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AIの進化と人材エージェントの未来

はじめに

キャリアや仕事に悩む人々にとって、転職や案件選びは人生を左右する重要な決断です。そのような状況で、多くの人が転職エージェントや業務委託の紹介サービスを利用します。しかし、これらのエージェントの提供するサービスの質については、周囲の人の声を聞く限り、必ずしも高くはないようです。

私も過去に何度かエージェントにお世話になった事がありますが(仕事を求める側、働き手を求める側の両方で)、必ずしも質の高い方ばかりではなかったように思います。また、これまで多くの転職希望者やフリーランスの方と接してきた中でも、エージェントの対応に満足しているという方はあまり多くありませんでした。特にIT企業やスタートアップで働くスキルを持つ20〜40代の方々にとって、エージェントの質が低いと感じる場面は少なくないのではないでしょうか。本記事では、人材エージェント業界の課題と、AIが変革をもたらす可能性について考察します。

転職エージェントと業務委託エージェントの現状

転職エージェントの多くは『手数料型』のビジネスモデルを採用しており、転職成立に重点が置かれ、求職者に最適なキャリア提案ができていない場合が多いようです。
一方で、業務委託エージェントにおいては、クライアント企業から依頼された案件を機械的に紹介し、紹介後は継続的に手数料を徴収するだけで、案件内容や求職者のスキルセット、将来のキャリア展望を理解し、フォローアップや伴走をする、といった事はほとんどなされていないようです。

このような現状から、人間を中心とした人材エージェントのサービスが働き手に提供出来ている付加価値は実はあまり高くはない、と言えるのかなと考えています。

AIの進化とエージェント業界の未来

近年、AI技術の進化は目覚ましいものがあります。生成AIや会話型AIの登場により、複雑な相談にも対応できるシステムが増えつつあります。こうした技術が進化を続ける中で、以下のような時代に変わりつつあると感じています。

1. AIエージェントへのシフト
気兼ねなく、何でも相談できるAIが普及すれば、特定のスキルや深い知識を持っていない、共感や心理面でのサポートも未熟な人間のエージェントは求められなくなるかもしれません。AIは膨大なデータからどんなときも瞬時に最適なアドバイスを提供してくれますし、人件費がかからない分、手数料やコストも抑えられるため、利用者にとって大きなメリットがありそうです。当然、数ある求人・案件の中から最適なものを提案するという点についても、人間よりもAIの方が優秀であるケースは多いでしょう。

2. 人間のエージェントの再定義
一方で、AIにはできない「人間らしい共感と安心感」や「データ化されていない暗黙知」が求められる場面もあります。特に、人生における大きな決断を伴う相談では、AIの提案に完全には頼れないという声も少なくないでしょう。こうした背景から、今後は単なる求人マッチングや案件紹介に留まらない、「キャリアコーチ」や「人生の伴走者」としてのスキルを持つエージェントが必要とされるのかもしれません。

未来のエージェントのあり方

これからの働き手は、AI、人間それぞれに以下のようなエージェントを求めるようになるかもしれません。

AIエージェント
迅速かつ的確な回答が欲しい時、AIは最適なパートナーとなるでしょう。過去の経歴やスキルを元に、数多ある求人の中から最適な求人やキャリアプランを提案し、心理的な負担を軽減してくれる存在として期待されます。

人間のエージェント
一方で、深い共感や心理的なサポートが必要な場面では、人間のエージェントが必要とされるでしょう。そのような中でも、求められるのは、AIに劣る提案しか出来ない人間、ではなく、AIが導く回答を使いこなしたうえで、働き手に寄り添える高度なスキルを持った方のみが求められることになるはずです。そして、単なる「求人紹介者」ではなく、キャリアの伴走者としての役割が重要になりそうです。

最後に

AIの進化が進む時代、私たちは職業選択やキャリアに悩むとき、AIか人間どちらのエージェントを頼っていく事になるのでしょうか?答えは一つではなく、その人の置かれた状況や目的に応じて変わってくるものなのだと思います。どのような時代が訪れるにせよ、多くの働き手が、自分らしく働き、社会に価値を創出するお手伝いがしていくような事業をつくっていけたらと思います。

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