【読書メモ】岳飛伝 4 日暈の章 <岳飛にみるリーダー像>
岳飛伝4巻を読了。今回は金国と南宋との戦いが中心となる一冊で今回も大変面白い一冊でした。
概要と感想
第4巻では、梁山泊との講和したばかりの金国が、中華統一を目指して南宋との戦いを目指していきます。4巻では戦いの結末までは描かれていないのですが、北方謙三さんらしい迫力ある大軍での戦だけでなく、岳飛と金国の兀朮(ウジュ)の心理戦も交えながらで、とても面白い一冊でした。
この後の展開が気になるので、5巻も早く読んでいきたいです。
岳飛から学ぶリーダー像
人との対話
岳飛は南宋では軍閥という立場をとっており、正規の南宋軍とは別の位置付けであるが、金国との戦いにおいては総指揮官として南宋全体を指揮している。外様の将軍であれば、南宋の将軍と会話するときに気後れすることもあるだろうが、岳飛は対等な関係でやりとりしている。当たり前かもしれないが、国の危機を乗り切るという大きな目的の前では、遠慮なく会話することはとても大事だろう。
また、総指揮官ともなれば、現場の一兵卒と関わることなんてなさそうではあるが、岳飛は人の名前を覚えようとし、彼らと食事やお酒を飲んている。明日、死ぬかもしれない人とも心を開きあっている姿がとても印象的であった。こんな姿を見て人はリーダーを信頼していくのではないかと感心してしまった。
任せた後は人を信じる
今回の戦は、10万を超える規模で展開される。当然、戦略を考えた後は配下の武将を信じて任せるしかないところがある。
梁山泊の呉用もそうであったが、自分が考えた戦略をきっちりと伝えた後は部下を信頼して、任せ切ってしまう部分は胆力があるなと感じた。
現代とは違って遠い場所とやりとりすることも出来ないので、そうせざるを得ない部分もあるだろうが、それでもなかなか出来ないと感じた。仮に部下が失敗したとしても精一杯実施した部下にはそこを責めることなく、次の機会を与えていた。
マイクロマネジメントに陥ることなく、この姿勢は見習っていきたい。
戦略を見通す力
今回の戦は金国が攻める形で始まっているが、岳飛はその先の漢族を救うことまで目指しながら戦っている。
目の前の戦いだけでなく、先を見据えて動くのはなかなかできないことである。
目の前のプロジェクトを成功させることは大事ではあるが、プロジェクトとプロジェクトを横断的にとらえたり、自社の戦略と結びつけたりしながら、より大きな成果を出すことを考えていきたい。
取り入れたいこと
メンバーと会話し、理解を深め、仕事を任せていく(3巻と同じ)
大局を見ながら、仕事に取り組む
こんな人におすすめ
北方謙三好きの方
中国の歴史物が好きな方
リーダーシップを模索している方