見出し画像

天狗からいろいろと学んできた少年 続続

あらすじ
 初対面の寅吉少年にまじまじと顔を見られた平田篤胤は、「あなたは神さまなり」と再三言われてるのを怪しく思って軽くあしらっていたが、自分と翁が神道を学んでいることを見透かされたのに、なんで話してもないのにそんな事がわかるんだ?!と驚きを隠せないでいた。


 まず最初に神さま(天狗)に誘われたきっかけを聞いた。

 寅吉が話すに、、、1812年の7才になる時、池之端茅町(東京都台東区)、山はずれの稲荷社の前に“貞意”という占い師が居て、そのおやしろの前で毎日占いしているのを立ち寄って見聞きしてた。『乾{けん}の卦出でたり』『坤(こん)の卦出でたり』とか言ってるのを見てて、(占いというのは、ケモノの毛を集めてそれを使ってやるんだ。集めたいろーんなケモノの毛を引いて、熊の毛が出れば◯◯とか、鹿の毛が出れば◯◯とか、その引いた毛で判断してるんだな〜。面白そう〜。習いたいな〜。)と思っていたある日、占い師の周りに人が居ないのを見計らって、
寅吉:『どうやってその占いやってるの?やり方教えてよ。』
 と教えを請うと、占い師は僕を小僧と思ったのか鼻で笑いながら、
貞意:『ふん、この占いは簡単に覚えられるようなもんじゃないから、手の上に油を溜めて、7日間火をつけ続けて耐えれたらまたおいで。そしたら教えるよ。』
 マジかよ、、、そんな事耐えなきゃいけないなんて、ほんとに簡単じゃないんだ〜。と思いながら家に帰って、父母も誰も見てないところでこっそり2階に上がって手に油溜めて火を付けてみたら、熱いのなんの、耐えれるわけないやんこんなの!と思ったけど占いのやり方も知りたいし、まぁまぁなんとか7日間やり続けて占い師の元にまた行ったんだ。
寅吉:『言われた手燈の行、7日やったよ!見てよこの手。焼けただれちゃってこんなになっちゃったよ。これで、占い教えてくれるよね?』
 と言っても、占い師の貞意は(ほんとにやってきたわこのワッパ)と言わんばかりに笑い転げるばかりで全然教えてくれない。
 騙された!ってほんとうに悔しくて、もうますます占いのやり方が知りたくなっちゃって仕方ない日を送って4ヶ月くらい経ったある時、“東叡山”の山の下で遊んでて、黒門前の五条天神らへんを見てると、50才ぐらいに見えて髭が長く、髪の毛はくるくる櫛巻きみたいに巻いて結んでる旅装束の老翁(おじいちゃん)がいた。
 片手が入るくらいの穴の小壺から、丸い薬を取り出して売っているんだけど、目の前に並べてる小つづら・敷物まで、なんでもかんでもその小壺に入れてる。どんなおっきいものも吸い込まれるように納まる。
 そのうち、その老翁も自らその中に入ろうとして、(えー自分も入るのー?)と見てると片足を踏み入れた瞬間に体全部入っちゃったと思ったら、壺ごと空にひゅーんと高く舞い上がって見えなくなってしまった。

つづく

いいなと思ったら応援しよう!