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凡人のトレッキング式人生論

水彩画教室に通い出した体験談を前回書いた。アラフィフでようやく水彩画というか絵画を描くことにたどり着いた自分にとって、教えてくれる先生が超天才に思えるのである。県内最大規模の美術公募展で、全ジャンルをまたいで最優秀賞を油彩画で受賞し、それなのに美術大学で水彩画の非常勤講師を勤め、画材屋さんの頼みで開いた公民館の一般向け絵画教室で、町内に住んでいる大人に教えてくれている。

1年半も習っているとど素人の自分でも何とか上達してきた。だんだん上手くはなってきているのである。しかし、前回の記事は、それで参考にしようと買った水彩画家の永山裕子先生の本やコヤマ大輔先生の本を眺めては、東京芸大卒の先生たちとの実力の差にがっかりするようになってきてしまった。せっかく上手くなるための道しるべにしようと教本を買ったのに、本末転倒である。

参考にしようとAmazonで、凡人に関する検索をしたら鍵山秀三郎さんの「凡事徹底」という本が出てきて、生き方としては同意したりするが、なんか違うのである。あくまでも凡人なので徹底できないし、徹底しても成功しないのが凡人の人生である。

などということを前回書いたのだが、一晩考えているうちに答えらしきものが見つかった。一流水彩画家の先生方が一流登山家というかトップクライマーだとしたら、こちらはNHK「実践!にっぽん百名山」である。一般人が登れる山を紅葉を眺め、おにぎりを頬張りながら、山頂にたどり着く喜びを味わうような絵画道というか人生論はないのかなー?と思いついたのだよ。

何も百名山と言っても田中陽希さんのような超人的な登り方をしなくてもいいのだよ。定年退職後のご夫婦や日曜日の自営業者の方が楽しみに登りに行く、いやサラリーマンの方がリフレッシュのために百名山というか低山を登るのも楽しい登山のひとときだ。

そういえばNHKでやっていた「実践!にっぽん百名山」も、司会の雑誌「山と渓谷」編集長の荻原浩司さんやタレントの釈由美子さんや工藤夕貴さんが素人向けに登山というよりトレッキングのやり方を楽しく教えてくれる番組だった。登山はしないものの、一流クライマーの山野井泰史さんやラインホルト・メスナーに憧れた時期もあって登山には興味があり、楽しくというか何となくこの番組を観ていた。

「これだよ、これ!」と昨晩自分は思ったのだった。トップクライマーにはトップクライマーの登り方と人生があるように、凡人には凡人としての山の登り方と人生がある。どちらも登山に変わりはないし、凡人向けトレッキングのほうが自分には向いていそうだ。途中で休んでおにぎりを頬張りながら山の風景とかを眺めてホッコリしたいもんなー。

翻って考えてみると、山岳登山家の田部井淳子さんの番組を観ていると、エベレスト登頂するのは良いのだが、山頂しか意識しない人生ってどうなの?と、昨夜の水彩画道というか自己流トレッキング人生論を考えて思ったのだった。

エベレストやK2を目指して滑落して死ぬような登山人生よりも、百名山というより三百名山を休日ごとに楽しむ人生もあっていいのではないだろうか?

TVでは「プロジェクトX」や「トップランナー」といった世界最高峰クラスの人々が紹介されるが、あれは稀な人たちで、我々凡人がそうなれる保障はないし、そうなる必要もない。

自分の場合は凡人人生というか、一流の先生と比べた水彩画人生について悩んでいたが、答えが出た。NHKで始まった呑兵衛の吉田類氏の「にっぽん百低山」でも楽しかったらいいのではないのかね?

我々凡人の人生にも山あり谷ありの出来事もあるが、わりあいと楽しい時間も訪れる。人生もエベレスト登頂コースは捨て去って、にっぽん百名山というか楽しいトレッキングコースを生きてみたらいいのではないか?一直線に死にものぐるいで山頂を目指すより、楽しく景色を眺めて登りたい。そう悟った昨夜の凡人の自分なのだった。(汗)


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