天狗からいろいろと学んできた少年 続続続
寅吉『なんだあれー!!!』
わけがわからなかった。
その次の日も怖いながらおそるおそる見にきて、その薬売りの老翁を見てたが、昨日と変わらず、夕暮れまで商売をして壺に入って帰っていった。
また次の日も気になって見に行ってみた。
すると老翁が話しかけてきて、
老翁『お前もこの壺に入れ。面白いこと、たーくさん見せるから』
気味悪いし、大丈夫か心配だったから
寅吉『ぼくはいいよ〜』
断ったら、横にあった出店のお菓子とか買ってくれ、優しい素振りを見せた。
老翁『お前は占いの事を知りたいんだろ?そんなに知りたいんだったら、この壺に入って、ワシと一緒に行こう、教えてあげるから。』
と勧めてくる。
(うーん、占いはずっと知りたかったしその気持ちはまだおさまってないしなー。でもなんでぼくが占いを習いたいって知ってるんだ?うーん、よくわからないけどまぁとりあえず行って見てみようかな〜。)
という気になって、壺の中に入ろうとしたその瞬間!
日もまだ暮れてないのに、いつのまにかとある山の頂上に居た。
そこは今の茨城県にある難台山というところだった。
最初は見たこともない山の中できゃっきゃっとはしゃいでいた。
しかし、まだ7才でほんの子供の寅吉は、夜になったらしきりに両親が恋しくなって泣きじゃくり、老翁も慰めるけど、余計に大声で泣きじゃくった。ついに慰めかねて、
老翁『しょうがないから家に送ってあげるよ。だけどこの事は絶対に人に言わず、毎日、五条天神の所においで。ワシが毎日送り迎えして、占いを教えてあげるから』
と言ってよいしょっとおんぶしてくれ、『眼を閉じろ』と言って大空に飛んだ。
目を閉じて空を飛んでる間、ざわざわーと耳に風が当たるなーと思っていたらもう家の前に着いていた。
家の前に着いても、
老翁『何度も言うけど、この事は誰にも言うなよ。誰かに言うと、身に良くないぞ。』
と教えて、老翁は見えなくなった。
こうして、寅吉はその約束を固く守り、誰にも、両親でさえもずっと秘密にして、天狗の老翁にいろいろと学ぶ日々が始まった。
つづく