【東大授業料値上げ開示請求・その8】規則はまだ改定されていない説

前回「【東大授業料値上げ開示請求・その7】追加分の決定通知書が届きました」の続きで、今回は実際に開示を受けた話です(ちなみにシリーズ初回は「【東大授業料値上げ開示請求・その1】行った開示請求の内容を解説します」でした)。

予想通りと言えば予想通りですが、9月17日の教育研究評議会・9月18日の経営協議会・9月19日の役員会の資料はいずれも9月11日に公表されたものと同一でした。

さてここで生ずる問題は、授業料を値上げするという規則の改定は行われたのか、です。繰り返しとなりますが、授業料の値上げには「東京大学における検定料、入学料及び授業料等の費用に関する規則」の改定が必要で、それは「経営協議会及び教育研究評議会の審議の後、役員会の議を経」て行われることになっています。そして、今回開示された9月の会議の資料には規則の改定案が含まれていませんでしたから、順当に考えるならば、この時点では規則は改定されていなかったということになります。値上げは来年度からとされているので、今後年度内の3月までの間にあらためて規則改定が議題として提出されるはずです。

なぜ授業料値上げそのものの“決定”と同時に規則改定がされなかったのかは本当に全く理由の想像がつきません。各会議のメンバーが年度内に大きく変動することは想定されず、よって既に“決定”された内容に沿って何事もなく規則が改定される可能性が非常に高いですが、規則改定の条文案を作るのなんて優先案件として取り組めば大した作業ではないはずで、9月の議題に一緒に入れてしまうことは可能だったと思うので、こういうプロセスを取るメリットが全然思いつかないのです。

それはともかく、今後のあり得るシナリオをいくつか書いておきます。まずポイントとして考慮すべきは入学者募集要項の公表で、11月中旬に予定されています。これも繰り返しで東京大学の授業料値上げに関する第3次声明に書いたことですが、この入学者募集要項に来年度入学者の授業料が記載される予定になっています。その一方、例年通りのスケジュールであれば9月の次の経営協議会は11月であり、その日付は公開されている資料から11月13日(水)と分かっています。正式な手続きが完了していない事項を入学者募集要項に書くことの是非という観点からは、公表までに規則の改定を済ませておくのが望ましいとも考えられますが、執行部・当局がどこまでそれを気にするかはよく分かりません。

ということで、考えられそうなパターンは以下のような感じになります。

  • 11月13日より前に実は臨時の(あるいは通例と異なるタイミングの)経営協議会が開催されており、そこに規則改定が付議されて既に通過している

  • 11月13日の経営協議会に規則改定を付議し、そのまま役員会にも付議して、11月中旬の入学者募集要項の公表にぎりぎり間に合わせる

  • 11月13日の経営協議会に規則改定を付議するが、11月中旬の入学者募集要項の公表とは特に関係なく単に次の回の経営協議会という理由のスケジュールである

  • 11月13日より後(1月10日・3月14日)の経営協議会に規則改定が付議される

  • 何か予想もつかない展開が待っている

ちなみに、役員会の議事要旨は概ね1ヶ月程度でウェブサイトに掲載されるようになっていて(正確には各月最後の回の役員会でその前の回までの議事要旨が確認・承認され1~2週間後くらいに掲載される)、開示請求のリードタイムは1ヶ月を超えるので、開示請求をかけても結果が出るより先に役員会の議事要旨で確認できるという話になるので、これは何もせずに役員会の議事要旨をウォッチする以上の策が特にありません。

非常にもやもやする状況ですが、今回は以上です。それはさておき、材料が揃ったのでさっさと審査請求書を用意します。


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