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Vol.176 『教師のいらない授業のなやみ方』

 若松俊介先生の「教師のいらない」シリーズの新刊、『教師のいらない授業のなやみ方』を読みました。

 僕自身、これまで『教師のいらない授業のつくり方』『教師のいらない学級のつくり方』をくり返し読んできましたが、今回の1冊を読み進める中で、「これまで僕が本当に見えていたのはどこまでだったのだろう?」と強く考えさせられました。

 教師としての経験を重ねるほど、僕の中には「これはこういうものだ」という型のようなものが生まれてきています。もちろん、その型は子どもたちとの関わりの中で築いてきたものですが、「このやり方でいいはずだ」と自分に都合よく判断し、疑うことを忘れてしまっていることがあります。

 授業づくりでも、つい「うまくいった」と思う形に当てはめて試行錯誤し、都合の良い姿ばかりを見て、「子どもたちは十分学んでいる」と決めつけてしまっています。

  • 本当は、もっと問い直すべきことがあったのではないか

  • もっと深く考えることができたのではないか

そんなことを、本書を読みながら思いました。

 教師としての経験が増えれば増えるほど、「悩まなくなる」ことがあります。「これまでこうしてきたから、これでいい」「これは自分の中で確立されている」 と思い込むことで、安心感を得てしまいます。

 でも、あらためて考えてみると、それは単に「変わらない方が楽だから」なのかもしれません。

新たな試行錯誤を始めることは、正直しんどいです。

今のやり方を手放すことや、考え直すことは、グッと頑張る必要があります。

「このやり方の方がいいかもしれない」と気づいたとしても、それを実践する勇気が持てないこともあります。

 けれど、その「変わらない楽さ」に浸っていることで、子どもたちの「よりよく学ぶ機会」を奪ってしまっているとしたら、それは、教師としてどうなのだろう?とも思います。

 本書を読みながら、「教師の成長」と「子どもの成長」は切り離せないものだ、ということを改めて考えさせられました。

 『教師のいらない授業のなやみ方』を読んで、こんな問いが自分の中に浮かびました。

  • 問いって、そもそもなんだろう?

  • 子どもたちの学びの過程で、本当に大事にすべきことは?

  • どうしてふり返りを書く時間を設けてきたのか?

  • 日々の子どもたちとのかかわりの中で、自分は何を意識していたのか?

 こうして「自分が当たり前のようにしていること」を問い直すだけで、授業も学級づくりも、見えてくるものが変わる気がします。

 「今までこうしてきたから」ではなく、「これで本当にいいのか?」と問い続けることが、よりよい教育につながりそうだと感じました。

 結局、「うまくいっていない現状をちゃんと見ること」 が大事なんだと思います。

僕自身、授業でも学級でも、自分が「うまくいっている」と思いたい部分だけを見てしまいがちです。

「ちゃんと課題に向き合えているか?」と問い直さなければ、成長のきっかけすらつかめません。

 本書を読みながら、「教師の成長」とは、次のことをくり返していくことなのではないか?と思いました。

  • 常に自分の実践を疑うこと

  • 教師自身のふり返りを大切にすること

  • 現状の課題と正面から向き合うこと

  • よりよいものを目指して、進もうとすること

ただ、こうしたことを続けるのは、正直しんどいです。

だからこそ、「悩み方」が大事なのだと、本書を読んであらためて思いました。

 本書では、こうした「悩む」ことにこそ価値を見出しています。教師として日々感じる悩みや迷い、それが解決されることが目的ではありません。むしろ、その悩みが教師自身の成長につながり、子どもたちの学びの場をより深める力になると信じています。この本を通じて、皆さんが「悩むこと」に前向きに向き合い、共に歩む勇気を持っていただけばと願っています。

本書の「はじめに」の中で、「悩むこと」の価値が書かれていました。

  • 教師として日々感じる悩みや迷い。それらは、決して「解決すべきもの」ではない。

  • むしろ、悩みがあるからこそ、教師自身が成長できる。

  • 悩みながら考え続けることが、子どもたちの学びの場をより深める力になる。

「悩みをなくすこと」が目標ではなく、「悩みながら進むこと」が大切なのではないか?

この本を読んで、そんなふうに思いました。

 教師が「悩むこと」に価値を見出せると、子どもたち一人ひとりの「悩み」にも、より丁寧に向き合えるようになるのではないか。

 そして、「悩む」という経験こそが、人が成長していくための大切な要素なのではないか。

 今回、『教師のいらない授業のなやみ方』を通じて、あらためてそのことを考えることができました。

「悩む」ということ自体を、これからも大切にしていきたい。

そう強く思える一冊でした。

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