リフティングと技術
リフティング100回でも下手くそか
サッカー経験者ではない私にとって、リフティング100回という目標は、単純に「サッカーがうまい」の一つの基準であった。子供に対して接する中でも「リフティングが何回できるか?」はある種の戦闘力のようなもので、わかりやすく競う基準となる。
もちろんリフティングができることと、サッカーのうまさは相関関係はあれど、リフティングができるからサッカーが上手いというわけではないようだ。どれだけリフティングの動作をやったかで決まるので、リフティングはうまいけど下手くそといわれる人もいるらしい。
しかしながら、私が見たなかで、年長さんや年中さんなどの低年齢で100回を突破しているような子は、少なくとも「下手くそ」な子はいなかった。それ相応の時間ボールに触れているわけで、当該年齢で、それだけボールコントロールができる時点で、「下手くそ」ということはないだろう。
子供への目標設定
年長さんや年中さんでも、100回を超える子が珍しくない中で、我が子がサッカーを始めたのは1年生になったころ。本人はやる気に満ち溢れているものボールタッチの技術は不十分。そのため、まずは「リフティング」を目標として設定させて、年末までに100回の設定をした。
ただ、この目標は非常に高いものであった。1年生の4月からサッカーを始めたばかりで、100回というのは途方もないものであったからだ。当初ワンバンリフティング5回すら苦労している状況であった。そこで、いったん小さい目標を設定しながらすすめることにした。最初はワンバンリフティング10回を目標にした。
成長の過程
スタート
4月末、ワンバンリフティングが最高20回程度まで続くようになってきたので、ノーバンリフティング5回を目標にした。利き足のインステップのみという設定で行った。
「5回達成」も一苦労で、正直不格好なフォームのこともあり、これで良いのかと思いながら、週に数日程度は練習していた。フォームの指摘だけしていた。ただ、私の得た知識はYouTubeである。
10回達成
子供も回数が続かないと、全く楽しくない練習のようだった。しかしながら、小刻みに目標設定することで、乗り越えた達成感は感じているようであった。7月頃にやっとはじめて10回達成。ただ、このころのフォームは安定せず、うまくできているときと、できていないときのムラがすごかった。それでもうまく続いているときは、フォームがキレイになってきた。
20回達成
8月中は10回をノルマに練習終了にしていた。停滞期が続き9月頃に20回を超えた。このころにはきれいなフォームでリフティングをできている状況が増えてきた。
40回達成
11月頃、40回を超えた。集中力によりきれいなフォームになってきた。たまに逆足でリフティングをしても5回くらいはできるようになっていて驚いた。
100回達成の瞬間
12月末、ついに100回達成した。50回あたりでずっと停滞していたが、ふとした瞬間に100回を超えた。本人はなにより喜んでいた。このころからはフォームのムラは減り、見た眼にもきれいなリフティングをしていた。
リフティングをする中で、気を付けていたのは、「変なけり癖」をつけないことだったので、それがつかない形で達成できたことは本当に良かった。
箸のもち方みたいに、変な癖のけり方でも回数をこなすことができるからである。「(リフティングの)ためにするリフティング」にならないようにだけ気をつけた。
リフティングの効果?
正直なところリフティングにどのような効果があるのかは半信半疑であったが、①目に見えてボールのコントロールは良くなった。リフティングそのものにも効果があると思うが、ボールを触るきっかけや身体操作が上手になったのであろう。
次に大きな効果としては、目標達成をしたことで、②自己肯定感や自己効力感を高めることにつながった。試合で得点をたくさんとったり、MVPをもらったりというのもあるが、それとは別に努力の結果クリアするという経験を積ませるには非常によいと思う。相手により左右されることもないため、機会自体は平等に与えられるからだ。
最後に、③子供が勝手に練習するようになったという点も効果として挙げられる。5回や10回しか続かないリフティングは本人も正直面白くない。でも、一度100回の壁を越えてからは、たやすく100回を超えるようになった。続くから楽しいのか、私からは何も言わなくても勝手にリフティングするようになった。
ただのリフティング、されど・・・
リフティングをしない子の親からは、リフティングしかできないと言われることがあるかもしれないが、リフティングすらできないのかと思うようにすべきである。それだけ時間をかけて反復練習をした子供をほめるべきだと考えを改めるきっかけになった。