ブラウブリッツ秋田:J3開幕前トレーニング取材3/26(吉田監督、山田、加賀、三上、青島)
新型コロナウイルスの影響による約1ヶ月の活動休止期間を経た5月8日、ブラウブリッツ秋田がトップチームの段階的な活動再開を発表。それを受けて、5月11日にはメディア向けに練習を公開しています。その成果を掲載する前に、前回(3月26日)の全体練習の取材内容を掲載しなければと思い立ちました。
3月下旬もしくは4月上旬に掲載できなかった理由は、自分自身が落ちていたからです。仕事が減って諸々の楽しみもなくなり、以前よりも余裕があるはずなのに、締切がないnote向けの作業に取り組めず時間が過ぎてしまいました。
このままやり過ごすこともできたはずの3月26日の取材内容を掲載したのは、チームの活動再開が要因です。5月11日の取材後、1ヶ月以上前に録音した監督や選手のコメントを聞き直し、その内容にいまとこれからにつながる普遍的なものを感じました。
取材前日の3月25日に再開延期(第5節~第6節)が発表になっており、それに関する質問が多くなりました。コメントを読む上で踏まえていただければと思います。
山田尚幸選手
--再延期となったが
コロナの状況で試合を再開が難しい状況だと思います。いろんな思いを持った選手がいると思うんですけど、僕個人的には、試合がいつ開催されても最善のコンディションで挑むだけだと思っているので。気にしていないです。
--メンタルや体調の維持について
「また1ヶ月延びた」とか、いろいろな声も飛び交ってはいますけど、僕たちの今シーズンの目標は目の前の試合に勝つことだけなので。難しいゲームはたくさんあると思いますけど、そこはプロとしての宿命だと思っているので、やるだけです。
--早く試合が観たいサポーターも多いと思うが
僕たちもできる限り早く試合をしたいという思いはあるんですけれども、こういう状況なので。僕たちがどうこうじゃなく、日本が、世界がという話なので。やりたいという気持ちは僕たちだけじゃなく、皆さんあると思うので。再開するまで僕たちはコンディションを整えるだけです。
--どんなプレーを見せたいか
今シーズンは本当にグラウンドを走り回る秋田が見られると思うので。すごくアグレッシブで、見ていて楽しいサッカー、やっていて楽しいサッカーを見せられたらと思います。ぜひグラウドに来ていただければありがたいです。
僕のサッカー人生のなかで、これほど走ったことはないです。とても走るサッカーだし、走らないとできないサッカーです。
--新チームのキャプテンとして取り組んだことは
新チームでメンバーもたくさん変わって、コミュニケーションをしっかり取っていこうと思っていたんですけど、みんな意識が高くて、一人ひとりそれなりのサッカー人生を歩んできている選手たちばかりなので、僕もあまり言うこともないくらい、しっかりみんなコミュニケーションを取れているので。すごくチーム一丸となって練習に取り組めていますし、試合がしたいという気持ちは全員あると思います。
--現在の最優先事項は
先ほど言ったとおり、そして監督が掲げているとおり、走るということがポイントだと思うので。そこを怠る選手は試合に出られないと思います。
--チーム内の競争について
すごく切磋琢磨している。僕が試合に出るんだという選手がたくさんいると思うので。僕もそこに負けじと戦っていくだけです。
--(3/26の練習で)ボランチで下澤(悠太)選手と組んでいたが
初々しいですね。僕も秋田に来て8年目になるので。いままで僕が若いほうだったので。すごくアグレッシブに動いてくれる反面、僕がバランスをしっかり取らないといけないのかな、ということもありつつ、僕ももっと動かないといけないなということは感じてやっています。
--昨シーズンはCBで、今季これまではボランチでプレーしているが
去年は最終ラインで。最終ラインだとあまり動くといい試合じゃないとよく言われるんですけど、本当に僕は動きたいほうなのでちょっと物足りないと思っていました。真ん中になって、運動量がないとできないポジションなので、すごく楽しんでやっています。
--サポーターに向けて
僕たちもそうなんですけど、サポーターさんたちもすごく試合が待ち遠しい方がたくさんいると思うので。チーム一丸となって早く試合がしたいですし、その試合に向けて、みんなで良い準備をして、初戦で勝点3をもぎ取りましょう。
加賀健一選手
--サポーターに向けて
こればかりはしょうがないと思うので。僕らも皆さんの前で試合ができることを本当に楽しみにしているんですけど。延期になったので、そこに向けてしっかり準備をしてやっていきたいと思います。来るべきと来たきたら、いい結果が出せるようにしたいです。
--モチベーションについて
この1ヶ月の期間を、またトレーニングができるとプラスに考えて。しっかり良い準備ができると考えて、モチベーションを高くやっていければと思います。
--プロ生活でコロナ禍のような状況を経験したことは
東日本大震災のときに1ヶ月くらい延期になったんですけど、そのときよりもはるかに長い感じがしています。
--ディフェンスラインのコミュニケーションについて
しっかりと声を出して。マークの受け渡しだったりとか、あとはまわりのサイドバックだったりボランチだったりそういった選手たちをしっかり動かして、自分たちが守りやすいようにGKも含めて守っていかなきゃいけないと思うので。しっかりまわりを動かして、常に喋りながらプレーできたらといいかなと思います。
--練習では右CBでプレーしていたが
僕個人としては19年、ほとんど右でしかプレーしていないので。利き足が右なので、個人的には左よりも右のほうがやりやすさを感じています。左に入ったら左足を使わなきゃいけない。
三上陽輔選手
--秋田に加わって3ヶ月、チームの状況は
練習の雰囲気はすごくよくて。こういう状況ですけど、みんな前向きにトレーニングしているかなと思います。
--再延期となったがモチベーションは
誰のせいでもないというか、しょうながいことなので。モチベーションの維持と、しっかりトレーニングをしながらも、集中を切らしてケガをしないようにということを心がけてやっています。
--ゲーム形式の練習で2得点していたが、自身の持ち味は
まわりの選手との関係性だったりコンビネーションのプレーだったり。あとは前線なのでボールを収めてゴール前で仕事をするということが求められていることかなと思います。
--自身のプレーを振り返って
キャンプからスタートして、コンディションの部分は自分でも徐々に良くなっていると思います。あとは前線なので、味方の選手に自分の要求をもっとしていければと思います。
--得点力について
勝点3にたくさん貢献できるように。ゴールが一番結果に結びつきやすいと思うので、そこで貢献できればと思います。
--吉田監督が掲げる走るサッカーについて
もちろんそのベースの部分がしっかりしないと試合で使ってもらえないと思うので。あとはフォワードなので、ファーストディフェンダーとしての役割を与えられていると思います。どこのチームのでも欠かせない部分だと思うんですけど、切り替えでしっかり走る。そういうところは欠かせないと思います。
--開幕までの1ヶ月について
こういう状況ですけどしっかりトレーニングして、そこ(開幕)に100%で臨めるように、良い準備をしていきたいと思います。
--前線での動きについて
ゴールに直結する動き出しができる一番ですけど、まずは切り替えの部分で、自分に入ったときにボールを失ってまた守備をするということがないようにとは考えています。
--今季はフォワードでいくと言われている?
いや、そういう話はないです。キャンプからやってきたのは両サイドハーフと前の2トップのところをやってきたので。
--裏に抜けるプレーについて
(チームには)たくさん特長を持った選手がいるので。僕はどちらかというともう1人の選手との関係性を考えてプレーしているので。特に裏抜けはあまり意識していないです。
青島拓馬選手
--現状について
高知キャンプから自分たちが最高の準備を過ぎたつもりなので。選手としては延期ってのは残念ですけど、この事実ってのは変わらないので、また1か月後に向けてチーム全体でいい準備をしていきたいなって思ってます。
--SNSなどでの情報発信について
いまに始まったことじゃないですけど、2017年に優勝したときぐらいから、やっぱり僕たちJ3の選手っていうのは、もっともっと自分たちが発信していかないと周りの人たちに影響を与えられないっていうのを感じたので。そのときからTwitterだったりブログを通じて発信を始めたんですけど、最近はちょっとYouTubeで新しい発信方法をチャレンジしながら、こういう状況だからこそ、いろんな人に、いろんなことを伝えていけたらいいなと思っています。
青島選手のyoutubeチャンネル
--サポーターに向けて
僕たちは変わらず、J2昇格に向けて最高の準備をするので、ファンやサポーターの方は待ち遠しいと思いますが、その気持ちを溜めに溜めてもらって、ホーム開幕戦に足を運んでもらって、僕たちの背中を押していただけたら、僕たち必死に走りますので。ぜひ背中を押してください。
--吉田監督が目指すサッカーについて
秋田に来てから、僕自身の特長である運動量、謙虚にひたむきに走り続けるっていうのはチャレンジをし続けていて。今年吉田監督の指揮のもとでサッカーをやりますけど、秋田らしさというのはもともと、チームのために走る選手の集まりだと僕は思っているので。そういった意味では、監督が変わったからといって僕自身がやることはまったく変わらないと思うので。今年も、自分の良さを100%出せなたらいいなというふうに思っています。
--コンディショニングについて。週末に公式戦があるかどうかで変わることはあるか
相当違うと思っていて。リーグ戦が始まって週末に試合があることで、オフ明けはハードにトレーニングをして、そこから徐々に落としていって試合に向けてという流れが決まると、やっぱりサッカー選手としてはすごいやりやすいんですけど、いまなかなか延期っていう形で試合が、いまなかなか延期っていう形で試合が決まらないなかで、1週間の流れが決まらないので、そこに対しての難しさはありますけど、日々こうやって、秋田では雪がない中でボールが蹴れることに感謝して、毎日毎日必死に練習したいなと思います。
--若手とのコミュニケーションについて。新チームの立ち上げ当初から、練習後に大卒新人の選手たちとパス交換をしていたが
この歳になって本当にすごく思うのが、基本てめちゃくちゃ大事だなと思い始めて。結局止める蹴るの部分ができなかったら監督が求めるサッカーに適応できないと思うんで、そこはいままでもこれからも、基本というものに忠実に徹底的にやると思って。ちょうど自分がやりたい自主練習を後輩の下澤(悠太)君が積極的にやってくれていて。自主練の相手を求めていたので、(法政大学サッカー部)直属の後輩を借りてやれているので楽しいです。
吉田謙監督
--再延期となったが
ポジティブに捉えて、細部を詰められると思っています。
--前回の延期から1ヶ月、何をメインに取り組んできたか
強く速く正確に、いままで積み上げてきたものを力強く出すために磨き込んできました。
--さらに1ヶ月延期になった。どんなことに取り組むか
力強さですね。人の身体はすぐ変わりませんので。積み上げていって、力強い身体、地域の皆さまに認めてもらえるようなチームプレーを磨いていきたいと思っています。
--戦術について
さらに前に行くこと。前に行けば行くほどミスの数が増えますけども、その(前に行く)数を増やして、ミスを改善して、より大きな成功回数を増やしていきます。
--監督が掲げる「走るサッカー」、その練習の成果について
まだまだだと思います。誰もが認めるものでなければ評価は得られないと思っているので、全員ひたむきに、これからも走っていきたいです。
--どの部分がまだまだなのか
すべての局面で、ただ走るというわけではなくて、全員で一体感をもって攻守において走り抜く。ゴールを奪うために、仲間を助けるために、その思いで走ってほしいと思います。
--どのポイントで走るのか
力強く走るポイントもありますけれども、走り続ける、動き続ける、足を止めない、心を止めない。それが重要だと思っています。
--攻守の切り替えを速くするということか
もちろんその部分も、チームの速度が非常に重要だと思っていますけども、すべての局面です。ただがむしゃらに全部走るというわけではなくて、相手の状況を見ながら、どこにスペースがあるのか、どこが弱点なのか、どこに宝があるのか、常に走らないと見つけられません。それをひたむきにやり抜くだけです。
--サッカーがわからない人に伝えるとして、どういう走り方を目指しているのか
ゴールを目指している姿と、ボールを奪うために走っている姿、そして危ないと思ったとき、ゴールを奪われそうなとき、全員で守っている走る姿。ボールは1個しかないので、ボール、そしてゴールに向かって走っている姿。それを見ていただければ幸いです。
--ゲーム形式で三上選手が2点決めていた。三上選手の評価について
非常に前を向く力強さのある選手。前のスペースを自分で見つけ出して、そこに走ってたどり着いて、ボールを受けて、またゴールを向く。そういうことができる選手だと思っています。
--開幕に向けてキーになる選手は
全員がキーマンです。
--選手たちの競争について
ギリギリの競争を勝ち抜くことで人は成長していくと思ってますので、一回一回、一瞬一瞬すべて競争していただいて、素晴らしい選手になってほしいと心から思います。
--開幕を心待ちにしているサポーターに向けて
いつも応援をしていただいているサポーターの皆さま。本当にありがとうございます。チームはひたむきに、地域のために走り抜きますので、応援よろしくお願いします。
--公式戦でしか積み上げられないものがあるかどうか
公式戦、練習の熱量を僕は絶対に下げてはいけないと思います。ミーティングもそうだし、ウォーミングアップもそうだし、その温度を一定に保つのが非常に重要。秋田の選手は常に情熱を持ってひたむきにやってくれています。練習もいろんな方に見ていただきたいし、今日の温度も非常に高かったです。公式戦だからというわけではなくて、強い気持ちでプレーしてくれていると思います。
--練習中に投げかけていた「際(きわ)」という言葉について
A選手とB選手の間に落ちたボールに対して、Aが勝つかBが勝つか、際の紙一重の戦いをどちらが取るかが勝負のスポーツだと思っていますので。それに対する強い思い。一歩も引くな。できれば下がらないで前に行け。そういうところを日々強調したいと思っています。
--もうひとつ「ファースト」という言葉も聞かれたが
ファーストは、ボールを奪われたときに、最初に行く守備者のことです。ボールがあって、相手が前に進もうとしている。でもこれに対して蓋をしに行って、ファーストディフェンスをしっかり定めなさいと。引いてしまえば相手のボールは全身しますよね。そうじゃなくて、全員でそのボールを奪いに行きなさいと。ファーストが決まれば、セカンド、サード全員がボールに行けるでしょうというイメージ。そのファーストに行く走ること、走り抜くこと、一つのボールを全員で奪いに行く。これが定まってないと。これだけ広いピッチにボールが動きまわるわけで、走らなければファーストディフェンスが決まらない。
ボールを失ってファーストディフェンスが決まれば、もちろん守備に対する連動性があると思いますけれども、良いファーストディフェンスが決まったときに、どういう奪い方ができれば、良い守備から良い攻撃になるのか、守備をしているけど守備じゃない、ファーストディフェンスを走り抜くことが、半分以上攻撃なんだと。それは助け合わなきゃできない。たとえば「お前が行け」では、ファーストディフェンスは決まらない。チームのためにボールを奪いに行かない限り、良い守備から良い攻撃は成立しないと思っています。
--延期が続いて、積み上げるものの変化はあるか
練習初日からまったく変わらず。ボールへ向かう、ボールを奪う、この意識の統一化だったり多彩さは非常に増えていると思います。そういう意味で、力強さもそうですけれども、一体感がさらに出てきているかなと思っています。
--饗庭(瑞生)選手が右SBでいいプレーをしているように見えたが
饗庭は非常に力強い選手。心も身体もさらに磨いて、いまに満足せずに、自己ベストを繰り返して、もっと上のレベルを目指してプレーしてほしいと思っています。
--あらためて、サポーターに向けて
選手はひたむきに、秋田県のため、地域のために日々練習しております。いつの日か必ず開幕しますので、そのときにともに戦っていただければ、こんなに嬉しいことはございません。その日のために、チーム一丸でこれからも磨いていきますので、開幕戦で思いを爆発させて、ともに勝利したいと思います。
金額に関わらずサポートは大歓迎。今後の取材活動に活用します。よろしくお願いします。