なにごとも書き方次第
むかし「新聞を疑え」というCMもありましたね...
なにごとも書き方次第。
というわけで、もともと現知事に批判的だった地元紙の姿勢も踏まえ、上記の記事を鵜呑みにするか判断に迷い、せっかく音源を確認できるので県議会の該当部分を文字に起こしてみました。
結果、現知事の言葉づかいは間違いなくマイナス。一方で、県としての働きかけは続けている印象を受けました。「少し熱が冷めた」という見出しも、そのコメントの前後を見れば、現知事が発した言葉ではあるものの、県内の状況を指摘していると受け取ることもできます。工藤議員の反応も率直なものです。
現知事を擁護するつもりはなく、これまでブラウブリッツ秋田の担当記者として関わってきたこともあり、大げさにいえば「世論操作ちょろい」「分断なんてかんたん」と思われているとしたら癪に障るなと思いました。
文字起こしについてはガーッとやったのでおかしい部分もあるかもしれません。誤りについてはご容赦ください。
■速報版1 24:00頃から
●工藤嘉範議員
おはようございます。まず最初にスタジアムのことでお話をうかがいたいと思います。私も一般質問が終わった後、秋田市のほうに検討依頼ということで、ニュースにも取り上げられましたし、来春なのか年明けなのかと随分早いアクションを起こしていただいて、ちょっとびっくりいているような感じで、よかったなと思っています。そういう意味では。
そこでまず前段で2つほどお聞きしたいんですけれども、以前から八橋の運動公園内については、秋田市のほうでは割と難色というか、快諾というか、感触的にはそんなに良い方ではないと私も、県のみなさんも、知事もそう思っていると思いますけれども、それをあえて、八橋運動公園に関する代案を提案をしていったその思いといいますか、そのへんをお聞かせいただければ。
●佐々木観光文化スポーツ部長
ご指摘のとおり、秋田市はまあ昨年の新スタジアム整備構想策定協議会においても、八橋については否定的な見解を示してきたところであります。それは皆さんご承知のとおりだと思いますが、そうした否定的な見解を示した中にあっても、やはりもっとこう、深堀りした高度詳細な検討を加えましょうということで、県と秋田市がそれぞれに70数万円の予算をもって、今年度共同で調査研究をしているというふうな状況でございます。
そうした中で、調査研究の進め方として、3候補地を対象に、それぞれの課題を整理しているわけでございますけれども、八橋におきましては、秋田市側の問題認識としまして、旧市民グラウンドといいますか、あそこに第2球技場と健康広場という2つの施設が入っているわけですけれども、2つとも高い利用率があって、その代替地が確保されない中では、なかなかスタジアム整備は認めがたいなというふうなこともありましたので、それではその代替地確保がネックになるのだとすれば、その代替地案というのを検討したらそれを越えられるのかなという思いがあり、秋田市が否定的に考えている中で、秋田市に代替案を考えてくださいいうのもいささか無理があるので、県として、様々な代替地案をこれまで3つの案を提案してきたところでございまして。夏前に提案した新屋運動広場とか、向浜だとか、文化会館跡になる見込地ですが、そこの提案に関してははっきり不適だということで答えをいただいております。それにつきましては9月議会の中間報告にも報告させていただいたところです。
●工藤嘉範議員
いまの説明だと、八橋運動公園の代替地というコンセプトというか趣旨での提案という理解をしました。それは非常にわかりやすいというか、理に適った論法だと思うんですけれども、その前に、普通に考えると、いまのあきぎんスタジアムの改修案というのもきっとあろうと思うんですね。それをしないで今回の代替案。いまのSPフィールドを人工芝にしていますよね。そもそもでは、あきぎんスタジアムを規格のスタジアムに改修しない、できないという理由についての説明をお願いしたいのですが。
●佐々木観光文化スポーツ部長
それについては昨年の新スタジアム整備構想策定協議会で検討されていまして、たぶんスタンドがたしか取れないとか、要件があってあそこにははまらないのではないかという答えになったと記憶しております。
●工藤嘉範議員
では検討委員会の中で最初から除外されているというか、検討したけれども形で理解します。
それではもうひとつテクニカルな話で確認したいんですけれども、今回の代替案2つと、それから当初からいろんな提案のある八橋のあきぎんスタジアムの改修、まああてはまらないにしても、いろいろなやりとりがある中で、施設の改変が伴うわけじゃないですか。前の文化会館の移設のときも話題になってあそこに作ったみたいな話があって、私もあれっと思ったのは、以前私も公園の整備に関わったとき、緑地率、施設率、あくまでも建ぺい率の関係ですけれども、今回の代替案に示された2案は、そういうものに影響、とらわれない案になっているんでしょうか。現実的な案でしょうか。可能性があるとか、クリアできる見通しがあるとか、そのへんで構いませんので、少しお答えいただければ。
●佐々木観光文化スポーツ部長
昨年の協議会においてそういった面での検討も行われておりまして、その中では、運動施設の敷地面積だとか建築面積に対する上限というものがあありますと。ただその規制を打ち破るためには許可を得ればクリアできるというふうに整理されています。
●工藤嘉範議員
そういうことの可能性をもって今回の代替案を示したと理解いたします。ぜひこの代替案を秋田市において詰めてですね、うまく1案2案、私は2案のほうがいいのかなと思ったりもしてるんですけれども、クリアしてもらえればと思うんですけれども、このあいだの1回めのお話をしたと思うんですけれども、感触としてはどういう話し合いになったのでしょうか。
●佐々木観光文化スポーツ部長
現時点で感触という話は伝わってきておりません。
●工藤嘉範議員
知事にうかがいたいんですけれども、今回の提案、予想よりも早めにアプローチしていただいたところで、答えを導くために良かったなと思うんですけれども、知事も私の今回の一般質問に対して、民間企業の参入、協力みたいなものも必要だと改めて説明してもらっているんですが、それはもう当然だと思います。そういう民間の話というのは、たしかスタジアムの整備の署名運動、18万筆集まった頃に、名前を書くんだったら金も出せみたいな話の中から、当然そういう話があるんだけれども、知事が明確にそういうスタンス、姿勢を話しされたのはあの頃かなと思っております。当然であります。
今回の一般質問にもそういうふうに書いていただいております。で、ただそれはもうこの時代にあって、いろんなスポーツ施設を整備するにも、民間のスキームというのは必要なんですけれども、できれば唐突感というよりも、民間主導でスタジアム構想整備協議会を立ち上げた頃からですね、やはりもうちょっとこう、私の関わりで見る限りは、本当に真剣に、民間の方も入ってくださいよとか、あるいは民間のスキームの方々、強力な資本力を持った方々を探し当てるとか、ブラウブリッツに発破をかけるとか、そういう思いをにじませるというか、全面的にもうちょっと出してもいいのかなと思っておったんです。そのへんの知事の、スキームや枠組みに対する思いと、実際の行動というか、メッセージの発信の仕方がもうちょっと私にとっては足りないように写っているんですが。
●佐竹知事
秋田においてはそういう大きな企業はないと。ただいくつかの企業も。まあ。正式な話は別にして、意向を少しお話したいと、心の中では。まず県内の有名な企業もほとんど興味を示さない。建設資金につきましても、J2に上がれば、TOTOも使えますけれども、上がれなければ使えませんので。J2に確実に上がる。そういう前提が見えないという。それからいまあの施設、体育館とかアリーナと違って専用的というか汎用性がない。これもあってなかなかペイしない。そうしますと運営経費がどうなるか、そういう問題もございます。他県の例を見ますと、吹田が75% これはそういうふうなチームが中心になった。長崎がジャパネットが全部出す。そういうことでチームが7~8割出す。そういう状況でなっていますが、残念ながら秋田のほうは、少し熱が冷めたというか、そういう状況にいまあるのかなと。一方で県も市も、財政状況あるいは、専用に近い形では県民市民の理解が持ちにくいということで、非常に大きな隘路となっていると思っています。
●工藤嘉範議員
知事も随分情報を知っていらっしゃるのでありがたいなと思っています。やはりいま、J1、J2、J3も非常に厳しいですよね。それぞれが生き残り。J3もJ2経験チームがずいぶん増えてきて、毎回毎回J3J2入れ替え、あるいはJ2J1入れ替えということで。やはりカテゴリは日本の中では厳しいので、やはりこれはプロスポーツ文化だと思ってもらえるにはまだまだしばらく時間がかかるのかなと思っております。いま知事がお話した汎用性の話ですけれども、サッカーの利用ばかりが話題になる。私も一般質問でノーザンブレッツの話もさせてもらいましたけれども、なかなかラグビーの使用の話がなかなか出てこないというか、スタジアムにもいろんなお願いをしつつ関わってきたときに、ラグビー協会の人とも話をしたし、その間ずっと人伝いというか、聞きに行っているところなんですけれども、ラグビー協会はあまりこう、一部の人なんでしょうけれども、なかなか共用することについて前向きではないような感触があるんですけれども、県の方々、市の方々、整備についてどんな意見をおっしゃっているのでしょうか。やはり一線をおこうと、我々は別物だとそういうふうにおっしゃっているのでしょうか。
●佐々木観光文化スポーツ部長
昨年の協議会の議論におきましては、サッカーとラグビー、両方使うことを前提にした議論が行われておりまして、協議会のメンバーにもラグビー協会の方にも入っていただいて意見を頂戴したところであります。ただラグビーシーズンとサッカーシーズンが重なったときに芝の養生だとか、芝を傷めないための日程調整とか、使われ方の問題は残るのかもしれませんけども、基本的にはラグビーも完全にひとつになっているという意識は持っております。
●工藤嘉範議員
ぜひ積極的に、そういう枠組みの中の話ということをお願いしたいと思います。知事もさっきのご答弁で、民間の方々にもアプローチを色々なお声がけをしてもらったことについては、すごくありがたいなと思っております。ちょっと私の独り言のような話しですけども、サッカーではなく地方都市の話をさせてもらいます。
青森県の八戸市。県庁所在市でもないし、人口25万人くらいの小さな町ですけれども、あそこは氷都八戸というくらいで冬季国体、スピードスケートやホッケー、長根リンクがあって、昭和4年の第1回全日本スピードスケートの開催地で、来年の年明けの国体の開催地にもなっています。その伝統ある長根リンクが今年の7月に120億円くらいかけて新しくなっています。3500の固定席で、夏場はコンサートにも使えるような形で。これは県に要望してもなかなかやってくれず、八戸市がほとんどやった。そのほか年明けにはフラット八戸という、いまの東北フリーブレイズという、全日本で準優勝したアイスホッケーのチームの本拠地になる予定です。いますぐにリンクがあって、1500の固定席がある国際規定のホッケー場です。それも30年経っていて老朽化して新しくするやるんですけれども、その枠組のスキームがですね、スポンサーで株を持っているのがゼビオスポーツ関係なので、八戸市が区画整理した土地を無償貸与して、30年間の使用料をゼビオ側、年間2500時間、1日7時間くらいの使用量を払うので結構大変だと思うんですけれども、30年間保証して33億払うんですね。そういう建設の枠組みを作って、小さな町に国際規格のリンクが3つある。やはり頑張っているなと私は今回思っているんだけれども、そういうのがあってもいいのかなと思いつつ、なかなかいかないのはわかりますよ。でも地方の都市も頑張っているんだなというところ。それはなぜかというと、市長も含めて、国の政策でスポーツを成長産業のひとつと位置づけて、じゃあみんなで地元の活性化のために頑張ろうという意欲をもっているんですよね。そういう町に対する知事のご所見を少しお聞かせください。
●佐竹知事
秋田の実力で、いま競技力が。何か一つに絞ってやるという、これがいいんだと思います。これもあれもというと、やっぱり力関係。企業もバスケもあるし、非常にそういう意味からすると、これからの景気の状況、あるいは大企業の動向をですね、ある程度絞って。そういうところからすると、サッカーに対する企業の思い込みというんですか、そこらへんが非常に浅い。バスケットボールは戦前からあって、秋田のいすず、チームが強かったと。お年寄りもバスケは籠球ということできてますので。サッカーの歴史と違う。あとは野球のほうが割と強い。ということで歴史や経緯からすると、なかなかサッカーのほうに建設という、いまの経営者層がですね、乗らないということは確かです。だから冬もできますバスケに一本化して、あれを一番大切にして、あそこに集中するという意見も強いんですね。ですからサッカーについては非常にやりにくいというか、そういうところがあるのかなという。これは正直な話です。
●工藤嘉範議員
正直な話をいただいてありがたいなと思っております。できれば正直な話を話すのももっともっと必要かなと、私も思うところがあります。ちなみに話が少し戻ってすいませんけれども、先ほどのフラット八戸ですけれども、国内初で、年間ずっと氷を張っておくんですよ。ホッケーをやらないときは、そのまま張った状態で、床を可動式にしてバスケットをやる。民間がやるので総事業費はわからないんですけれども、八戸市が33億の負担の中でやると。
今回のワールドカップがあれだけ盛り上がって、日本チームの頑張りで、サッカーとラグビーの棲み分けとかいろんな思いがある方がいて、私もいろんな話を聞きます。ただラグビーはラグビー、サッカーはサッカー、世界での評価もあるんですけど、いつも言うように、ああいう若い方々、ノーザンブレッツもそうですけど、いろんな若い人たちが秋田で活躍するために頑張っているし、そのまま移住定住じゃないですけど秋田に住んでみようと1人2人いるわけです。そういう好き嫌いはあっても、やはり誰しもが応援してもらいたいと。行政の方々、われわれもですね「あんなの面白くねえ。やっててあんな馬鹿なこともうやるな」みたいなことは言ってほしくないと思うんだけれども、やっぱり応援する立場になってもらいたいという思いです。だからできないものはできない。知事が言うように頑張ってもできない。でも頑張っているプロセスをですね、ぜひ応援していってもらいたいという思いです。地方の都市が成長戦略であるスポーツ産業に向かってしのぎを削っているわけです。知事の思いはじゅうぶんわかります。ただある程度、若い人たちが応援のエールの気持ちを持っていただきたいと思います。知事からも一言お願いします。
●佐竹知事
私は行政に負担を求めるような遊びは基本的にはしません。ですから要するに、いろんな面で当事者がまず強いと。そうすればおのずから、周りがついていきますし、応援団も増えます。いろんな面で、この種のもので、行政が主導で、最後まで全部かぶる。これは避けたいんです。ですからそのへんの位置づけ、または県民感情。これはいずれ、応援したいという気持ちは当然あります。ただ自分の身の丈ももちろん考えたい、われわれは。いままでもいろんな経済効果があるといわれますが、ほとんど赤字です。で、全国でも非常に苦労している。そういう意味で、サッカーのほうは、勢いがついていろいろやったんですが、なかなか苦労するところが多い。地方都市でどれくらいのものができるかという、そこらへんの問題だと思います。ただ応援したいというのは偽わらざる気持ちです。
●工藤嘉範議員
質問変えますけど、今後はその遊びというのはあまり使わないほうが。一生懸命会社を経営者でもありますし、ぜひそういうスタンスでご答弁というか話をしてもらいたいと思います。
■速報版2 22:00頃から
●佐藤正一郎議員
スタジアムのことです。秋田市市議会の議論を受けて、地元の新聞と言いますか、地元版でですね、3候補地はいずれも建設が難しいと断言して、県が第4の候補地をゼロベースで別の場所を探る方針を固めたとあります。この報道の出どころはそちらですか。
●観光文化スポーツ部長
それは名前は出しませんけれども、某地方紙に載ったものだと思います。それを見て、私自身も非常に驚きましたし、それを書いたというか、指摘に対しまして、県の誰かからそういう方針を聞いたのかと確認しましたけれども、それには明快な回答はございませんでした。従いまして、多少フライングして私は書いたものと受け止めています。
●佐藤正一郎議員
実際ですね、スポーツ科学センターを代替地にするとか、スポーツ科学センターの改築計画も何もない中で、一方的にそういう案を出してそれが新聞になっているというのは、9月議会でも指摘しました。
ここははっきり結論を出してですね、新たな視点を出して取り組むべきだと思いますよ。これについて知事に最後にうかがって終わります。
●佐竹知事
これはですね、要するに誰がやるかが決まっていない。これが一番問題なんです。ですから単純に言いますと、県が主導してやるんだったらそういう流れになりますが、市も主導する気があるのかないのか。主導権は別にして、民間もある程度入る。それも不確定です。いろんな話が出てますが、いまの段階で、県民世論、あるいは議会の中で、さまざまな意見がある。方向性としてはスタジアム整備をする方向性は変わりませんが、いまの段階で先走ってどんどんすすめるという客観情勢ではない。ただ検討は続けていく。市のほうでも最終的な八橋の取り扱いについて、年度内にははっきりしたいと市長からうかがってますので、その段階で次のアクションに入ることになります。
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