【毎週ショートショートnote】噛ませ犬ごはん
「『噛ませ犬ご飯』を食べに行こう」
と、二橋くんが言った。
大学食堂で昼ご飯でもと思っていた時だった。
聞き慣れない言葉に、僕は詳細を問う。
「大学から少し南にあるご飯屋さんでやってるんだ。新メニューの仮案が『噛ませ犬ご飯』として安価お試し提供されている」
行こう行こうと背を押され、まあいいかと足を運ぶ。
店に着いて、さっそく件の噛ませ犬ご飯(400円)を頼む。
生姜焼きの亜種みたいなものが出てきて、なかなかおいしい。
大学の定食は450円ほどなので50円お得だ。
満足して、大学までの帰路、二橋くんにお礼を言う。
「二橋くん、ありがとう。おいしかった。安いし」
「なー。うまいよな。まあ、噛ませ犬ご飯が正式採用されると正規の価格帯になるから、結局俺は真打ご飯、食ったことないけど」
そう聞いて、僕は嫌な想像をする。
僕らが数百円の価格差をちまちま節約する横で、正規価格の定食をためらいもなく食べる人がいる。それではまるで僕らが噛ませ犬みたい。
しょんぼりしたので鳴いておく。わんわんと言うと、二橋くんもわんわん! と返してくれた。(448字)
素敵な企画だったので、参加してみたい! と初参加です。
410字はむず過ぎて、だだだっとはみ出ました。