広島旅行記 大久野島編
はじまりはYoutubeの動画だった
先週、私は広島県にある大久野島というところへ旅をしてきた。きっかけはYouTubeの動画で見た大久野島の島内の様子だ。
大久野島の大きな特徴は、半野生のうさぎが500〜600羽も生息しているらしい。島自体が徒歩一時間ほどで一周できるため、そこまで大きな島ではない。
そんな小さな島にに半野生のうさぎが大量に生息しているらしい。
YouTubeの動画では、カメラに向かって走ってくる大量のうさぎの姿……こんな島が本当に日本にあるのか?
疑惑
これはもしかしたら撮影者のやらせか?
もしくは島全体の悪だくみか?
それとも生成AIはここまで進化したのか?
彼らの闇は、この私が徹底的に暴かなければならない……!
この謎の使命感の元、私は朝5時から起きて、6時間かけて大久野島へと向かいました。
忠海港にはうさぎグッズの売店があります。しかし私はここでも決して騙されないという意識を崩すことはありませんでした。
あれはYouTuberがAdobeの力を用いて作り上げた幻想動画であり、このショップもグルに違いないと分かっていたからです!
チケットを買うといよいよ怪しき島へと出港です。
久々の海を切り裂きながら進む船は、心地の良い風と波の音の力によって、騒々しい東京のことを忘れさせてくれます。
大久野島はほぼ無人島です。ですので宿泊施設も休暇村というホテルしかありません。私はまず休暇村へと向かうため、シャトルバスへと乗りました。
バスから降りた途端に痛感しました……YouTuberは事実を伝えていたのです!
Youtuberの皆様、ごめんなさい。私が間違っておりました。
うさぎとのエンカウント率がポケモンでいうところのトキワの森のキャタピーを軽く超えているレベルです。
大久野島は戦争による爪痕も
ここでアホな文体からインテリジェントな内容に変わります。
現在の大久野島はうさぎによる愛と平和と夢の島ですが、第二次世界大戦までは戦争による負の側面が非常に強い場所でした。
なぜなら日本軍によって秘密裏に毒ガスを制作していた場所だからです。
このように大久野島は戦争のために利用された痕跡があり、さらには第二次世界大戦終結後は環境汚染も酷く、人が住めるような状態ではなかったそうです。
そして当時の技術で毒ガスを製造するには、危険な作業を人の手によって行う必要があり、当然ながら作業員にも人体的な影響がでてくるのです。
これらの詳細は大久野島にある毒ガス資料館にて詳細を知ることができます。
大久野島に訪れたら必ずは訪れてもらいたい場所です。戦争の惨劇、国に無理矢理従事され、心と体に傷を追った人々の想いから溢れる平和への願い──この見えなき遺産は現代社会において、特に様々な喧騒が混沌とする都会では忘れてしまいがちですが、だからこそ私たちはしっかりと受け継ぐことが大事だと痛感しました。
No more war!
なぜうさぎが増えたのか?
さてなぜこんなにうさぎが主権を握る島が爆誕したのか?
諸説は様々あるらしいが、定説されているのは1971年に広島県のどこかの小学校で、繁殖で増えてしまったうさぎ8羽を大久野島へと放ったのがきっかけらしい。
うさぎの性欲はとても強く、繁殖率は尋常ではないのは有名な話。
雑誌PLAYBOYのロゴの由来も、うさぎの性欲の強さが理由である。
さらに大久野島ではうさぎの天敵はカラスくらいしかいなく、それも相まった結果、うさぎの天国は誕生したのだ。
大久野島のうさぎたちは賢くて可愛い
36歳のおじさん(=私)でも心を奪われてしまう可愛さがある。
この旅行の前日、仲良くさせてもらっている八百屋さんから特別なニンジンを用意してもらい、それを大量に千切りした甲斐が本当にあった。だが、まさか1日目の夜で溶けるとは思わなかった。
次の日はうさぎがよく食べる牧草(チモシー)に変えました。
実は1日目はチモシーを食べてくれるうさぎが少なく、圧倒的にニンジンの食いつきが良すぎた結果、1日目の夜にはニンジンが無くなってしまった。
うさぎからしてみたらニンジンは万券であり、チモシーは1円玉みたいなものなのかもしれない……と不安がりつつも幕を開けた二日目、恐る恐るうさぎたちにチモシーをあげてみたところ、思いのほか食いつきが良くて驚いた。
以下、実験結果はこうである──
1 大久野島を楽しむにはニンジンが最強
2 ニンジンの匂いが自分の手についてしまったら、その子はもうチモシーなど口にしない
3 最初からチモシー1択で攻めると意外と食べてくれるが、ニンジンほど食いつきは良くない
4 ニンジンを食べなかったうさぎはゼロ
推測として、まず大久野島にはたくさんの草が生えており、逆にニンジンが自然に生えるわけがない。だからこそペットで飼っているうさぎはチモシーのほうが珍品であり、ニンジンより食いつきが良いのに対し、大久野島のうさぎはあくまで野生であるからこそ、彼らにとっては珍しいニンジンのほうが食いつきが良いのではないのか? という推論が立った。
だがあげすぎには注意して欲しい。大久野島のうさぎは食欲旺盛で、いつまでもお腹いっぱいの仕草をみせてくれる気配がないからこそ、やめ時が掴みにくいし、さらには可愛いからもっとあげなければという罪悪感にも駆られてしまう。しかし島のうさぎたちの健康のことが最優先であるからこそ、心を鬼にする瞬間は大切だ。
豊かな自然に囲まれた大久野島に、是非とも遊びにいってほしい
大久野島は大自然に囲まれたとてもエネルギッシュな場所でもある。
さらには休日でも観光客が分散しているおかげで、瀬戸内海の美しき光景を独占できる魅力もある。
うさぎと触れ合い『愛』を知り、戦争の爪痕を目にして『平和』を考え、大自然に身を置き『生』を感じられる大久野島に、是非とも皆さまも遊びにいってみてください!
広島の旅の続きは次回。