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vol.8『老後2000万円問題はなぜ騒動にまで発展したのか?』

■今回の課題図書

『キリギリスの年金〜統計が示す私たちの現実』/ 明石純平著

課題図書

■ 『キリギリスの年金〜統計が示す私たちの現実』を読んでの学び・感想

本書の内容は、今の自分にはとても難しかったですね。。ひとつ改めてわかったのは、やはり年金が増えたり、税金が減ったりすることは無さそうということ。
令和元年に「老後2000万円問題」が話題になったことも記憶に新しいが、著書によると、リタイアしてから死ぬまでに必要な貯金は「2000万円」では足りない可能性が非常に高いという。
政府が、必死に年金受給年齢を引き下げて、生涯働き続けられるような取り組みに本腰入れている理由がなんとなくわかった。
我々の世代が65歳になる頃には「定年」なんて言葉はないのかもしれない。

感想、学び

■はじめに

平成生まれの我々世代は、生まれてこの方好景気というものを知らない(と言われているのでそう思ってるだけかもですが。)

なので、小学生くらいからずっと将来を悲観的に捉えてています。「今を生きた」ほうがいいことは頭ではわかっていてもとにかく不安ですよね。お金のことに怯えて生きていると言っても過言ではない。

ということで、今回は「老後2000万円問題」の時に起こった一連の騒動に焦点を当てて、老後の日本社会について考えてみたいと思います。

■今回の問い

「老後2000万円問題はなぜ騒動にまで発展したのか?」

今回の問い

■「老後2000万円問題」とは何か

そもそも、「老後2000万円問題」とは何か。
この言葉だけが1人歩きしている気がして、自分も「将来的に老後に蓄えとかないといけないのか」くらいの理解しかしていなかったです。。

改めてこの報告書が何かをお伝えすると、令和元年に金融庁の金融審議会というワーキング・グループ内で報告されたものであり、正式名称を「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」と言われています。

■「老後2000万円問題」の中身

そもそも、この資料は何を根拠に試算されているのか、そのあたりをみていきます。

以下のデータが根拠となったデータです。

厚生労働省提出資料「iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題」(2019)より

このデータによると、働かずに年金だけで暮らす高齢世帯(世帯主が60歳以上の世帯)は、一世帯当たり毎月5.5万円程度が赤字になるという結果になり、これが約30年続くと約2000万円が不足する、というものです。

■知られていない真実

実は上記の金額の中には、介護費用や住宅リフォームなどの特別な支出は含まれていないのです。報告書には記載されていますが、一般的には知られていないですよね。

つまり、60歳を越えて年金だけで暮らそうとするなら、「2000万円あれば安心」ではなく、「最低でも2000万円は蓄えが必要」なのです。

■預貯金2000万円の高齢者世帯割合

では、現在の高齢者世帯で預貯金が最低ラインの2000万円を保有している世帯はどの程度あるのでしょうか。

総務省統計局HPより

総務省「家計調査年報」によると、高齢者世帯の貯蓄の平均は2300万円~2700万円と十分のように見えますが、中央値をみてみると、1500万円ほどとなっています。つまり、高齢世帯の半数以下は1500万円以下であり、2000万円には到底至っていないというのが現状です。

■ 騒動となってしまった背景

金融庁としては、このデータを通して伝えたかったのは、恐らくワーキンググループのタイトルからして、iDeCoなどを通して、自分のお金を自分で守る意識とその一手段を伝えたかったのだろうとは思いますが、世間はそうは受け取らなかった。

世間はこのデータを国からの「脅し」のように捉え、結果的に「騒動」へと発展したのです。

では、なぜ多くの人はこのデータを「脅し」だと思ったのか。
それは、多くの人が、日本という国から「突き放された」という感覚を持ったからではないですかね。

■「突き放された」の裏にある心理

これははあくまで個人としての仮説ですが、その人が「突き放された」と感じたのであれば、それはつまり、その人が国に「依存」しているのだと思います。

このように、現代の日本人は、日本という国への「依存」の後遺症に苦しんでいるようにみえます。

戦後から高度経済成長期に生まれた世代の方は、本人の意思に関わらず、何も考えなくても日本全体が「自動的に」豊かになった。要は、その世代の人からすると、日本は「今も」豊かな国であり、「今後も」豊かになり続けるという感覚が今だに根強くあるのではないでしょうか。

でも、だんだんとその感覚と実態に乖離が起こり始めている(うすうす気づき始めている)のではないか。

つまり、「日本という国にすべて任せておけば幸せ」になれる、と思っていた意識が根底にあったとすれば、「老後2000万円が不足する」というデータを突き付けられたことによって、助けてくれるはずの日本から「突き放された」と感じ、その焦りが怒りに変わり、結果として「騒動」に発展した、ということであれば腑に落ちますね。

■まとめ

このように、これからの日本で老後に年金だけで暮らそうと思うと、2000万円あれば大丈夫なのではなく、それが最低ラインなのです。

「年金2000万円不足騒動」の裏には、「栄光の日本」への執着があったのでしょう。

いずれにしても、これまで普通とされてきた、65歳でリタイアして年金生活なんてものはただの虚構であり、良かった時代のボーナスタイムだったわけです。年金額や物価上昇を考えると、我々の世代では65歳を越えても働き続けなければしんどいでしょうし、今後物価が安くなることも考えづらい。これまでの当たり前なんてものはない。これまでが良すぎただけ。

個人的なライフハックとしては、あらゆる物事に対して、はなから期待しないことですかね。期待をするから失望する。自分に言い聞かせて生きていきたいと思います。

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