オリックス、勝てるチームになれない要因はどこなのか。
オリックス…ヤッパリ監督辞任しましたね。私は以前から、オリックス(現在のチーム名は違和感ありまくりなのであえて企業名の方で書きます。)は勝てるチームにはなれないだろうな…と思っています。
その要因としては、以前書いた記事とかもあるんですが…基本的に変わってないです。ただ、可能性や潜在能力的な部分はできてきたんですよ。それだけに優勝候補に挙げられるほど、客観的な評価だけは高かったですから。
でも勝てないままだろうな、と思っていたのは以下の理由の通りです。
1 日本のプロ球団では、MLBの様に選手の流動性が低い
2 そうなると、戦力の整備による優勝よりもチーム内にいる人材がカギ
3 すでに優勝経験のある現役選手は、生え抜きではいない
4 そうなると、優勝の仕方、勝ち方を知る選手がいない
5 勝ち方を示せる監督や選手がいないままでは、現状のパ・リーグでは勝ち抜くことは困難
これらが、オリックスの優勝できない要因になっていると解釈しています。
かつては、阪急時代には連覇を達成するなど黄金期の選手がいた。オリックスになってからも、故・仰木彬元監督によって五割以上の成績を挙げることができていた。その後、仰木さんがお亡くなりになった後は低迷。森脇さんの頃に一度は優勝争いをしましたが、翌年の低迷によって解任。人事においても、選手の編成においても中途半端なイメージが否めなかった。
私は野球ファンとして、こういうオリックスの状態を見て
ホークスや他チームを凌駕する要素はないな
と思っていました。だから、優勝できないだろうと。
何より私自身は経営や組織論などの書物をよく読むし、すごく興味をもっている。それだけに、この人事や組織の重要性についても自分なりの考えがある。その基準に照らし合わせると、オリックスの優勝の可能性というのは戦力以外の部分では全く見込めなかったのです。
その流れが変わったのが、育成への投資。舞洲にファーム施設を作り、人材の育成についても高校生を指名したりしつつ、試合にも出すなど…様々な手が打たれていた。この点を注目し、今すぐではなくても将来かなりいい線いくんじゃないか?という好意的な評価を下せるようにはなった。が、それでも優勝できるか?といえば
ノー
だったわけです…。
それは簡単なことで、それ以上に投資しているホークスの存在や、選手の入れ替えをドライに徹するファイターズ、球団としてのレガシーをうまく使っているライオンズ、独自性が出始めたイーグルスやマリーンズなど、パ・リーグは基本的にハイレベルな経営努力をしていると思う。こういう中では、生半可な施策では結果は出ない。
仮にもし、オリックスがセ・リーグにいたなら…おそらく中位以上の成績を収めていると思います。残念ながら、現状の実力差はセパでパ・リーグの方が圧倒的に上です。だから単純に、オリックスの戦力ならセ・リーグでは上位に入る。良い成績を残せれば自信がつく、こういう流れに乗れるため、優勝の可能性も高いと見込める。
しかし、これがパ・リーグでということになると…。勝つ為のプロセスを確立するためには当然ながら、勝たないと身につかない。勝つ為には相手を上回らないといけない訳ですが、日本のプロ球団では流動性が低い。選手が入れ替わらないため、同一の選手がずっと同じ球団にいる。で、毎年やってる選手がどう思うか?といったら
数年戦った結果イメージ
という印象は必ず持つものでしょう。
そうなると、対戦成績というモノが効力を発揮してきます。数年間の成績で、負け越しが多かったとしたら…
やりづらいな
と思ってしまう。ましてや、優勝できない自チームと、上を行く相手チーム。仮に対戦成績で五分かそれ以上だったとしても、優勝できない自分たちに確信が持てないのは容易に想像がつくところ。
これは、中堅以上の選手であればあるほど経験がアダになります。オリックスが若手に切り替え始めたのも、こうした
負け癖
というか、経験が多すぎる弊害を考慮して…という点もあると思いマス。
しかし、そうなるとしがらみや過去にとらわれない戦い方はできても…
勝つ為に必要な要素
は満たせない。私個人がこれまでの常勝チームと呼ばれる選手の考え方を様々な著書を通じて読みましたが
自主性とコツと共通理解
があるなと感じています。
例えば、ライオンズの80年代。この記事を読んだりしましたが…
チーム方針と、自分に求められるプレイへの理解
が深い選手が多かったな…という印象を受けた。言われるまでもなく、自分がこの局面で選択すべきプレイは何か…?という瞬時の判断ができる。そこには選手個人の経験と技量が融合してプレイとして反映されていた。だから、高度で無駄のないプレイへとつながり、それがチームの勝利への道筋を作ることにつながっていた。
こういう部分は年代と関係ありません。自己判断力というのはいつの世でも必要不可欠なモノですし、それが発揮しやすく、できる環境というのがハイ・パフォーマンスを生む。強いチームというのは、選手個々の判断力と力量が併せて高いのです。
逆に弱いチームだと、個人の力量は高くても、その力がチームの勝利へとつながるモノかどうかが必ずしも一致しない。要は
勝ち方を知らない
からなのです。それはその選手個人の責任だからではなく、ロールモデルがいないから。私がオリックスに優勝の可能性が見出せないのも、
勝ち方のコツをフィールド上で体現できる選手がいない(少ない)
からだと思っているのですね。
実のところ、オリックスがジョーンズを獲得したのもそういう要素も含めて、のことだったのかもしれませんね。しかし、ひとりで変化を促せるほどチーム改革というのは簡単なモノではありません。
ですので、私としてはオリックスが優勝を狙うためには以下の選択肢があると思っています。
① 選手を大規模にトレードで入れ替え、優勝しているチームから多数選手を迎え入れる
② 優勝経験豊富な監督を迎え、その人の価値観の下で編成と協力してチーム作りと意識改革をワンセットで行う
③ 内部の人材育成を優先し、編成がチーム作りを長期的視点から構築。監督・コーチ人事も長期的視点から簡単には変更しない
大まかに考えると、こんな感じかなと。
まず①はかつての故・星野仙一さんがタイガースで行った手段です。ここで星野さんは、タイガースが勝てない要因の一つに
選手自身の考え方
にあると思ったのでしょう。今まで勝てなかった選手が多数居座ることで、チームの考え方が変わらないことも怖れた。故・野村克也さんも、この点で苦労していたことでしょう。よって、星野さんはトレードを積極的に活用して”血の入れ替え”を断行した。
これにより、一つはトレードで出されかねない、クビにもされかねない、という危機感を植え付けつつ、実際に勝つことで
ついて行った方がイイな
と思わせた。こういう緻密な環境づくりもあって、タイガースが優勝という結果を出すことができた。私はそう解釈しています。
オリックスも、チームに優勝をもたらし、勝ち癖を早期につけたいと思うならこの決断をした方が良いでしょうね。オリックスには他球団から望まれる選手もいるし、トレードを積極的に行うことは可能です。出来ないことは無いし、パ・リーグの球団としづらいなら、セ・リーグとすればいいのだし。
そして②ですが…。これはチームとしての勝ち方という部分にスポットを当てた場合。私個人としては、監督人事については
何がしたいのか伝わってこない
と率直に思っていました。なぜ、西村さんだったのか。未だにその点が理解できなかった。それよりも、チームをどうしたいのかも。今、勝ちたいのか。それとも優勝争いに加わりながら、強いチームに仕立て上げたいのか。
だから、オリックスは暫定の中島さんはともかくとして、今後監督を選ぶ際には
来年、こういう目標で行きます
と分かるような監督人事にしなければいけないと思う。それが、②の理由でもあります。
今現在、勝てる監督でフリーといえば…
落合博満さん
などいない訳ではない。ご本人の著書も多数読んでいますが、どうするつもりなのか?どうやって勝つのか、勝ちたいのかなど…非常に明確です。根拠がご自身の中であるため、ロジカルに話をするならすごくやりやすい人だと思う。まあもっとも、日本の組織って曖昧にしたがるから逆に煙たがられるんですけどね…。(苦笑)
なので、早期に勝ちたいならこうした監督人事によって方向性を示すのも一つの手です。選手の監督の実績を見て迷いなくプレイする可能性もあるし、球団側が疑念を抱かれないように後ろ盾になれば、皆の気持ちも固まる。そうすれば、プレイも迷いが無くなって監督の意図も浸透しやすい。勝つ為の道筋が、ついてきます。
逆にダメになるのは、ご本人の履歴に神通力を求め、しかるべきバックアップを行わなかった場合。こういうケースになると、折角のご本人の履歴に傷をつけるだけで終わります。この点も重要な部分でしょうね…。
そして最後の③は、あくまで現状を無理に変えないで、時間をかけてという粘りが求められます。これがおそらく、現在のオリックスが志向してたことだと思っています。
辞任した西村さんには申し訳ないけど、恐らくはつなぎだったんだと思っています。なぜなら、田口さんや今回就任した中島さんなどが生え抜きの選手としてコーチに就任していたから。多分二軍監督や、監督の傍らに置いておき、監督とはこういうものだと見せつつ、ある時期で監督に就任させようと。そういう意図だったんじゃない?とニラんでます。
だからこそ、福良さんが監督を退任したのに編成に廻った。福良さんが編成という上にいることで、将来監督に就任するであろう田口さんや元・チームメイトとをつなぐ。そういう人事の意図は感じられましたから。
ただ、バトンタッチする前に余りにも成績が悪くなりすぎた。コレだと次に託す際、またBクラスの負け癖のついた状態からスタートさせることになる。いい状態で渡すことにはできない。Aクラス以上、という条件を満たせる可能性のなくなった西村さんが退任したのは必然だったと思っています。
中島さんが就任したのも、田口さんが仮に就任してしまえばその後の成績によって来季も…とならないかもしれない。この辺りは勘ぐってますが(笑)、来年以降の監督をさせるつもりの田口さんの傷がつかないよう、中島さんに委ねたんじゃないか?と思うのですよね…。
そんな訳で、現実の路線はどうやら③のようだ…と思っています。それがイイか悪いかは別として、私個人の見解では仮に③の路線だと
優勝できる可能性はあまり高くはならないな
というモノ。いくら田口さんがMLBやNPBで、多種多様な経験を持っているとしても。選手としての経験と、指導者として、指揮官としての力量は全く別だからデス。その点を、未だキチンと線引きできない限り難しいと思っていしまいますね…。
いぢょー。