香港に接する中国広東省の「深圳」は、日本では慣用的にシンセンと呼ばれていますが、センは「圳」の旁にある「川」に基づく誤読、いわゆる百姓読みにあたります。
漢和辞典としては最大級の『大漢和辞典』によると、「圳」の字音として、シウ/ジュ、シン、シュンが掲載されていますが、センの読みはありません。
「圳」は、広東地域において、田畑の間に水を通す小さな溝を表します。伝統的な字体ではなく、限られた地域でのみ使用される方言字です。もともと標準中国語にはない字なので、広東方言から音韻体系に沿って標準中国語の発音を比定した結果、zhènという音が導き出されました。
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参考