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ストレスチェックの義務化と3障害という括りに対する違和感

最近、厚生労働省が全事業所に対するストレスチェックの義務化を決めた。これには賛成で、メンタルヘルスの早期発見、早期治療は現代の急務とも言える課題なので、各社も積極的にストレスチェックを始めとして従業員のメンタルヘルスを重視してもらいたい。

企業側の認識では、社員あるいは従業員がメンタルヘルスで休職や退職をする意識だと思うが、精神保健福祉、特に就労支援事業所の認識は全く違っていて、これは厚生労働省が法律上で患者を障害者と定義しており、おまけに根拠なく3障害として一括りにしているという状況がある。

これがかなりの弊害を招いていると考えていて、普通に心の病で退職したはずが、頼みの綱の就労支援事業所の設定が3障害ゆえに知的障害者レベルに合わされていて就労支援どころではない。これは厚生労働省の責任が多大だと思うのだが、産業界で働いていた人材を産業界に復職させるという視点が欠けており、これは大きな問題だと思う。つまり、厚生労働省は医療と福祉側の都合で障害者就労支援制度を組み上げてしまい、産業界さらには財界や労働組合側の意見を考慮しないという失態を犯していると思う。

つまり、健康権の延長として休職や退職したあとも労働に復帰できる権利を有すると考えるのではあるが、肝心の就労支援制度が児戯に等しいお粗末な内容とどうしようもない低賃金設定であるということは、厚生労働省自体が労働者の社会復帰をまともに考えていないとしか思えない。

従業員は大切な会社の資源であり、一人ひとりの仕事での経験こそが、お金には代えがたい価値があり、かつ会社の生産性に直結する。このような点で見てみると、メンタルヘルスに関連した休職者や退職者の使い捨てのような状況は社会的にも産業界でも大きな損失であると思う。

簡単に障害者と名付けて社会から排除するという慣習が邪魔をしていると思うが、若いうちに統合失調症になった患者をモデルにして組み上げた精神保健福祉制度は、実際の社会でのストレスで心の病に陥るという、メンタルヘルスモデルに改変するべきだと主張しておきたい。

普通の人やそれ以上の人が労働者や高度知識人材としてメンタルヘルスの不調で休職や退職に追い込まれたり、服薬しながら仕事を続けるというのが常識化した時代になってきている。

提案したいのは、厚労省の定めた「精神障害にも対応した包括的地域支援システム」(にも包括)に障害者就労支援制度や施設を組み入れるのなら、患者のニーズだけではなく、産業界や労働組合側の意見をヒアリングし、きちんとBtoB的な復職や新規入社を目指せるような合理的でエビデンスに基づいた就労支援制度を再構築すべきである。今のままの患者の立場に対しては偏見が強すぎる。

産業界や財界や労働組合側の意見がどう出るかは分からないが、一つの提案として、社員を人材として考えるのなら福利厚生の一環としてメンタルヘルスに関しても業界団体として考えを持って欲しいと思う。

元々サラリーマンだった人物が、二度と復職もできずに、障害者と呼ばれながら知的障害者レベルの単純作業を延々と行わざるを得ない状況には強く異を唱えたいし、厚生労働省の時代錯誤な精神保健福祉制作に対しても批判しておきたい。

一般市民さらには産業人のセーフティーネット的な意識の精神保健福祉を考えないといけない時期に来ていると思う。

早期発見、早期治療、さらには医療や就労支援によって再び会社で働けるような時代が来ることが常識になることを願ってこの提案を終えたい。

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山本葉舟
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