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静謐な杏仁豆腐
11月某日
駅前を久しぶりに歩く。
何年か前に連れて行ってもらった沖縄料理の店のシャッターに「貸しテナント」という貼り紙がしてある。
沖縄料理の店なのに、コースの最後に出た杏仁豆腐がものすごく美味しくて、お店の人に「杏仁豆腐が美味しかったです」と言うと、ウェイトレスの若い女性がちょっとだけ複雑そうな顔をした店。
後から、この沖縄料理の店は、沖縄を旅行した中国の方が沖縄料理にものすごく感動して作ったお店だと知る。
だから複雑な表情をしたのだ。
沖縄料理は派手めな味で、輪郭がとんがっていてボリュームがあった(もう昔のことなので全然違うかもしれない)
大音量で流れる沖縄民謡と、てらてらとした沖縄料理の皿、皿、皿のいっちばん最後に出たあの真っ白でふるふるなのにもちっとした杏仁豆腐。
その杏仁豆腐がスプーンですくったみたいな形で小さな器に入っていたのを急に思い出す。
あの杏仁豆腐はもう食べられないのかな。どこかでまた誰かの口に入って「美味しいなぁ」と思ってもらえているといい。
夜 赤魚とトマトとズッキーニを煮た、湯葉豆腐
湯葉豆腐のパッケージに大きく「京風」とあるが、何が「京風」なのかよくわからなかった。
夜、最近発売された木下龍也氏のすごい短歌部を読む。うぅぅむ。木下龍也氏がこんな風に初稿から直しましたよの過程が、各テーマの末尾ごとに掲載されている。多分、これがウリだと思う。
初心者の私は「すごいなぁ、木下氏、やっぱりすごいなぁ」と木下氏のすごい脳みそをぼんやりと思い浮かべて終わってしまった。
1から2に至る修正の過程で、掲載された言葉や表現が出てくるのが単純にすごい。
修正をする脳みその軌跡というと、俵万智氏と一青窈氏の「短歌の作り方、教えてください」の方が初心者の自分にはしっくりときた気がする。57577もちんぷんかんぷんです〜くらいの一青窈氏が俵氏と手紙形式で推敲していく一冊で、一青窈氏の言葉センスは冴え渡っていて絶対に真似できないと思うけど、俵氏の言葉汲み取りセンスが、更にその上をいっていて、読んでいるこちら側が、一青窈氏が修正した脳みその動きが想像しやすいようにできていると思う(多分、本との相性の問題)
夕刊では男性更年期についてと、花粉症米についての記事。