ファミサポのチラシ「提供会員が増える」キャッチコピーに変えてみた。改善例をビフォー・アフターで3例紹介。
ファミサポは、ファミリー・サポート・センターの略称。子育てをサポートしてほしい人と、サポートする人をつなぐ市町村のセンターです。
課題は、サポートする人(提供会員)を増やすこと。
「スタッフ会員」「まかせて会員」などセンターによって呼び方はさまざまですが、子どもを保育所に送迎したり、自宅で預かったり。1時間あたり700円程度の有償ボランティアです。
この記事ではファミサポの提供会員を増やすためのキャッチコピーをビフォー・アフター形式で3例紹介します。チラシ作成時などに参考にしてください。
※記事で紹介している、私が作成したキャッチコピーを使いたい場合は、連絡をいただければ無償で提供いたします。私の連絡先はこちらです。
この記事でお伝えすること
【典型例】
ファミサポ提供会員の募集チラシ
提供会員募集の典型的なチラシはこちら。※山崎市は、事例を紹介するための架空の自治体名です。
このあとビフォー・アフターを比較するため、キャッチコピーを抜き出してみます。※チラシにおけるキャッチコピーとは、チラシの中で一番目立つ、大きな文字で書いているコトバです。
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ファミサポ提供会員 募集
山崎市ファミリーサポートセンター
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サポートを提供してくれる会員を募集する。だから「提供会員募集」と書く。そうですね、気持ちはわかります。
でもお聞きしたいのです。
「ファミサポ」「ファミリーサポートセンター」という名称は、すべての世代に十分に知られていますか?
ファミリーサポートセンターは子育て中の世代には一定、知られていると思います。でも提供会員になってもらう主な対象は、子育てを終えた世代が中心のはず。
例えば50代、60代に「ファミサポ」「ファミリーサポートセンター」という名称は十分に知られているでしょうか?
知られていない名称では、事業の内容も大切さも相手に伝わりません。意識さえしてもらえず、チラシの前を素通りされてしまいます。これはもったいない。
さらにもったいない事例はこちら。これも実際にみかけたチラシをアレンジしています。
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提供会員になるための講習会
山崎市ファミリーサポートセンター
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提供会員になるには、応急手当などの安全対策や子どもとの接し方などを学ぶ講習会を受ける必要があります。講習会の参加者を募集するチラシです。
「提供会員」「スタッフ会員」「まかせて会員」などの会員制度は十分に知られていますか?
会員制度の名称、あるいは「提供会員になるための講習会」「スタッフ会員 養成講座」という講座名では、内容も魅力も伝わりません。伝わらないと「参加したい」とは、なかなか思ってもらえません。
子育てを地域で支えるファミリーサポートセンター。忙しい、余裕のない保護者が子どもを預けることで心身ともにちょっと余裕が持てる。大切な事業です。
だからこそ今のままの広報では「もったいない」と思うのです。
改善のアイデアを考えてみました。ビフォー・アフター形式で紹介します。
【改善のアイデア1】
「ファミサポ」や「会員募集」を使わない
キャッチコピー
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子どもの笑顔が楽しみ
山崎市ファミリーサポートセンター会員募集
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提供会員になるメリット、やりがい、楽しさを、実際の会員の声から拾ってみました。
提供会員になる人は、子どもが好きな人のはず。ならば「子どもの笑顔」というコトバに惹かれるのではないでしょうか。
「子どもの笑顔、それって何だろう」とチラシに手を伸ばす。その先を読むと「へえ、ファミリーサポートセンターという制度があるのか」「会員を募集しているのか」と理解を進める。こういう順番です。
あなたのセンターでいま提供会員として活動してくださっている人に、ぜひ聞いてみてください。
「やりがいは何ですか?」「会員になって良かった、楽しいと思う瞬間はどんなときですか?」。
その答えを、例えば次のようなキャッチコピーにしてみてください。
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子どもの成長がうれしい
山崎市ファミリーサポートセンター会員募集
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(事例番号00079)
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子どもに癒やされてます
山崎市ファミリーサポートセンター会員募集
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(事例番号00080)
きっと、子どもが好きな人の心に届くと思います。
次は「子どもが好きな人」にストレートに呼びかけるキャッチコピーです。
【改善のアイデア2】
相手にストレートに呼びかける
キャッチコピー
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子どもが大好きなあなたに
山崎市ファミリーサポートセンター会員募集
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もう一度言いますが、提供会員になる人は子どもが好きな人のはず。その人は「子どもが大好きなあなたに」と呼びかけられれば「あ、私のことだ」と振り向いてくれるはず。
振り向いてくれた相手に「ファミリーサポートセンターという公的なセンターがあります」「子どもを預かったり送迎したりする提供会員という制度があります」と理解してもらう。
その上で「講習会があるんです」「いざというときの応急措置なども学べるので安心ですよ」「講習会に参加しませんか」と話を進める。こういう順番です。
最後は、もう少し絞った呼びかけ方のアイデアです。
【改善のアイデア3】
絞ったターゲットに呼びかける
キャッチコピー
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運転が好きだから
会員になりました
山崎市ファミリーサポートセンター会員募集
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「車の運転が好きだから、習い事とかの送迎ならできるかと思って会員になりました」という提供会員の声(参加動機)を拾ってみました。
あえて「子ども」というコトバを外してみました。
いままでの「子育てを応援しませんか」や「育児サポーターをしませんか」という呼びかけでは反応してくれなかった方が、募集に応じてくださる。その可能性が広がります。
【まとめ】
「ファミサポ提供会員」になるメリットをキャッチコピーで伝える
【伝えてほしい ファミサポ提供会員のやりがいや魅力】
▼子どもの笑顔と出会える
▼子どもが好きな方に向いている
▼運転など自分の特技が生かせる
「ファミサポ」「会員募集」「講習会」こういったコトバでは届かない相手に振り向いてもらう。そのためには、提供会員になるメリット(うれしいこと、楽しいこと、やりがい)を伝える。
提供会員になる価値や魅力は何か。
いま実際に会員になってくださっている方の声に耳を傾けることで価値や魅力を再発見する。コトバにする。キャッチコピーにする。
厚労省によると、育児をサポートしてほしい側(依頼会員)は60万人。対してサポートする側(提供会員)は14万人にとどまっています。
より広い層に提供会員となってもらうための提案をしてみました。ぜひ試してみてください。
それぞれの現場に即して、どんなキャッチコピーがいいのか。私への相談先はこちらです。メールをお待ちしています。
次回(来週)は、依頼会員を増やすためのキャッチコピーを紹介します。
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