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ADHDに影響を与えている神経伝達物質3つ

どうも、ヒツジデス。
先日のnoteで「ADHDとは“明確な“脳機能の障害である」というお話をさせていただきました。

特性によって引き起こされる症状が一見して対処可能に見えることから、世間からなかなか理解されにくいADHD。

しかし、これらの症状は脳機能の働きに偏りがあることによって起きる明確な障害です。故に通常の努力でなんとかしようとするのには限界があります。

にもかかわらずADHDの当事者自身は、これらの症状について甘く見積もってしまう傾向にあるんですよね。私もその一人でした。

健常者と同じ土俵に上がって、ネットで調べてきた安易な対策に走る。けれどもやっぱりうまくいかないんですよね。

なぜなら「対策をこなす」ということに対しても、ADHD特有の不注意や衝動的な行動などが現れてしまうからです。

何度試しても改善しない状況が続くと人は精神を病みます。放っておくと鬱や適応障害といった二次障害にすら繋がってしまいます。

そんな状態を避けるためにやるべきは2つ。
1つは「ADHDを脳機能の障害として受け入れる」こと。もう1つは「障害が起きる仕組みを理解し緩和処置を取る」ことです。

そこで今回のnoteではADHDの脳機能障害が起きる仕組みについてまとめてみました。実際の緩和処置については次のnoteで考えていきます。同じくADHDの症状に苦しむ方々の力になれれば幸いです。


3つの神経伝達物質について

ADHDについては未だ詳しいことは分かっていませんが、生まれつき脳内の神経伝達物質の働きが偏っているために起きる発達障害であると言われています。

神経伝達物質とは神経細胞それぞれの接続部分「シナプス」という箇所でやりとりされる物質のことで、このやり取りが活発になることで神経伝達物質が持つ役割が発揮されるような仕組みになっています。

ADHDはこの神経伝達物質を「受け取る量が少ない」「放出量が少ない」「波がある」といった偏りがあることによって不注意や衝動的な行動といった問題行動が起きてしまうんですね。

そうしたADHDの脳機能に影響を与えているとされる神経伝達物質が「ドーパミン」「ノルアドレナリン」「セロトニン」の3つ。まずはこの3つの神経伝達物質の役割をお話します。

【ドーパミン:報酬系】

ドーパミンは主にやる気や喜びといったポジティブな感情を呼び起こしてくれる脳内物質です。

ドーパミンの働きがあることで喜びや達成感を感じやすくなり、長期的な努力を要するものであってもモチベーションや集中力が生まれやすくなります。

逆にこのドーパミンの働きが弱くなるとドーパミンをもっと出そうとして短期的な報酬に飛びつくようになります。結果、衝動的な行動が増えたりモチベーションが持続しないといった傾向が出てきます。

また、ドーパミンが少ないことで喜びも感じにくくなるため、感情表現がうまくできなくなったり気力が損なわれるようになっていきます。

【ノルアドレナリン:実行機能】

ノルアドレナリンは集中力を高め、物事の判断や行動力を後押ししてくれる脳内物質です。他にも自律神経や副腎髄質といったところからも分泌されます。

主にストレスを感じた時に生成される物質で、脳を覚醒させるほかに心拍数や血圧を上昇させるといった働きがあります。

脳が覚醒すると人は物事に対する集中力が高まり、注意力や記憶力、動作性能といった能力にバフがかかります。

しかしノルアドレナリンが過剰になりすぎると強い不安感によって攻撃的になったり、必要以上に活動的になってしまいます。

逆に鈍くなりすぎると今度は意欲が低下し、物事への興味関心が失せてしまいます。ワーキングメモリにも影響を及ぼすため、ADHD特有のミスや不注意といった部分に繋がってきます。

「向き合う」か「逃げる」かを選択する判断力にも強い影響を及ぼすことから、ノルアドレナリンが引き起こす反応を「闘争・闘争反応」と呼んだりもします。

【セロトニン:精神安定】

セロトニンは"幸せホルモン"とも言われ、ドーパミンやノルアドレナリンを制御し気分を安定させてくれる脳内物質です。睡眠ホルモンであるメラトニンの材料でもあります。

睡眠・呼吸・散歩・朝日を浴びるといったリズム性運動によって活性化する特徴があり、ストレス耐性を上げてくれたりリラックスする心の余裕を生み出してくれます。頭の回転にも影響します。

セロトニンが抑制されるとドーパミンやノルアドレナリンのバランスを調整することができなくなるため、情緒が乱れて感情の制御が効かなくなります。

それぞれが3すくみの状態でバランスを取っている

辛い時にはノルアドレナリンが行動を支え、物事を乗り越えた時にドーパミンが喜びを促す。どちらも過ぎれば毒になるので、セロトニンがそれぞれを安定に導く。

大原薬品工業:https://www.ohara-ch.co.jp/meitantei/vol01_1.html

このようにそれぞれの神経伝達物質はお互いを補完し合うようなバランスの取れた関係になっているんですね。人の脳みそってすごい。

故にそれぞれの神経伝達物質のバランスに偏りがあるとその問題が行動・感情・思考に影響を及ぼしてしまいます

「薬を飲むと症状が緩和される」というのはここの根本原因にアプローチするからなんですよね。そしてそれぞれの偏りが人によって違うからこそ、合う薬合わない薬がある。

私は医者ではありませんので詳しい言及は避けますが、やはりADHDの症状を抑えるためにはこうした薬に頼るのも必要だと思います。

ADHDにはまだまだ分かっていないことも多い

さて、今回は神経伝達物質についてまとめてました。
まだまだADHDについて分かっていない部分も多く、他の神経伝達物質が影響を与えている可能性や、脳の別の箇所でも問題が起こっている可能性も十分考えられます。

事実、「ADHDの症状は「不注意」「衝動性」「多動性」だけでは分別できない。これだけに限らず「時間感覚の不具合」があり、前頭前野や大脳辺縁系だけでなく小脳系にも問題があるのではないか。」といったことも言われています。

まあ具体的な脳構造や見解については専門家の答えを待つとして、私たちはわかっている情報の中から少しでも良いとされるアクションを取っていく以外に生き残るための方法はありません。

次に考えるべきはこれら神経伝達物質のバランスを整えるために、私たちができることはどんなものがあるか、というもの。

次回はそんな話をします。
それができたらいよいよ検証です。

長い道のりになると思いますが、ADHDの皆さん、ぜひ応援ください。



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