる記事を拝見しました。
イラストレーターをやっていて、絵の展覧会、デザインフェスタなどの即売会などは知っていましたが、この業界関係者むけの展示会というのは知らなかったのです。
興味を持った僕は、すぐにこの展示会に出して勝負してみたいと思いました。
その展示会というのがアッシュペーフランスさんが主催するroomsというファッションの展示会だったのですが、1ブースの出展費用をみてみると、40万円ほどして、まずその金額に驚きいまの自分では無理だなと思いました。
ただ、調べていくと、なんと若手のブランドで初出展のみだけ審査を通れば比較的安価で出せるイエローブースというのがあったのです。
スペースは1mx3mだったと思いますが、出展費用は15万円ほどでした。
これならなんとか出せると思い、これでもし販路を拡大する糸口がみつからないようなら、プロダクトから撤退する覚悟を持って思いを込めて申請書類を作り応募しました。
すると、出展への思いが伝わったのか、見事審査に通過し2月に開催されるroomsに出展できることになりました。
出展するからには一人でも多くのバイヤーさんに足を止めてもらうべき、ブースの装飾などを準備しました。いかにアイキャッチをよくするかなどの見せ方は、今までの個展やイベントなどでの経験が生きました。
展示会前日、代々木体育館目指し大阪から荷物を車に積み込んで、いざ出陣。
しかし運の悪いことに、その日は数年に一度の大雪で大吹雪。
静岡から東京へ向かう高速道路は封鎖され、途中から解除されましたが大渋滞でした。
これはプロダクトをするなという天のお告げかとも思いましたが、この展示会に掛ける意気込みはかなり強かったので、へこたれずに一人で運転して東京に向かいました。
途中、搬入の締め切り時間内に会場に着くのか危ぶまれましたが、なんとか片道15時間以上かけて到着しました。
搬入には東京在住だった一緒にイラストの活動をしている「なりゆきサーカス」のメンバー中川貴雄君に手伝ってもらい、二人でブースの設営をなんとか完了させました。
そして無事に展示会初日を迎えることができたのでした。
何もかも初めての展示会。
デザインフェスタやフリーマーケットなどの即売会は経験したことあるけど、業界の展示会なんて初めてで右も左も分からないことだらけ。
しかも周りを見渡すと、おしゃれな靴やセンスの良い服、アクセサリーなどが所狭しと並んでいて、僕のようなイラストレーションを使った商品などほとんど見かけません。
場違いじゃないのかと感じ、もう不安でいっぱいです。
展示会のスタートの合図とともに、おしゃれな服装のバイヤーさんがいっぱいブースの前を通って行きます。
そんな中、フェルトのインスタレーションのアイキャッチもあって、多くのバイヤーさんが僕のブースの前で立ち止まってくれ、お話をして名刺交換をしてくれました。
それも、名刺交換して会社名を見ると、有名百貨店のバイヤーさんや、本と雑貨で人気の某書店さん、超有名アパレルブランドの部長さんなど普通に関西にいては出会えない人ばかりで気分も上がります。
想像以上に驚くほど多くの方と名刺交換をし、とても良い感触を初日でつかめました。
結局3日間、ずっと立ちっぱなしで接客して、その場でお取引のお話をいただいたり、また連絡しますと約束していただいたり、手応え十分で初めての展示会を終えました。
展示会が終わった後は、腰痛で立つのもやっとになっていましたが、それ以上にうきうきしていたのを覚えています。
大阪に帰ってからはお取引のお話をさせて頂いたお店さんに商品を送ったり、名刺交換させていただいたバイヤーさんにお礼メールを送ったりと、とりあえず展示会のフォローをしようと頑張りました。
そうこうしているうちに、東急百貨店本店の子供服売り場のバイヤーさんからフェアの開催のご連絡が来ました。
今まで百貨店など普段は行く機会もなく、ましてフェアなどもしたこともなく、初めての経験でしたのでチャンスと思い即答で「やります!」と答えていました。
あとから気づいたのですが、僕のアップリケはどちらかというと20〜30代の女性向けだと思って作っていたのですが、声をかけていただく百貨店は子供服売り場のバイヤーさんが多く、子供向けのアイテム、商材として見られることが多かったです。
特に狙って子供向けに商品を作っているわけではないのですが、お取引のある百貨店では今でも子供服売り場で展開されることがほとんどです。
東急さんでフェアが決まった後、フェアの前日に上京して搬入です。閉店後の売り場で商品をきれいに並べていきます。
与えられたスペースも当時の商品の種類からしても広くて、手作りのものも含めできるだけ多くの種類の商品を並べました。そうすることで世界観も出て、遠くから見ても目立つ売り場ができました。
ちょうどこのタイミングで、roomsの展示会で出会った日経MJのライターさんから取材を申し込まれていたので、このフェアと一緒に記事を書いていただきました。
ここで百貨店とのお取り引きに関して注意事項があります。
メーカー側はまず百貨店に口座を開設しないといけないのですが、そう簡単には口座を開いてはくれません。この際はRe:VERSEとしては開設できなく、東急さんと付き合いの長いメーカーさんが間に入って商品を入れています。
流通の流れとして、メーカーと小売店が直接取引きする場合もありますが、間に問屋が入る場合もあります。
問屋さんを通すことのメリットは、問屋さんが卸先を営業してくれて販路が広がったり、各店舗に商品を発送せずに問屋さんにまとめて発送することで、発送などの手間が省けます。その分、問屋さんもマージンを取りますから、メーカーから問屋に卸す掛け率も低くなります。
どちらがいいかはメーカーのスタンスにもよりますが、僕の場合は商品の販売されている範囲を自分で把握したいため、直接取引しかしていません。
不特定多数の場所で販売して行くというよりは、長く丁寧に商品を扱っていただける小売店さんと一緒になって販売したいので、今でも直接取引にこだわっています。
顔の見える関係が長く続く一番の秘訣だと思っています。
つづく。