お世話中毒
誰かにご飯を作ってあげたい。
誰かの家を掃除してあげたい。
誰かの願いを叶えてあげたい。
誰か〜
私の作ったごはん、食べてくれませんかーっ?
掃除させてくれる家はありませんかーっ?
私が叶えてあげられそうな願い、
持ってる人いませんかーっ?
どーーーしても他人のお世話をしたくなる。
これは定期的にやってくる。
いまは絶賛その時期だ。
もう、うずうずしちゃう。
誰かにお土産を配りたい。
そのために
旅行に行こうかと思うくらいだ。
昨日はたくさん食材を買いこんで、
肉じゃが
筑前煮
肉そぼろ
きんぴらごぼう
ぎょうざ
を、大量に作った。
誰にあげるか、あてもないまま作った。
テーブルに並ぶたくさんのお皿を見て
満足した。
たのしかった。
そんな
お世話中毒のとき、
私は
魔女の宅急便を
努めて
思い出すようにしている。
おばあさんが、にしんのパイを作って
キキに配達をお願いする場面があるけれど、
にしんのパイは結局、喜ばれない。
もらった孫娘は、
ひどい顔で嫌がってた、
「わたしこれきらいなのよね」
ってボソって言ってた。
おばあさんはあんなに一生懸命作って、
パーティに間に合うように
配達を頼んだのに。
「わたしこれきらいなのよね」
……だって。
魔女の宅急便を見た人は、
この子のことを
ひどい孫だと思ったかもしれない。
でも、
この発言をした孫娘一人が悪いんだろうか。
私は
余計なおせっかいを焼いた
おばあさんも悪いと思う。
でも、
今はあのおばあさんの気持ちがわかる。
とにかくお世話がしたいのだ。
願ってもいないことをされると、
人は迷惑だと感じる。
欲しくないものをもらってもうれしくない。
にしんのパイをもらった
孫娘みたいに、嫌な顔をする。
わたしだって、
反対の立場だったら
おせっかいされるのは
嫌だ。
学生時代の友人に、
水1日2リットル飲まないとだめだよって、
健康に悪いよって、
お肌が老化するよって、
会うたびに言われて、
嫌になったことがある。
私は水を2リットル飲みたいとは思わない。
水なんて嫌いだ。
2リットルの水をイヤイヤ飲むくらいなら、
お肌なんてカサカサでいい!
大量のおかずは誰にも配らなかった。
たいがいの人は、
今日と明日の晩ごはんのメニューくらい
決まってる。
そこに割り込んで
私からおかずをもらってしまったら、
買っておいた食材が無駄になってしまう。
それで、いろいろ考えてみた。
お世話マッチングアプリが
あればどうだろう?
作りたい人と
食べたい人を
マッチングする。
掃除好きな人と
掃除できない人を
マッチングする。
にしんのパイが好きな人と
おばあさんを、
マッチングする。
それでおばあさんは
満足するだろうか?
どっかの、
腹ペコ大学生に、
にしんのパイを食べてもらって、
満足するか?
私はどうだろう?
どっかの
独身のおじさんに、
肉じゃがや筑前煮を食べてもらえたら
満足か?
否。
ちがう
ちがうんだ
ちがうんだよ
ちがうちがうそうじゃない。
周りにいる
知ってる人、
周りにいる
認められたいと思える人、
周りにいる
尊敬できる人、
周りにいる
好きな人から
承認されたいから
感謝されたいから
お世話するんだ。
マッチングアプリじゃだめなんだーーー!
この前のメンタルヘルス研修で
良いコミュニケーションは、
伝えたいことが伝わることで、
じゃあ
伝えたいこととはなにか、
というと
自分の気持ちと、
相手に対する期待で、
この2つを
わかってもらえたときが
良いコミュニケーションがとれた
良い人間関係が築けた、
ということになる
って言ってた。
例えば
「もぉ、お隣りの田中さんの奥さん、朝から掃除機かけてうるさいのよ」
と妻に言われたら、
旦那さんは、
この話から、
「そうか、君は朝から掃除機の音を聞いて、嫌な気持ちになったんだね、僕にそれとなく田中さんの奥さんに注意してほしいんだね。」
と、
ここまで察しないといけない。
察するだけだと間違えることもあるから、
妻にこういう見解で合っているのか
確認作業も必要になる。
てことは、
にしんのパイを作ったおばあさんは、
孫に
「あなたは、にしんのパイが嫌いなのね、好みも聞かず、にしんのパイを送りつけてくるおばあさんが許せないのね。ホンネは、にしんのパイより現金が欲しいのね」
と、
ここまで察してあげないと、
孫との良い人間関係は
築けないのだ。
さて、大量に作ったおかずは、
冷凍できるものは冷凍しよう。
明日から少しずつ食べる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?