武岡瑞樹@創作

恋愛小説・歴史時代小説好きな物書き。 小説中心に漫画・イラストなども作ります。

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最近の記事

自己紹介という名の自語り

始めましての方は、初めまして。 そうでない方、いつもありがとうございます。 武岡瑞樹と申します。 今回はこの私がどういう活動をしているか、についてお話していきたいと思います。 別に小説家とか創作家を気取るつもりはない、ただの物書きなので気楽に「あ、こいつこんな奴だったんだな」とみていただけましたら幸いです。 小説を書いてます。このアカウントを見ていただけたら一目瞭然ですね。 だいたい短編ばかり書いてます。 普段は「エブリスタ」という小説投稿サイトでオリジナル小説をちまち

    • コンビニ店員奮闘記 第三話

      8月に入り、うだるような暑さが続く。 「ふう、暑いなぁ…」 そう一人ごちながら店の外のごみ袋を取り換える。 「なにこれ!重いと思ったら!」 燃えるごみの袋に大量の新聞紙が捨ててあった。2週間分くらいだろうか。束になっていてかなり重い。 「もー、ちゃんと自分の家で処分してよね…」 ぶつくさ文句を言いながら、所定の倉庫の中に投げ入れる。 「ふー、早く中に戻ろう」 倉庫の鍵を閉めて、店内に戻る。 冷房はガンガン効いているわけではないけれど、店内は外に比べれば格段に涼しい。 「お帰り

      ¥500
      • コンビニ店員奮闘記 第二話

        それは私がコンビニで働きはじめて2か月後のことだった。 「田中さん、ちょっといいですか?」 和久井さんから突然声をかけられた。 時刻は午後5時10分。帰り支度も済んで特に急ぎの用事もないので、「はい、いいですよ」と答えた。 「今週末って、暇ですか?」 「えっ?」 まさか和久井さんにプライベートなところを聞かれるとは思わなかった。 「特に用事はありませんけど…」 何だろう、シフトの交換とかだろうか。和久井さん、休日もシフト入ってたっけ? 「実は近くに新しくこの店と別の系列のコン

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        • コンビニ店員奮闘記 第一話

          「由紀、ちょっといいか」 2月9日火曜日。時刻は午後7時。夕飯を終えて私はソファでファッション雑誌を広げたところだった。 「何、お父さん」 せっかく読もうと思って本を広げたところだったのに、という恨みがましさを若干含めてそう返した。 「もう次の仕事先、決まってるのか?」 「…いや、まだだけど」 大学を卒業してすぐ入った就職先が、肌に合わず一年で辞めたところだった。ただいま絶賛求職中。 「そうか、それならちょっと頼まれてくれないか」 「は?」 仕事をしてないから頼みたいとは。

          桑名看板娘日和

          序章 「へい、らっしゃいらっしゃい!」 「チョイとお兄さん、寄っとくれ」 威勢のいい掛け声が四方八方から聞こえる。 ここは伊勢国の入り口、東海道の二番目の規模をほこる宿場町・桑名宿。 時刻はつい先ほど鐘が午の刻を知らせたばかり。太陽は中天に上り燦燦と輝いている。 通りには新鮮な魚をザルいっぱいに積んだ振り売りやお伊勢参りの旅人、呼び込みや小役人の武士たちがやいやいとごった返している。 その中でひときわ通りの良い、鈴を転がすような愛らしい声が群衆の中から聞こえる。 「商人様も、

          桑名看板娘日和

          崩落の夜

          藤堂、と呼ぶ声が、懐かしく響いた。 「おい。……おい、南部。南部与七郎」 「……あ、ああ」 ハッとして、何とか応答した。 「どうした。もう酒が回ったか」 「そんなところだ」 適当に返事をしながら酒を盃に注ぐ。 ここは高台寺塔頭月真院。何度も転々と移った後、やっと腰を据えた御陵衛士の屯所である。 この日、伊東甲子太郎は屯所を留守にしていた。 つかの間の一服だと、誰からともなく酒を持ち寄り、飲みだしたのだ。 南部はため息をついて盃の中の酒を覗き込んだ。 そこに映る自分の、何と冴

          午前0時に

          #眠れない夜に 時刻は深夜23時45分をまわった頃。 「……全く寝られねえ」 俺は布団の上を右に左に横回転をずっと続けている。 今日は仕事が早く終わったので、ちょっと良い酒とつまみのスナックを買って帰って、食って飲んで今に至る。 目が冴えている。もうギンギンに。 疲れているのは体の重さが如実に伝えてくる。が、眠れない。うとうとと微睡むレベルにすらいけない。 どうすりゃ良いんだ。明日早出なのに。 そんなことを考えていると、スマホが突然大音量で鳴きだした。 「お

          ほろ酔いラメント

          #ほろ酔い文学 「うえーん……」 「おいおい、飲みすぎですって……」 東京の一角にある行きつけのバー。 僕は会社の先輩に連れられて今夜もドアをくぐっていた。 彼女は入店するなり次々強い酒を注文しては、つまみもそこそこにのどにぐびぐびと流し込んでいる。もう何回呷ったか数えるのも諦めた。 「だってぇ……これで失恋6回目! 祝6連敗! どうするのよぉ……ああ、彼氏欲しい……」 ぐずぐずとぐずる子供みたいに、カウンターに突っ伏してむにゃむにゃと喋る先輩に、ため息一つ。

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