82章 乾癬性関節炎: Psoriatic Arthritis
Firestein & Kelley's Textbook of Rheumatology, Eleventh Edition, 82章
キーポイント
非対称的な関節分布パターンで、指趾炎、付着部炎、炎症性腰痛などの臨床的特徴があり、リウマチ因子が陰性の患者では、乾癬性関節炎を疑うべきである。
分類基準である乾癬性関節炎の分類(CASPAR)基準は実用的である。
乾癬性関節炎は進行性の疾患である。患者の47%が診断後2年以内にびらんを生じる。多関節病変と赤沈上昇は予後不良因子である。
病理学的には、血管増生と好中球の存在が目立ち、脊椎関節症と関節リウマチの鑑別に役立つ。CD3+ T 細胞の滑膜浸潤は、治療に対する臨床的反応と関連する。
MRIの付着部付近の骨髄浮腫と付着部炎の初見から、乾癬性関節炎は付着部炎が病態であるという仮説が立てられた。
CD8+T 細胞と自然免疫応答は疾患発症に関与している可能性がある。
乾癬性関節炎におけるDMARDsのエビデンスは乏しいが、生物学的製剤は皮膚や関節の疾患に対して有効であることが証明されている。
はじめに
乾癬性関節炎(PsA)は脊椎関節炎(SpA)の一つであり、乾癬に伴う炎症性関節炎として定義される。1950年代までは、乾癬の存在下で起こる炎症性関節炎は、乾癬と同時に起こる関節リウマチ(RA)であると考えられていた。その後臨床的およびレントゲン、リウマトイド因子により、RAとPsAの区別は徐々に受け入れられていった。Wrightは1959年に古典的な臨床的特徴を述べ、同僚のMollとともに1973年に分類基準を発表した。 米国リウマチ学会は、1964年に初めてPsAをリウマチ性疾患として組み込んだ。
疫学
Pearl: 乾癬は赤道から遠い地域で多く見られる
Comment: The prevalence of psoriasis varies by geographic location, being generally more common in areas further from the equator.
Geoepidemiology and environmental factors of psoriasis and psoriatic arthritis. J Autoimmun 2010; 34: pp. J314-J321.
・乾癬患者における炎症性関節炎の有病率は7%から42%
・乾癬の有病率は地域によって異なり、一般的に赤道から遠い地域で多くみられる。欧米の視点でみると、そんな感じですね。上の図をみると日本はやはり少ない地域で、中国はさらに少ない。
・乾癬の発症はどの年齢でも起こりうるが、ピークは20歳代である。性差はない。
・アメリカのPsAの有病率は0.25%。日本のPsAは、乾癬が0.2-0.3%で、その1-2割が関節炎ありとすると、おおよそ0.05%前後とかなり少ない(J Dermatol 2021; 48: 741-749)。
Pearl: 乾癬性関節炎を疑う患者(付着部炎、指趾炎、DIP関節炎)をみたら、医師は頭皮、臍部、臀部、爪を注意深く診察すべきである
If a patient is first seen with the classic articular manifestations of PsA but does not report psoriasis or the presence of a rash, the physician should examine the patient’s skin carefully, including the scalp, umbilical and intergluteal regions, and the nails, because psoriasis frequently lurks in such areas.
・付着部炎、指趾炎、DIP関節炎、多関節炎を診たら乾癬を探しに行く。
・関節炎は通常、乾癬と診断された後に発症するが、乾癬であることに気づいていない患者もいる。探したら皮疹があったということはよくある
・乾癬の好発部位はここに書いてあるように「頭皮、臍、オシリの割れ目、爪」であり、注意深く観察する。特に爪病変は関節病変と関連があると言われている。
・15%の患者は関節炎後に乾癬を発症する。
Myth: 皮疹と関節炎の重症度は相関する
Reality: Although a U.S. study suggested that the prevalence of PsA among psoriasis patients increases with psoriasis severity, 6 in clinical practice, little relationship has been observed between severity of skin involvement and severity of arthritis.
・米国の研究では、乾癬患者におけるPsAの有病率は乾癬の重症度とともに増加することが示唆されているが、臨床の現場では、皮膚病変の重症度と関節炎の重症度との間にはほとんど関係が認められていない。
・いくつかの研究で、重症度は相関しないというデータがあります。乾癬性関節炎は重症の乾癬患者に発症するわけではないのです。
Pearl ソーセージ状の手指、足趾をみたら乾癬性関節炎を疑う
Comment . Dactylitis, which is characterized by a sausage-shaped swelling of the fingers or toes, may be found in 29% to 33.5% of patients with PsA at first presentation, and 48% may have an episode of dactylitis during follow-up.
・指趾炎は初診時にはPsA患者の29%~33.5%、経過観察中に48%に認める。
・他にも、腱鞘炎はすべての脊椎関節炎の特徴であり、PsAも同様である。腱鞘炎は患者の38%に認められ、最も一般的なのはアキレス腱と足底筋膜の炎症である。
・その他の部位としては、大腿四頭筋腱、膝蓋腱、腸骨稜、回旋筋腱板、肘の上顆の付着部である。
・乾癬性関節炎はテンションがかかる部分に炎症が生じやすく、典型的なのが指趾炎(dacylitisと呼ぶ)。私の解釈では外的刺激で皮疹が増悪するケブネル現象は乾癬の特徴で、関節炎も同じようなものだと理解しています。Deepケブネル現象はあとでも出てきます。
※手と足の指趾炎の頻度
Myth: PsAは5つのパターンに分かれる。
1. 非対称性少関節炎 (oligoarthritis)
2. 対称性多発性関節炎 (polyarthritis)
3. 遠位指節間関節(DIP)の関節炎 (遠位関節炎型)
4. 脊椎関節炎(主に脊椎関節罹患)
5. 破壊的関節炎(ムチランス型)
Myth .Patients with PsA present with symptoms and signs of joint, entheseal, or spinal inflammation. Wright and Moll 18 described five clinical patterns.
1. Asymmetric oligoarthritis
2. Symmetric polyarthritis
3. Predominant distal interphalangeal (DIP) joint involvement
4. Predominant spondyloarthritis
5. Destructive (mutilans) arthritis
・WrightとMollは、PsAに関する代表的な論文の1つで、5つの臨床パ ターンについて述べている。
・ただ実際は1つのパターンであっても別のパターンに進行してしまうことも多い。oligoarthritis→polyarthritsなど。
・したがって、今日的には①末梢型、②軸型(脊椎関節)、③末梢型+軸型の混合、の3つに分類する。これはkelleyには書いていない。なぜだ!
・CASPAR (ClASsification criteria for Psoriatic ARthritis)研究における多施設共同研究では、患者の約63%が多関節病変、少関節病変は13%だった。
・DIP病変型は5%未満であったが、DIP病変はどの亜型で起こりうる。
・脊椎関節dominantなタイプは稀ではあるが、無症候性を含めるとPsA40%から70%に脊椎病変が認められる。特にHLA-B∗27+では、脊椎病変のリスク因子である。
・ムチランスは今は稀ではあるが、しっかり治療をしない期間が長ければ多くの患者がそうなる可能性がある。
Pearl: レントゲンで有名なのはペンシルインカップである
Comment: Radiographic criteria include erosion involving entire articular surfaces on both sides of the joint and/or pencil-in-cup change; osteolysis was considered to be the defining feature.
・pencil in cupは関節破壊の成れの果てです。
・炎症により軟骨と骨の破壊が進むため、関節腔は減少し、びらんの大きさや数が増大します。
・最終的に関節は完全に破壊され、pencil in cup変形、または完全に2つの骨の関節が一つになってしまう強直、とよばれる状態になります。
・乾癬では骨増生が目立つこともあるのは、RAと違うところ。RAは骨溶解のみで骨は増えません。
Myth: 乾癬性関節炎の関節外症状はRAよりも多い
Reality: With the obvious exception of psoriasis and nail dystrophic change, extra-articular disease is less common in PsA than in RA.
・皮膚と爪病変を除くと、関節外症状はPsAはRAのりも少ない。
・PsAにおけるぶどう膜炎の発症率は一般人口の約3.5倍である。通常は前部ぶどう膜炎であるが、後部ぶどう膜炎や汎ぶどう膜炎を起こすこともある。ぶどう膜炎以外にも、結膜炎、乾癬性角結膜炎、上強膜炎を起こす。
・炎症性腸疾患は、乾癬患者や一般集団よりもPsA患者に多くみられる。- 調べる
・遠位肢の浮腫やリンパ浮腫は、PsAでは多い。ある症例対照研究では、対照群の4.9%に対してPsA患者の21%にみられた。
Pearl: RAとの鑑別は、皮疹、非対称性、付着部炎・指趾炎、爪変形である
・単-少関節炎の場合は、化膿性関節炎や結晶性関節炎は鑑別にあがる。乾癬は肥満と関連するため、しばしば尿酸値が高く、痛風と紛らわしいこともある。
・RAとの鑑別にはさらに椎体病変がある。仙腸関節炎があればPsAを疑うべきである。
レントゲンやMRIで炎症型の背部痛や仙腸関節炎があれば、PsAを疑うべきである。リウマチ様結節やRAによくみられるその他の全身的特徴がないことも、鑑別に有用である。
・PsAと他の脊椎関節症との鑑別も重要である。反応性関節炎や掌蹠膿疱症性骨関節炎は臨床的にも組織学的にも膿疱性乾癬と区別できないことがある。
・脊椎の病変に関しては、PsAの仙腸関節炎は片側性であり強直性脊椎炎よりも非対称性である。
pearl: PsAはRAと比して、ESR、CRP、血清アミロイドAは低い
Comment: Acute phase markers, such as erythrocyte sedimentation rate (ESR), C-reactive protein (CRP), and serum amyloid A, may be elevated in patients with PsA but less commonly and to a lesser degree than in patients with RA. These markers are elevated in particular in patients with polyarticular disease, and they may act as a marker of poor prognosis.
・PsAを診断するための決定的な検査は存在しない。リウマトイド因子がないことはRAと区別する重要な特徴と考えられていた。
・がしかし、PsAの5%〜16%では低レベルのリウマトイド因子が認められ、約5%で抗CCP抗体が陽性である。
・赤沈(ESR)、CRP、血清アミロイドAなどの急性期マーカーは、PsA患者において上昇することがあるが、RA患者ほどではない。
問題: PsAのレントゲンチェック!どこが異常か探してみてください。
Pearl: PsAの診断基準はないが、CASPAR分類基準は感度91%、特異度98%と非常に有用である
Comment: the CASPAR group published classification criteria based on an analysis of 588 patients with PsA and 536 controls These criteria have now been well validated in a number of studies, both prospective and retrospective, including early PsA patients. 45 In the setting of clinical research, the CASPAR criteria have a specificity of 0.987 and a sensitivity of 0.914. The CASPAR classification criteria should now be used so as to ensure uniformity of patients recruited to cohort studies or randomized control trials.
・CASPARグループは、PsA患者588例とコントロール群536例を解析した
・CASPAR分類基準の特異度は 0.987、感度は0.914である。
・乾癬の家族歴を聞く、ってのがポイントです。
Pearl: PsAはメタボリック症候群と関連がある
Comment: Obesity, metabolic syndrome, and type II diabetes mellitus are all more prevalent in patients with PsA.
・PsAは肥満と関連があります。
・肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病はPsAによく認められます。
・PsA患者109人をRA対照群699人、AS対照群122人と比較したある研究では、PsAにおけるメタボリックシンドロームのオッズ比(OR)は、RAまたはASと比較して2.44(1.48〜4.01; P<0.001)。中心性肥満、空腹時血糖障害、低高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールの調整オッズ比もPsA患者で有意に高かった。
・PsA患者を対象とした別の研究では、44%にメタボリックシンドローム、16%にインスリン抵抗性がみられた。
・イギリスの大規模な一般診療データベースであるThe Health Improvement Network(THIN)を用いた研究で、糖尿病のHRは、PsAで1.72(95%CI、1.46、2.02)、乾癬で1.39(95%CI、1.32、1.45)、RAで1.12(95%CI、1.01、1.25)であった。
・つまり、PsAをみたら、合併症の治療をして、心血管疾患の予防をすることが大事ということです。
Pearl: PsAはヘテロな疾患であり広く受け入れられる寛解基準の定義は困難である
Comment: A definition of remission criteria in PsA is currently being considered, but as mentioned above, the heterogenous nature of this disease makes the development of a broadly acceptable definition challenging.
・PSAの活動性の評価基準はいろいろありますが難しいですね。RAから転用したACR20, 50. 70だった、PsARCだったり。複合指標としては、反応性関節炎のDAREA を応用したDisease Activity Index for Psoriatic Arthritis
:圧痛関節数(0〜68)、腫脹関節数(0〜66)、CRP値(mg/dL)、疼痛に関する患者VAS(0〜10)、および全体的疾患活動性に関する患者VAS(0〜10)。RAでいうSDAI。
・乾癬性関節炎関節活動性指標(Psoriatic Arthritis Joint Activity Index:PsAJAI)というのもあります。
・最後によくできているMDA。
Minimal disease activity criteria (MDA) 以下7項目のうち5項目を満たすとMDA
1. 圧痛関節数≦1
2. 腫脹関節数≦1
3. PASI≦1、または体表面積(BSA)≦3
4. 患者の疼痛、視覚的アナログスケール(VAS)≦15
5. 患者全体活動性VAS≦20
6. 健康評価質問票(HAQ)≦5
7. 圧痛点≦1
・PsAの寛解基準は難しいですね。皮膚病変の評価はリウマチ科医は慣れていないし、関節炎ではなく付着部炎だったりするし。あまり自信がないところ。
Pearl: 乾癬は遺伝する
Comment: Familial clustering of psoriasis and PsA is well described. Twin studies in psoriasis have shown a high rate of concordance in monozygotic twins.
・CASPER分類基準にも家族歴が含まれていることから想像できると思いますが、乾癬とPsAの遺伝性はよく知られており、乾癬の双生児研究では、一卵性双生児で高い一致率が示されています。
・昔から、6番染色体に位置する主要組織適合性複合体(MHC)領域の遺伝的寄与が注目されていて、最近のGWAS研究ではMHC以外の遺伝子座からの遺伝的寄与が明らかにされています。
・Elderは、乾癬のHLA感受性領域がHLA-C∗06であることを明確に示した。HLA-C∗06の存在は、乾癬の発症年齢の早さと、より広範で重篤な疾患と関連している。
・PsAでは、HLA-B∗08、HLA-B∗27、HLA-B∗38、HLA-B∗39との関連も認められている。
・さらにHLA-B*27:05は左右対称性の仙腸関節炎、指趾炎、付着部炎と強く関連しており、HLA-B∗08:01は、左右非対称性の仙腸関節炎、関節癒合、関節変形、および付着部炎と関連していた。
・MHC領域内以外だと、TNFプロモーター多型やTNFと連鎖不平衡にある遺伝子は、乾癬やPsAになりやすい、あるいはなりやすくする可能性がある。
・PsAにおけるGWASでは、HLA-CやIL-12Bとの関連が確認されている。その結果、染色体6p上に、IL-17シグナル伝達に関与するタンパク質をコードし、NF-κB転写因子ファミリーのメンバーと相互作用する、新たな感受性領域TRAF3IP2が同定されている。
・長くなったので、ここで終了。要するに、MHC関連とTNF関連とIL-17関連あたりが注目ポイント。遺伝性と治療から逆算すると納得できる。
Pearl: 外傷が関節炎のエピソードを誘発する役割を担っている可能性が提唱され、 deep Koebner現象という造語が生まれた
Comment: The Koebner phenomenon has been reported to occur in 52% of patients with psoriasis. The Koebner phenomenon is the development of psoriasis along the site of skin trauma. It has been proposed that trauma may play a role in triggering episodes of joint inflammation, and the term deep Koebner phenomenon has been coined. In one case-control study, previous injury was significantly associated with the development of PsA.
・これはすでに少し書いたケブネル現象の話.外的刺激に反応して炎症が惹起されることがある。
・ケブネル現象は乾癬の52%に認められる。
・外傷が関節炎のエピソードを誘発する役割を担っている可能性が提唱され、 deep Koebner現象(ディープケブネル現象)という造語が生まれた。
・ケブネル現象ですべて説明がつくわけではないですが、外的な刺激は乾癬・乾癬性関節炎を誘発する一端になっていることは確からしい。
滑膜の病理所見について
Pearl: PsAはRAと比して、滑膜の病理所見では血管増生、好中球の増加、CD163+マクロファージが多かった。
Comment: Increased vascularity, higher neutrophil numbers (also seen in involved psoriatic skin), and a higher number of infiltrating CD163 + macrophages, a marker of mature tissue macrophages, reliably distinguished spondyloarthropathy from RA. No significant differences were seen between oligoarticular versus polyarticular PsA.
・PsAの滑膜病理では顕著な血管増生が目立つ。
・PsAの病態における血管増生の重要な役割であり、主要な成長因子の相互作用が、新生血管の形成や血管新生過程を密接に制御していると考えられている。TNF、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-β、血小板由来増殖因子(PDGF)、アンジオポエチン(ANG-1、ANG-2)、血管内皮増殖因子(VEGF)などの増殖因子が皮膚や滑膜組織で報告されている。 の発現は炎症の初期段階でみられることから、低酸素に対する反応や反応ではなく、PsAにおける一次的な事象である可能性がある。
・またPsAを含む脊椎関節症患者107人の滑膜免疫病理学的特徴をRAでみられる特徴と比較した研究では、SpA全体およびPsAでは、血管の増生、好中球数の増加成熟組織マクロファージのマーカーであるCD163 +マクロファージの浸潤数の増加は、RAと比べても目立った。
・つまり、PsAでは血管増生が目立ち、滑膜では好中球やMΦが多いということ。
Pearl: PsA患者ではRA患者と比較して、CD8 +T細胞の発現が関節液で増加している
Comment: The number of patients was small in this study, but a consistent increase in CD8 + T cell expression was observed at the enthesis in patients with PsA compared with RA patients. These findings are consistent with the well-described association of PsA with class I HLA antigens. They are also consistent with the previously described dominance of activated and mature CD8 + T cells in PsA synovial fluid samples compared with RA.
・RAと比較してPsAの滑液サンプルでは活性化され成熟したCD8 +T細胞が優勢である。これはPsAと HLA ClassⅠの関連しているという事実と合う。
Pearl: PsA の滑膜組織にはRAよりもTヘルパー(Th)1型サイトカインであるIL-2やインターフェロン-γタンパク質を高レベルで産生する。
Comment: Synovial explant tissues obtained from PsA joints produce higher levels of the T helper (Th) type 1 cytokines IL-2 and interferon-γ protein than explants similarly cultured from osteoarthritis and RA patients.
・サイトカインの話は複雑で難しいです。関連してくるのは、IL-17、I-12、IL-23、そしてTNFあたり。
・PsAではTh17細胞の増加が認められており皮膚、滑膜組織、滑液ではIL-17の増加が認められている。Th17経路の重要な役割をさらに裏付けるものとして、T細胞のTh1およびTh17サブタイプへの分化に関与する主要なサイトカインであるIL-12とIL-23の遺伝子多型が、乾癬とPsAの両方の感受性と関連していることが分かっている。
・現在では乾癬と脊椎関節炎の両方のマウスモデルにおいてIL17/IL-23軸が関与していることを示す多くのデータが得られている。
・TNFレベルも、乾癬患者の皮膚、滑膜、滑液で上昇している。 早期PsA患者を対象とした研究では、びらんを有する患者はTNF-308 A対立遺伝子を持つことが有意に多かった。 乾癬の滑膜におけるTNFの顕著なアップレギュレーションされており、インフリキシマブによる治療を受けた8人の脊椎関節症患者(うち4人はPsA)の滑膜標本の病理組織学的解析から、治療後の血管、滑膜の厚さ、単核球浸潤の減少が明らかになった。さらに別の研究では、インフリキシマブ治療により、浸潤マクロファージの量、CD31 +血管面積、αvβ3 +新生血管/Ulex europaeus agglutinin +血管、VEGFとその受容体KDR/flk-1(VEGFR-2)、SDF-1 +血管が有意に減少した。
治療
PsAのGRAPPA治療スキーマ
薄い文字は、現在承認されていない薬剤、あるいは抄録データにのみ基づく薬剤について、条件付きで推奨していることを示す。
略語:CS= コルチコステロイド, CSA= シクロスポリンA, DMARDs= 疾患修飾性抗リウマチ薬, IA= 関節内; IL-12/23i= IL-12/23阻害薬, LEF= レフルノミド; MTX= メトトレキサート, NSAIDs= 非ステロイド性抗炎症薬, PDE-4i= ホスホジエステラーゼ4阻害薬(アプレミラスト), phototx= 光線療法, SpA= 脊椎関節炎, SSZ= スルファサラジン, TNFi= 腫瘍壊死因子阻害薬, vit= ビタミン
左から、末梢関節炎、脊椎病変、付着部炎、指趾炎、皮膚、爪病変。
末梢関節炎にはNSAIDs+ じDMARDs(SSZ, MTX)、だめならバイオ(TNFi, IL12/23)
脊椎病変はNSAIDsがダメならバイオ(TNFi)。なぜかMTXのようなcsDMARDsは無効とされる。
最後に
・PsAの治療選択肢は拡大し続けており、生物学的製剤や低分子治療薬の登場は、PsA患者が以前は不可能と考えられていた疾患コントロールレベルに到達していることを意味する。
・しかし、これらの薬剤は高価であり、医療制度に大きな負担をかけている。臨床試験において、ほとんどの患者がACR20という主要な臨床エンドポイントを達成しているが、これはせいぜい部分的な奏効を示しているに過ぎない。現在までのところ、ACR70やMDAのような難しいエンドポイントを満たす患者は25%未満である。さらに、生物学的製剤が奏効しない患者もいる。PsA患者にとって最良の治療法を選択するためのより良い方法が求められている。